メディカルシステムネットワーク Research Memo(13):調剤薬局を中心とした「地域医療インフラの構築」で一段

2013年12月3日 19:12

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記事提供元:フィスコ


*19:12JST メディカルシステムネットワーク Research Memo(13):調剤薬局を中心とした「地域医療インフラの構築」で一段
■成長戦略

メディカルシステムネットワーク<4350>の中期計画では最終年度となる2015年3月期の業績で、売上高75,000百万円、営業利益4,300百万円、経常利益4,000百万円、当期純利益2,000百万円を目標としている。前提となるネットワーク加盟店舗数は2015年3月期末で1,500店舗、調剤薬局数は350店舗となっている。医薬品等ネットワーク事業では、中小規模薬局への更なる導入を進めていくことで、安定した収益拡大を続けていく方針だ。調剤薬局は全国で約5万店舗ほどあるが、収益環境が厳しくなるなかで大手企業による集約化の動きが加速している状況にある。同社は店舗の収益性向上につながる医薬品ネットワークを有していることを強みにしながら、加盟店舗数の拡大を進めていくと同時に、M&Aを活用しながら調剤薬局事業の一段の成長を目指していく。10年後には売上高で3,000億円規模をターゲットとしている。

調剤薬局事業では今回、九州に一定の地盤を構築したことから、今後は愛知や首都圏など大都市圏でのシェア拡大も目指していく方針だ。また、今後の課題としては業界平均よりもやや遅れている後発医薬品の取り扱い比率の上昇が挙げられる。2014年4月の法改正によって、医療費コスト低減のため後発医薬品への移行をさらに促進する施策が導入される公算が大きいためだ。前述したように後発医薬品の取り扱い比率によって、店舗の収益性も変わってくる。このため、同社では各店舗ベースでの丁寧な説明などを地道に続けていくことによって、後発医薬品の取り扱い比率の上昇を進めていく考えだ。

出店形態の新たな取り組みとして、同社はファミリーマート<8028>と共同でコンビニエンスストア機能付き調剤薬局の展開に関して取り組んでいくことを2013年5月に発表した。第1ステップとして、2014年3月までに1店舗目を自社店舗でオープンする予定となっている。調剤薬局の1店舗当たりの平均面積は30坪程度で、このうちコンビニ機能に割り当てる面積としては10~20坪と限定されるため、どういう商材・サービスのニーズがあるか検証作業を行い、第2ステップとして全国4万店超の調剤薬局をターゲットに医薬品ネットワークとコンビニエンスストアFCをパッケージ化して、加盟推進に取り組んでいく戦略だ。

賃貸・設備関連事業では子会社の日本レーベンでサービス付き高齢者向け住宅、いわゆる「サ高住」の開発を進めていく。「高齢者住宅+医療モール+調剤薬局」+「病院」という医療と介護が一体となった新たな街づくりの提案で、既に2棟目となる「ウィステリア清田」(札幌市)が開業した。今後も北海道で3件ほど計画があるほか、2015年12月には大阪の千里中央に大規模「サ高住」となる「ウィステリア千里中央(仮称)」をオープンする予定となっている。地上14階建で、地下1階から地上9階までに地域医療支援病院が入り、地上10~14階がサービス付き高齢者向け住宅(全85戸)となる。土地・建物の取得価格は3,173百万円(うち1,289百万円は支出)と規模が大きいため、同案件は入居者数が一定規模に達した段階で、流動化しオフバランス化する予定となっている。同社は今後も高齢者人口が増加する都市部において年に1棟ペースで開発を進めていきたい考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《FA》

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