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東京都民銀行 Research Memo(11):法人新規顧客の開拓や成長分野の強化が徐々に顕在化
*18:50JST 東京都民銀行 Research Memo(11):法人新規顧客の開拓や成長分野の強化が徐々に顕在化
■同業他社比較
国内における地方銀行(合計64社)と東京都民銀行<8339>の成長性並びに収益性、財務健全性などの比較について以下にまとめてみた。まず、成長性に関しては銀行業本来の収益を示すコア業務粗利益の成長率の直近5期間の推移でみてみた(グラフ参照)。成長率はリーマンショックの影響が出た2009年3月期に大きく落ち込んでおり、また、その翌年度も業界平均がプラスに転じた中で、マイナス成長となっている。たが、それ以降はほぼ同じ成長率で推移していることがわかる。
また、コア業務粗利益の内訳を資金利益(金利の利鞘収益等)とその他の収益(役務サービス等)でわけてみると、資金利益は東京都民銀行、地銀全体ともに2009年3月期以降、減少傾向が続いていることがわかる。ただ、資金利益の成長率に関しては2013年3月期において久しぶりに減少率が地銀全体を下回るなど、改善の兆しが見え始めている。同行が中期計画で取り組んでいる法人新規顧客の開拓や成長分野への強化などの効果が徐々にではあるが出始めているものと考えられる。
次に収益力については、コア業務純利益率(コア業務純利益÷コア業務粗利益)で比較してみた。利益率の水準に関してはここ数年、地銀全体に対しての同行の水準は下回って推移しているものの、ここ数年のトレンドでは地銀全体が頭打ちとなっているのに対して、同行は若干ながらも上昇トレンドにあり、同行の収益性向上策が着実に実を結びつつあることがうかがえる。なお、純利益率の格差についてはグラフを見てもわかるとおり、物件費率、人件費率ともに同行のほうが上回っている。とりわけ、物件費率の差は10ポイント以上にも達している。従業員1人あたりの生産性向上だけでなく、店舗費用を中心とした物件費率の低下が今後の経営課題となろう。なお、コア業務純益をベースとしたROEでみれば、ここ数年でその格差は着実に縮小してきている。
最後に財務の健全性については自己資本比率をみてみた。自己資本比率においては、2012年3月期に赤字に転じたことも影響して業界平均との差が開いた格好となったが、9%台という水準そのものは銀行業界のなかでは問題のない水準と言える。
以上、各種財務指標から同行の現在の業界内でのポジションをみてきたが、リーマンショック以降のここ数期間は収益性、成長性の面で業界平均をやや下回って推移してきたが、成長性に関して直近はほぼ同水準で推移、収益性に関してもややキャッチアップする動きになってきたことが確認された。今後、前述した経営課題の改善効果が進むようであれば、もう一段の収益性改善も期待でき、地銀業界のなかでも注目され始めるものと思われる。
長期的な観点からは、2020年のオリンピック開催都市の行方が注目される。2013年9月のIOC総会にて開催都市が東京に決まった場合、経済の波及効果として2013年から2020年までの8年間の合計額で、全国約2兆9,600億円、東京都だけでみると約9,600億円と試算されているためだ(オリンピック招致委員会及び都スポーツ振興局)。施設の建設や交通インフラの整備など建築業界を始め、流通、サービス業界などオリンピック開催に伴う経済的波及効果は大きく、中小企業の資金需要も一段と高まるものと予想されるだけに、今後の動向が注目されよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》
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