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ネットイヤー Research Memo(7):日本技芸の子会社化で資本集約型ビジネスに転換へ
*16:47JST ネットイヤー Research Memo(7):日本技芸の子会社化で資本集約型ビジネスに転換へ
■決算概要
(5)日本技芸の子会社化
日本技芸の会社概要について簡単に紹介する。同社は2004年に設立された独立系のパッケージソフト開発会社で、現在の主力商品は「rakumo(ラクモ)」シリーズとなる。同シリーズは企業における社内の業務改善、生産性向上に資するグループウェアソフトで現在、Google Apps版においてカレンダー(グループカレンダー機能)、コンタクト(共有アドレス帳)、ワークフロー(電子稟議システム)、タイムレコーダー(Felicaリーダーを利用した出退勤記録)、ボード(掲示板)の5アプリケーションに加え、salesforce.com社のForce.com版においてソーシャルスケジューラー(Chatterと連動したグループカレンダー)を提供している。
導入企業は必要な機能だけを選んでの契約が可能で、月額利用料を払うことで利用できるシステムとなっている。月額利用料は50~300円となっており、平均すると200~300円/人の契約となっている。これらは、Google Appsの拡張アプリとしてはシェアトップの実績を誇っている。
販売ルートは直販が3割、代理店経由が7割となっている。主要な代理店としてはソフトバンクテレコム、USEN<4842>等があり、これらの会社がGoogle Apps やsalesforceを企業に導入販売する際に、オプションメニューとして「rakumo」の売り込みを行うケースが多い。2013年8月末時点の利用企業者数は421社、契約ユーザー数で13.1万人と右肩上がりで成長を続けている。なお、損益分岐点となるユーザー数は20~25万人規模と想定しており、今のペースでいけば来年度には損益分岐点に到達する見込みだ。
また、企業のWebサイトの企画・制作・開発・運用等ソリューションサービス事業も展開している。こちらはネットイヤーグループ<3622>の子会社ネットイヤークラフトとほぼ同様の事業内容となっており、今後のシナジー効果が期待される。直近の業績、資産状況は表の通りで、売上高に関しては堅調に推移しているが、利益面ではまだ水面下の状態にある。売上高の構成比は、「rakumo」とソリューションサービスで現状半々となっている。
今回の買収の目的としては同社全体の「開発力の強化」「プロダクトビジネスの強化」というねらいがあり、最終的には現在の「労働集約型」のビジネスモデルから「資本集約型」ビジネスモデルへの転換を進めていくことを目標としている。従来、同社の提供サービスはクライアントごとのカスタムサービスであり、プロジェクト1件ごとに想定される開発費用を算出し、一定の粗利率を加味して受注見積額を出していた。カスタムサービスであるため、開発期間や受注単価もプロジェクトごとによって様々であり、安定性及び、収益性を高めるためには、資本集約型ビジネスとなる自社開発プロダクトの売上構成比を高めていくことが重要な課題となっていた。
同社は現在1割強の自社プロダクトビジネスの売上構成比を将来的には5割程度まで引き上げていくことを目指しており、プロダクト商品で強い商品を持つ同社を子会社化した最大の目的はそこにある。自社プロダクト売上比率を高めて行くことで、経常利益率も現在の1ケタ台の水準から10%台へと向上していくものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《NT》
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