3DマトリックスResearch Memo(4):欧米企業との販売パートナー契約は年度中の締結を目指す

2013年9月20日 08:44

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記事提供元:フィスコ


*08:44JST 3DマトリックスResearch Memo(4):欧米企業との販売パートナー契約は年度中の締結を目指す

■決算概要

(3)2014年4月期の業績見通し

スリー・ディー・マトリックス<7777>の2014年4月期の業績は売上高が4,178百万円、営業利益が1,658百万円、経常利益が1,646百万円、当期純利益が1,491百万円と期初の会社計画を維持している。止血材の製造販売承認取得による、マイルストーン収益や製品売上の計上が収益拡大の主因となっている。

費用面では、止血材の欧米での事業化に伴う準備費用や開発費用(治験費用)などの増加を中心に、研究開発費や販売管理費の増加を見込んでいる。人員に関しては計画では欧米を中心に前期末比で増加を見込んでいるが、7月末段階では前期末比横ばいの水準となっている。第1四半期の通期計画に対する進捗率でみると、研究開発費は19%、販管費は22%とやや抑え気味となっているが、これは保守的に予算を組んでいることに加えて、止血材関連の海外での費用が第3四半期以降に増加してくることが前提となっているためだ。

2014年4月期の業績が会社計画を達成するかどうかは、止血材の国内における製造販売承認の取得時期が最大の焦点であることに変わりない。期初段階では、2013年上期までに承認を得た後に保険収載申請を出し、申請後3ヶ月程度で収載価格の決定を予定しており、同時に事業提携先からの販売を想定していたが、第1四半期決算発表日段階ではまだ承認が下りていない。上期までに下りるかどうかに関しても、現時点では流動的と言える。

逆の見方をすれば、通期業績を達成するための承認取得時期のデッドラインとしては2014年1月頃となる。保険収載申請から取得までに約3ヶ月を要するためだ。2014年1月までに申請され、4月に収載価格が決定すれば、国内における止血材の製品売上、並びにマイルストーン収益は計画通り売上高に計上される見込みだが、仮に承認が2月以降にずれ込むようだと、収載価格決定時に得られるマイルストーン収益が2015年4月期に先送りされることになる点には留意する必要がある。なお、製品出荷に関しては製造販売承認を取得次第可能となっている。

2014年4月期の売上高の内訳としては、製品売上で1,000百万円程度(国内のみ)、マイルストーン収益や契約一時金で3,000百万円程度を見込んでいるものと思われ、その中に欧米での契約一時金収入も見込まれる。また、アジア地域においても、韓国、台湾、インドネシアに続く新たな交渉が進んでいる模様で、2014年4月期中の売上寄与が見込まれる。

止血材に関する欧米企業との販売パートナー契約はいずれも年度中の締結を目指している。現在、欧米それぞれ数社とコンタクトをとっている段階だ。米国では治験開始にあたって必要なIDE(日本の治験計画届に相当)の承認が今秋頃にも下りる見通しとなっており、現在治験の準備を進めている段階にある。治験の症例数としては国内で100症例程度であったが、米国では250症例程度を目途に行っていく予定としている。また、欧州においてはCEマークの認証が今秋頃には取得できる見通しで、認証取得後に販売提携など具体的な動きがでてきそうだ。

なお、止血材以外の開発パイプラインに関する動向だが、歯槽骨再建材に関しては米国における15症例の治験データで良好な結果が得られている。現在、FDAと協議を行っている段階にあり、順調に推移していると言える。2015年4月期中の上市という目標達成の確度は増してきたと言えよう。粘膜隆起材に関しては国内での治験計画の申請準備中で、今期中の治験開始、2016年4月期の上市を目標としている。血管塞栓材においては国内での基礎試験を終えており、今期中に前臨床試験を終える計画となっている。同様に創傷治癒材も米国での前臨床試験を継続中で、年内はデータの積み上げを行っていく予定となっている。創傷治癒材に関しては治験を行わずに製造販売の承認申請が可能となる510(k)での申請を予定しており、2016年4月期中での上市を目指している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》

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