メディカルシステムネットワーク Research Memo(11):TOBにより九州エリアでの圧倒的ドミナントを形成へ

2013年12月3日 19:11

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記事提供元:フィスコ


*19:11JST メディカルシステムネットワーク Research Memo(11):TOBにより九州エリアでの圧倒的ドミナントを形成へ
■業績動向

(2)2014年3月期業績見通し

○トータル・メディカルサービスのTOBについて

メディカルシステムネットワーク<4350>は9月27日付で、子会社のファーマホールディングを通じて、調剤薬局を展開するトータル・メディカルサービス<3163>の完全子会社化を目的とした公開買付けを行うことを発表した。買付期間は11月19日までで、買付価格は1株につき3,200円としている。買収価格は4,754百万円となる。

トータル・メディカルサービスは調剤薬局及びメディカルサポート事業を主力事業とした会社で、調剤薬局は福岡を中心に病院や診療所の至近距離で店舗を営む、門前薬局を中心に展開している(2013年9月末時点で35店舗)。一方、メディカルサポート事業では病院・福祉施設内での給食業務の受託や医薬品卸売販売などを子会社で展開している。

直近3期間の業績推移はグラフの通りで、売上高は2011年12月に給食業務の受託を手掛ける子会社を買収したことで、急速に拡大した格好となっているが、利益は逆に減少している。買収した子会社の収益性がまだ低いうえ、年間200百万円程度ののれん費用が重石となっている。一方、調剤薬局事業に目を転じると売上高は年間7,000百万円規模と大手企業と比較すると小さいものの、セグメント利益率では13%前後と業界でもトップクラスの収益性を維持していることが特徴となっている。業界平均は5~6%程度であり、メディカルシステムネットワークの調剤薬局事業と比較しても2倍以上の開きとなっている。

高収益性を維持している背景として、病床数300床クラスの大病院の門前薬局をいくつか運営していること、また効率の高いモール型の店舗を運営していることなどが挙げられる。このため、今回の公開買付けにより子会社化されれば、調剤薬局事業の利益率でおよそ1ポイントの押し上げ要因につながるものとみられる(のれん償却費用控除前ベース)。また、医薬品ネットワークに加盟することで、収益性がさらに向上する可能性もある。

従来、九州エリアでは5店舗の出店にとどまっていたが、今回の買収により一挙に32店舗(残り3店舗は山口県)が加わる。なかでも出店数が最も多い福岡県は、今後も高齢者人口の増加が見込まれており安定した成長が期待される。今回の買収は全国規模で事業展開を進める同社にとって、手薄であった九州エリアの穴を埋めたこととなり、非常にメリットのある買収として評価される。

なお、買収金額が高すぎるとの見方も一部ではあるが、同社ではキャッシュフローベースでみると妥当な水準と判断している。また、収益性の低い病院給食事業に関しては、来期、再来期のいずれかにおいて営業利益ベースで赤字となった場合、トータル・メディカルサービスの代表取締役社長である大野氏に400百万円+ネットキャッシュ(現預金−有利子負債)で売却できる旨の条件を付している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《FA》

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