関連記事
アクトコール Research Memo(2):住生活関連総合アウトソーシング事業が収益の柱
*18:23JST アクトコール Research Memo(2):住生活関連総合アウトソーシング事業が収益の柱
■会社概要
(1)事業内容
アクトコール<6064>の事業は、主に賃貸住宅利用者向けを対象とした緊急駆けつけサービスを主力とした住生活関連総合アウトソーシング事業、連結子会社のアンテナで展開する不動産総合ソリューション事業、2013年3月に子会社化したインサイトで展開する家賃収納代行事業の3つのセグメントに区分されている。2013年11月期実績で見れば、売上高の8割以上を住生活関連総合アウトソーシング事業で占めており、同事業が同社の収益柱となっていることがわかる。
○住生活関連総合アウトソーシング事業
住生活関連総合アウトソーシング事業には、緊急駆けつけ等会員制サービス、コールセンターサービス、その他住生活に関わるサービスの開発、提供を行っている。
同事業の大半を占める会員制サービスでは、賃貸住宅利用者向けに24時間365日体制で、住まいに関わる困りごと(図参照)の緊急駆けつけサービスを提供している。商品としては「アクト安心ライフ24」(2年契約または1年契約)と、ほぼ同じサービス内容で月額サービスとなる「緊急サポート24」がある。また、2013年1月には、緊急駆けつけサービスに家財総合保険を組み合わせた新商品「Always」(月額サービス)の提供を開始したほか、同年11月には家財総合保険付き緊急駆けつけサービスに家賃決済代行、滞納保証サービスを加えた「入居者総合補償サービス」(月額サービス)の提供を開始している。なお、同サービスは2013年3月に子会社化したインサイトの家賃決済代行、滞納保証サービスを組み込んだ商品となっている。
月額サービスに関しては、オプションサービスなどもあるため料金は一律ではないものの、エンドユーザー価格で「緊急サポート24」が800〜1,000円、家財保険付きサービスで、1,300円前後、家賃決済代行・滞納保証サービスを含めたフルサービスで2,000円台前半(月額家賃5.5万円以下の場合)からの水準となっている。現在、販売網としては全国の賃貸不動産管理会社を中心に約1,900社あり、主な代理店としては積和不動産九州や木下の賃貸(木下工務店グループ)などがある。なお、月額サービスに関しては各不動産会社へOEMサービスでの提供も行っている。
サービスの流れに関しては、トラブル発生時にサービス利用者が電話で同社コールセンターに対応を依頼し、その相談内容によって実際に現場で作業を行う専門業者(ACT−NET加盟企業)の手配を行う格好となる。コールセンターは東京本社のほか、鹿児島に第2コールセンターを2013年6月に稼働させている。現在、コールセンターの人員は120~130名となっている(東京60~70名、鹿児島60名、アルバイト含む)。
売上高の計上方法に関して、「アクト安心ライフ24」では契約時に一括してサービス料金を徴収しているが、2年版では25ヶ月の均等割り、1年版では13ヶ月の均等割りとして、サービス提供期間に合わせて売上げを計上している。貸借対照表上では、売上高の未認識部分を前受収益として負債側に計上する格好となる。
同社では現在、家財総合保険や家賃収納代行サービスなども組み合わせることができ、様々なニーズに応えることができる月額サービスの拡大に注力している。月額サービスでは直接的な契約者が不動産管理会社や不動産オーナーとなり、入居契約時に家賃や共益費の一部として同サービス料金を組み込んだ形で提供することが可能となるため、賃貸住宅利用者のサービス加入率が高くなる効果も期待できる。ちなみに、賃貸住宅入居者のサービス加入率は2年版のサービスが1つの不動産物件で50%を切るくらいの水準であるのに対して、月額版はほぼ100%加入することになる。月額サービスは2011年よりスタートしているが、2013年11月期第1四半期時点で新規獲得会員のうち月額サービス会員の比率は約3割だったのに対し、同第4四半期では約6割まで上昇しており、今後もさらに月額サービス比率の上昇が見込まれている。サービス提供期間中に均等割りで売上を計上する年額サービスから、月額サービスに販売を移行することにより、前受収益は減少する見込み。
コールセンターサービスでは、不動産管理会社向けのコールセンター業務、及び緊急駆けつけ対応のサポートをする「アクシスライン24」のサービスを展開している。不動産管理会社向けのアウトソーシングサービスとしての位置付けとなる。自社の緊急駆けつけサービス用コールセンターのインフラを共同利用することで、事業全体の効率向上を図っている。同社ではコールセンターの対応に関して、顧客満足度で業界No.1を目指しており、そのための社内における研修体制にも力を注いでいる。なお、2013年11月末の契約企業数は103社と順調に拡大しており、不動産業に限らず、飲食店の予約受付など、広い業種の企業を顧客として受電をおこなっている。
その他、同事業セグメントには、賃貸住宅利用者向けにNHKの放送受信契約やNTTフレッツ光のインターネット契約などの取次業務などの販売代理サービスや、アライアンス事業などが含まれる。
○不動産総合ソリューション事業
子会社のアンテナで展開する不動産総合ソリューション事業は、テナント出店支援サービスやテナントリーシングのほか、2013年11月期より新たに不動産開発への参画を開始している。
テナント出店代行事業は、全国の不動産会社が提供するテナント物件情報と、出店希望者の情報をマッチングさせ、契約に結び付けることを目的とした事業となる。テナント物件情報のポータルサイト「Tenant+」を運営しており、現在は不動産会社16社が物件情報を掲載している。また、独立開業支援サービスでは、セミナーの開催やコンサルティングサービスなどを行っている。
一方、不動産開発事業は、1件数億円規模の商業用不動産を自社購入あるいは、不動産ファンドに投資し、バリューアップ後に売却し収益を得るビジネスモデルが中心となる。
○家賃収納代行事業
2013年3月に子会社化したインサイトの事業。不動産賃貸管理会社や不動産オーナーと賃借人の間に立ち、毎月の家賃の100%概算払いを行うサービスとなる。賃貸住宅管理会社や不動産オーナーは安全かつ安定的に家賃収入が得られるほか、毎月の家賃管理業務に関しても一括して委託できるため、業務効率の向上にもつながるというメリットがある。インサイトは家賃の滞納が発生した場合、契約する家賃保証会社から代位弁済金を得ることでリスクヘッジを行っている。
同事業はサービス契約ごとに毎月、手数料を得るストック型のビジネスモデルであり、緊急駆けつけサービスと親和性の高いビジネスモデルとなっている。このため、アクトコールでは家賃収納代行サービスを組み込んだ緊急駆けつけサービス「入居者総合補償サービス」の販売を2013年11月より開始している。なお、インサイトの営業部門は現在、アクトコールに機能移管している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》
スポンサードリンク