NYの視点:米国の景気先行きに陰り

2013年6月27日 07:04

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記事提供元:フィスコ


*07:04JST NYの視点:米国の景気先行きに陰り

米国商務省が26日に発表した1-3月期国内総生産(GDP)の確定値は前期比年率+1.8%となり、予想外に改定値の+2.4%から下方修正された。消費や企業の設備投資の落ち込みが響いた。米国経済の70%を占める個人消費は改定値の+3.4%から+2.6%に下方修正され、企業のオフィスや工場への設備投資は改定値の-3.5%から-8.3%へ下方修正された。また、輸出は改定値の+0.8%から-1.1%、輸入も+1.9%から-0.4%にそれぞれプラスからマイナスに下方修正された。

オバマ政権はブッシュ減税の一環であった給与税の税優遇措置を年初から撤廃。このため、インフレ調整後の実質可処分所得は年率-8.6%と、2008年第3四半期以来で最大の落ち込みを記録した。また、米国の企業は国内外経済の低迷で需要が鈍化すると見込んでいるほか、オバマケア(※)や財政への不透明感から新たな雇用や設備投資などを控える姿勢を強めている。オバマケアが本格的に施行された場合、企業は従業員を保険に加入させる義務が生じ、経費がかさむことを懸念している。このコストを逃れるために一定の割合の正社員をパートなどに置き換えている企業もある。

米国経済はおおよそ2%前後のペースでの成長が続いている。このペースでの成長では現在7.6%と高水準にある失業率を低下させるには不十分と考えられる。また、最近のGDPは個人消費や輸出が政府の見込みほど強くないことを証明しており、米国の税率の高さや世界経済の鈍化が米国経済の成長を抑制していることを露呈している。

1-3月期のデータは古いとの見方からあまり結果を重要視しないアナリストもいる。しかし、「この結果は米国経済が困難を脱しきっていない証拠」と見るアナリストも少なくない。ニューウェッジのアナリストは米国1-3月期のGDPの下方修正は政府の大幅な歳出削減が引き続き米国経済の重荷となっている証拠で、2013年の米国経済は比較的弱い基調で始まり4-6月期も同様に低調な成長が続くと予想しているようだ。春にかけての経済指標が物語っていると説明。

CRTのストラテジストは消費の減少が明らかに2012年10-12月期に大幅に上昇したあと減少に転じた賃金が主要因だと指摘した。米国経済が米連邦準備制度理事会(FRB)の見通し通りに改善しなければ、バーナンキ議長が提示したロードマップどおりに年末の資産購入規模の縮小は開始できず、ドルも伸び悩む可能性がある。

※オバマケア

オバマ政権が推進する米国の包括的な医療保険制度改革。国民に保険加入を義務付け、保険料の支払いが困難な中・低所得者には補助金を支給することにより、保険加入率を94パーセント程度まで高める策。《KO》

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