ラクーン Research Memo(4):「スーパーデリバリー」はBtoBの専門サイトとして日本最大級

2013年7月18日 18:10

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記事提供元:フィスコ


*18:10JST ラクーン Research Memo(4):「スーパーデリバリー」はBtoBの専門サイトとして日本最大級

■会社概要

(2)事業概要

○スーパーデリバリー

ラクーン<3031>の「スーパーデリバリー」はアパレル・雑貨を中心とした中小小売店向けの仕入サイトである。2013年4月期末で会員小売店数36,540店舗、出展企業数961社、商材掲載数369,719点となっておりBtoBに特化した専門サイトとしては日本最大級。

会員小売店は全国に幅広く分散しており、同サイトを利用する事によりECサイトならではのメリット(遠隔地との取引や、取引実績のない相手との取引を可能とする)を享受する事ができる。実際、会員の地域別分布はほぼ人口・店舗数に比例した格好となっているが、取引件数の割合でみると、地方会員の比率が相対的に高くなる傾向にある。また、同サイトの主要ユーザーである会員小売店は従業員数が10名以下の中小規模店であるが、当該小売店は「スピード」「効率性」「利便性」という価値にシビアであると同時に、競合する小売店と差別化を図る上で個性的な商品、希少価値のある商品の品揃えを充実させたいというニーズが強い。会員小売店が安定的に増加している事は、こうした付加価値を同サイトが提供できている証左であると言える。

出展企業にとっては、新規取引先開拓にかかる営業費用及び販売代金回収のための決済コストを、同サイトを利用することによって削減できるというメリットがある。特に中小規模の小売店をメーカーの営業マンが開拓することは非効率的であるため、同サイトの利用価値は高いと言える。また、同サイトでは実際の取引を開始する前に、会員小売店と出展企業が互いの情報を閲覧し、取引を開始するかどうか選べる「マッチング機能」をつけていることも特徴の一つだ。出展企業にとっては自社の意向によって小売店の選択が可能となり、製品流通量やリスクコントロールができる事は大きなポイントである。

「スーパーデリバリー」の収益構造としては、会員小売店、出展企業の両者から料金を徴収するバランスのとれたビジネスモデルとなっている。安定収入としては、主に出展企業から得る出展基本料(月額4万円)と、会員小売店からの小売店月会費(月額2千円)があり、それぞれの数に比例する形になる。変動収入としては出展企業から徴収するシステム利用料(商品売上の約10%)があり、商品売上高に応じて増減する形になっている。

実際のモノの流れとしては、会員小売店がサイト上で商品の発注を出してから出展企業(卸業者・メーカー)が直接会員小売店に送る格好となるため、同社は介在しないことになる。一方で、代金の流れとしては基本的に同社が出展企業の代わりに会員小売店から代金を回収し、出展企業に支払う格好となる。この際に、商品売上高の10%をシステム利用料として徴収する流れとなる。

以上から、「スーパーデリバリー」の粗利益の構造は、毎月徴収する会費や基本料などの安定収入(粗利益率はほぼ100%)と商品手数料(粗利益率10%)の合計となる。つまり、商品売上高が大きくなればなるほど粗利益率は低下していくことになる。実際、グラフの通り、商品売上高の拡大とともに粗利益率は低下傾向となっている。セグメント利益率が1%台と低く見えるのはこうした収益構造が背景となっている。


○掛売り・請求書決済代行サービス「Paid」

同社の掛売り・請求書決済代行決済サービス「Paid」は、企業間取引における代金回収・支払の部分を同社が一括して請け負い、売掛金の回収を保証するサービスとなる。そもそもは「スーパーデリバリー」の利用企業から「後払い決済」への強いニーズ(後払い決済は、各社で独自に「与信審査・限度額設定」をする必要あるため、中小企業にとっては負担となる)があったことから2011年10月より開始したサービスであるが、スーパーデリバリー以外の企業間取引にも広く開放しており、他のBtoBサイト運営会社などとも連携してサービス展開している。

「Paid」に登録したメンバーに対して、取引代金に掛かる請求書の発行から代金の回収、支払業務に至るまでの業務を同社が行い、売掛金の保証に対する対価として手数料(保証料)を徴収するシステムとなっている。決済取引高に一定料率を掛けた「保証料」(取扱金額の3.0%~4.5%)が売上高となる。ただ、現状の売上規模はまだまだ小さく年間で数千万円程度となっており、先行投資期間という位置付けとなっている。


○EC事業の競合状況

EC事業における競合サービスの状況としては、楽天<4755>など大手EC企業がサービスの一部としてBtoBに向けたメニューを立ち上げている。ただ、出展企業の属性が多岐に広がっていることに加え、同社では審査段階で通らないような企業も多数混在していることから、サイトのコンセプトそのものが異なっている。アパレル・雑貨に特化した「スーパーデリバリー」の競合としては捉え難い。このため、同社としてはインターネットサービスの提供企業よりも既存の卸売企業を競合として位置づけている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》

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