ワイヤレスゲート Research Memo(9):今後は契約件数拡大、次世代通信対応、収益源拡大に注力

2013年9月17日 18:27

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記事提供元:フィスコ


*18:27JST ワイヤレスゲート Research Memo(9):今後は契約件数拡大、次世代通信対応、収益源拡大に注力
■成長戦略

今後の成長戦略としてワイヤレスゲート<9419>では、契約件数の拡大、次世代通信規格への適宜対応、収益源の拡大の3つのポイントに注力していく方針だ。


(1)契約件数の拡大

同社の販売チャネルは前述したように、WiMAXサービスに関してはヨドバシカメラを通じて、また、Wi-Fiサービスに関してはヨドバシカメラや自社サイトに加えて、2012年12月より携帯電話販売会社として住友商事<8053>が新たに加わった。スマートフォンやタブレット端末などスマートデバイスの購入時に同社サービスへの加入を販売員に勧めてもらうことで、契約件数の拡大を進めていく方針だ。特に目標とする契約件数は定めていないが、既存販売チャネルの拡充によって着実な成長拡大を目指している。


(2)次世代通信規格への適宜対応

次世代無線通信規格への対応に関しても、NTTドコモのLTEに対応したサービスを開始しているほか、2013年10月から始まる予定のWiMAX2+に関しても対応の準備は整えている。代表取締役社長の池田氏は無線通信分野の技術者でもあったことから、次世代高速通信技術の動向に関しては詳しく、通信規格の変遷による市場構造の変化やそれに伴う新たな成長機会も着実に取り込んでいくことが可能と弊社ではみている。


(3)収益源の拡大

収益源の拡大に関しては、前述した通りオプションサービスメニューの拡充によって推進していく方針だ。現在、同社の売上高の99%はWi-FiやWiMAXなどデータ通信サービスからの収入となっている。契約件数の増加以上に成長拡大を進めていくためには、ARPUの引き上げがポイントとなる。同社ではオプションサービスを拡充していくことによってARPUの引き上げを図るだけでなく、新たな収益源の確立を目指していく考えだ。売上規模としてはまだ小さいため収益へのインパクトは軽微だが、収益基盤の拡充をはかっていくうえで、今後始まる新たなオプションサービスも含めて注目されよう。なお、新サービスの企画・開発に関しては子会社のワイヤレスマーケティング・ラボで行っている。


(4)無線データ通信の市場予測

最後に無線データ通信に関する市場予測について、世界最大のネットワーク機器会社である米シスコ社の予測データを紹介する。米シスコ社によれば、無線データ通信の世界のトラフィック量は2017年まで年率66%で成長し、2017年には月間11.2EB(エクサバイト)と2012年比で約7倍の規模に成長するものと予測している。成長要因としては、モバイルユーザーの増加、モバイル通信の高速化とそれに伴う動画コンテンツやゲームコンテンツの拡大、などを挙げている。スマートフォンやタブレット端末などスマートデバイスの普及により2010年以降、急速に拡大してきたかにみえる無線データ通信市場は、トラフィック量だけでみればまだ成長が始まった段階で、今後成長のスピードが本格的に加速するとみている。

成長を牽引するデバイスを機器別でみると、その中心はスマートフォンやタブレット端末となる。機器1台当たりの月間平均トラフィック量でみれば、スマートフォンやタブレット端末は現状よりも大幅にトラフィック量が拡大する見通しとなっている。機器の高性能化と同時に通信サービスの高速化も進むためだ。同社によればモバイルネットワークの平均速度は2012年から2017年の間に0.5Mbpsから3.9Mbpsと約7倍に高速化するとみている。

このようにスマートフォンやタブレット端末などスマートデバイスの普及拡大や通信サービスの高速化によって無線データのトラフィック量は急成長が続くが、こうしたなかで携帯電話会社における通信障害の発生率が上昇しているという問題も起き始めている。この問題を解消するのが、Wi-Fiを利用することで携帯電話のネットワーク網から固定網へトラフィックを流し、携帯電話会社のネットワーク網にかかる負荷を軽減する「オフロード化」への取り組みとなる。また、WiMAXなどのような高速データ通信事業者を利用するケースもある。いずれにしても、無線データ通信市場は、今後も成長拡大が続く見通しであり、そのなかで着実に契約件数を伸ばし続けている同社の成長期待は大きいと言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》

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