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プラザクリエイト Research Memo(10):ビスタプリント社との資本業務提携は有形と無形の両面で効果
*20:53JST プラザクリエイト Research Memo(10):ビスタプリント社との資本業務提携は有形と無形の両面で効果
■業績動向
(3)2015年3月期以降の考え方
○ビスタプリント社との提携
プラザクリエイト<7502>は前述の通り、2013年11月21日にオランダのビスタプリント社と資本業務提携を発表した。結論から言うと、このプロジェクトは、同社のプリントショップの収益押し上げへの貢献、合弁企業(プラザクリエイトにとっては持分法適用会社)による連結決算への貢献、同社の実質的な業容拡大と企業イメージ刷新など有形と無形の両面でポジティブな効果をもたらす可能性があり、今後の同社を論ずる際には見落とすことのできない重要ポイントの1つになると言えよう。
ビスタプリント社は、小事業者向けにマーケティング・プロモーション向け印刷製品を提供する会社として1995年に創業された。1999年からオンライン分野に進出し、現在では世界No1のオンラインプリント企業に成長した。現在では4,100人の従業員を抱え、世界130か国で1,700万人に対して製品・サービスを提供している。
具体的な提携のスキームは次のようなものとなる。同社の保有していた自己株式80万株(発行済株式数の17.3%)をビスタプリント社(厳密にはその100%子会社の株保有会社)に1株602円で割当てる(プラザクリエイトの収入は約480百万円)。同時に、プラザクリエイトとビスタプリント社は日本に合弁企業「ビスタプリント・ジャパン(VPJ)」を設立する。VPJは資本金1,000百万円(ビスタプリント51%、プラザクリエイト49%の出資比率)で2014年2月末をめどに設立予定である。なお、VPJの会長にはビスタプリント社のCEOが、社長には大島康広プラザクリエイト社長が就任する予定である。
今回の資本業務提携を評価するうえで重要なポイントは、ビスタプリント社が、インターネットを活用したオンライン事業モデルで、幅広い印刷サービスを提供する企業であるということだ。一方、同社は国内最大の写真プリントショップチェーンである。すなわち、両社の提携は、(1)O2O(オンライン・ツー・オフライン)のシナジー効果と、(2)幅広い製品・サービスの展開で事業領域が拡大、といったことが期待される。(1)の点では、同社にとってメリットが大きいと言えよう。なぜなら、日本では定番商品やリピーター消費におけるネット購買は広く浸透しているが、出来上がりがわからないものや全くの未知のモノについては、ネット購買をためらうところがあるからだ。例えばチームロゴを印刷したTシャツのオーダーに際して、インターネット上でしか確認できないのと、パレットプラザの店頭でTシャツの素材やサイズなどを確認したうえで注文できるのとでは、消費者に与える信頼感や安心感には格段の差が生じることは疑いがない。ビスタプリントの欧米での事業モデルをそのまま日本市場に当てはめるよりは、プラザクリエイトと提携して約600に及ぶリアル店舗網を活用する戦略の方が、成功可能性は高いと言えよう。
同社にもメリットは大きい。写真以外のものについてのプリント需要を取り込めるからである。Tシャツの例で言うと、写真をTシャツにプリントするサービス自体は同社も手掛けていた。しかし、写真を離れて胸や袖口にチーム名を入れるようなサービスについては手掛けていない。理由は、そのようなプリントメニュー拡大に対応するために必要なソフト開発のための余力がなかったためだ。しかし、今回の提携により、この部分についてはビスタプリントのアセットをそのまま活用できる。写真については同社の「Digipri」事業を移管して、両社の強みを持ち寄った形になっているが、事業領域の拡大からの恩恵という意味では、同社の方によりメリットが大きいと言えよう。
現時点では、VPJの収益規模についての見方や、オンライン・オフラインの販売構成比の見通しなどについては、開示されていない。実際にVPJがスタートする2014年2月末あるいは2014年3月期決算発表といったタイミングを待つ必要があろう。参考になる値としては、ビスタプリントの米国での売上規模が約70,000百万円、欧州での売上規模が約50,000百万円という数値がある。VPJの顧客は、オンラインショップから注文も可能であるが、同社の約600店のプリントショップ店頭からも注文が可能だ。プリントショップ経由の注文に対しては一定割合の金額が、販売手数料として各ショップに入ることになる。
VPJは日本国内において、印刷工場を新設することになる。この設備投資に関する詳細は現段階では開示されていないが、大まかなイメージとしては約1,000百万円規模であるもよう。これはVPJの予定されている資本金と同じ額だ。オンライン販売の根幹をなすシステムはビスタプリントのものを利用し、オフライン販売の要であるリアル店舗は同社のプリントショップを活用するため、工場以外には大きな設備投資は発生しないと想定される。したがって、減価償却費も年間数億円程度と推測され、比較的早い段階での黒字転換も期待できよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)《NO》
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