ワイヤレスゲート Research Memo(5):通信回線を借り受けて顧客に提供、販売はヨドバシカメラ中心

2013年9月17日 18:24

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記事提供元:フィスコ


*18:24JST ワイヤレスゲート Research Memo(5):通信回線を借り受けて顧客に提供、販売はヨドバシカメラ中心
■事業概要

(2)事業構造と販売ルート

ワイヤレスゲート<9419>の事業収支の流れは図の通りとなっている。主力のワイヤレス・ブロードバンドサービス事業について簡単に説明すると、まず、アグリゲーターとして事業を展開する同社は、通信回線やインフラを他の通信事業者から仕入れ(借り受け)、それを組み合わせて通信サービスとして顧客に提供している。「ワイヤレスゲートWi-Fi」サービスの販売契約ルートは、大半がヨドバシカメラ経由で、残りがインターネットを経由した直接契約であったが、2012年12月より住友商事<8053>と業務提携を結び同系列の携帯電話販売会社においての販売契約も増え始めている。

一方、「WiMAX・サービス」に関しては100%ヨドバシカメラ経由での販売契約となっている。販売取次にあたって、同社は契約数ごとにヨドバシカメラに対して販売委託料を支払っている。同社サービス契約の約9割がヨドバシカメラの取次になっていることから、同社の事業展開をみるうえでヨドバシカメラとの関係が重要なものとなっていることには留意する必要がある。また、通信サービス料金に関してはクレジットカード決済によっており、代金回収に関しては決済代行会社であるGMOペイメントゲートウェイ<3769>に委託している。

同社が主たる販売チャネルとしてヨドバシカメラと業務提携した背景には、ヨドバシカメラがインターネット・モバイル端末の販売力に定評があったこと、大都市・大型店舗展開で高い集客力を持っていたことなどに加え、販売員の商品知識の豊富さ、商品説明力の高さがあったためである。

同社のビジネスモデルの特徴は、インフラ部分を持たないため固定費率(固定費÷売上高)が低い点が挙げられる。とりわけ同社の場合、従業員数が11名と少数精鋭となっており、人件費も含めた固定費率は2012年12月期で約7%の水準となっている。一方、変動費としては、通信回線使用料と会員数に連動して増減する支払手数料などがあり、約82%の水準となっている。このため、残りの10%強が営業利益となる。今後、通信回線使用料や支払手数料については、契約の見直しで変動する可能性はあるものの、当面は従来の費用構造が続き、営業利益率で10%強の安定した水準が続くものと見込まれる。また、今後営業利益率を上げていくためには、ARPU(加入者当たり売上高)の引き上げが必要となるが、同社では電話リモートサービスのような付加サービスを増やしていくことによってARPUの拡大も進めていく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》

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