「今年の漢字」の『輪』を『和』に読み替えて「和食」関連株に年末年始相場の独自展開を期待=浅妻昭治

2013年12月16日 12:06

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  今年の世相を1字で表わす恒例の「今年の漢字」が、2013年は『輪』に決まった。「りん」とも「わ」とも読ませるらしい。もちろん「りん」は、今年9月に東京招致に成功した2020年夏季オリンピックを象徴しており、この招致決定の国際オリンピック委員会総会は、日本時間の深夜にもかかわらずテレビでライブ中継され、このときのプレゼンテーションで女性プレゼンターがジェスチャー付きで発した「お・も・て・な・し」は、今年の新語・流行語大賞にも選ばれている。

  「わ」と読ませるのは、東京オリンピックの招致成功、富士山の世界文化遺産登録が、官民のチームワークで実現し、東日本大震災以来、全国各地で頻発する巨大自然災害からの復旧・復興に支援の「輪」が広がったことを表わしているという。これについては、まったくクレームはなく、同感するばかりだが、ただこの「わ」関連では、なぜ『和』がノミネートされなかったのか、やや残念な気がする。多分、この「今年の漢字」への応募期限が、12月5日までとなっていて、ギリギリの年末12月4日に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間委員会で、「和食 日本人の伝統的な食文化」の世界無形文化遺産への登録が、決定されたことが、折角のセレクト・チャンスに間に合わなかったためだと推測するが、この『和』は、『輪』と同じ「わ」の読みで「今年の漢字」として候補に上がっても、不思議はなかったはずである。

  というのも、株式市場が、今回の「和食」の世界遺産登録にまったく冷淡で無反応であったことに違和感を覚えるから余計にそう思うのである。市場では、富士山の世界文化遺産登録や、東京オリンピック招致ではえらく大騒ぎして歓迎高し、とくに富士山の遺産登録では、候補にノミネートされた5月と本決まりになった6月の2回にわたって株価急伸を演じた。ところが今回は、これとは裏腹にわずかに飲食店情報サイト運営のぐるなび <2440> が、中堅証券の投資判断引き上げを引き金に年初来高値を更新したときに、ついでに和食への関心が高まることも追い風とマーケットコメントされた程度である。

  6月の富士山の遺産登録決定では、富士急行 <9010> をリード株にアウトドア用品株、旅行代理店株などまで物色の輪が広がり、9月の東京五輪決定でも、ゼネコン株やスポーツ用品株、ホテル株、旅行代理店株、航空会社株などはもちろん、あやかり銘柄の「東京」の社名がつく東京テアトル <9633> 、東京都競馬 <9672> 、東京ドーム <9681> まで人気化したことと比較すると大きな落差となっており、片手落ちの市場評価にとどまっている。

  この東京五輪人気も、招致のプレゼンテーションで評価を高めた猪瀬直樹東京都知事は、医療法人徳洲会グループからの5000万円の借金問題でピンチとなり、来春の辞職も観測され、安倍晋三首相も、成長戦略国会として臨んだ臨時国会が、会期最終盤には特定秘密保護法案を巡る与野党攻防国会に一変して内閣支持率もダウン、就任以来最低となるなど、やや尻すぼみで「アベノミクス」の賞味期限切れも懸念され始めた。

  どうせ全般相場は、今週17~18日に開催予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備制度理事会)が、どのような金融政策を決定するかで高安、強弱がブレる米国市場のコピー相場が続くことが決まっているようなものである。FRBが、量的緩和策の早期縮小に踏み切るのか、来年まで先延ばしするのか、どちらがポジティブ・サプライズでどちらがネガティブ・サプライズか方向感がゴチャゴチャと混み入って、株価も為替の動向も不透明感は拭えないのである。

  そこでである。前置きが長くなったが、ここは独自材料相場を期待して『輪』を『和』に読み替えて「和食」関連株に注目してみたいのである。「今年の漢字」の1字、昨年2012年は『金』であった。ロンドン五輪での史上最多のメダルを獲得したことなどが、選定理由となったが、この1字は、今年前半相場の株価7割高、資産効果による高額品への「金ピカ」消費ブームを先読みしていたといえないこともないのである。『和』にも同様の効果を期待して、関連株に年末相場の「掉尾の一振銘柄」、正月相場の「お年玉銘柄」としての活躍を先取りしてみたい。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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