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アールシーコアCORPORATE RESEARCH(12/16):焦点は新規来場者数の確保と成約率の引き上げ【2】
*18:57JST アールシーコアCORPORATE RESEARCH(12/16):焦点は新規来場者数の確保と成約率の引き上げ【2】
■KEYWORDS 3 : 中期計画とその進捗
◆平均単価はほぼ横ばいを想定
なお、単価については過去10年間、同社の受注単価は950~1,000万円でほぼ横這っており、この傾向が継続するとの考えを採る。BESSは他のハウスメーカーとの競合が大きくないうえ、消費税の引き上げ、デフレ構造からの脱却期待などを考えれば、今後もこの程度の単価水準維持は十分可能との見方である。むしろじり高基調で推移する可能性も小さくないと考える。
ちなみに、住宅1棟当たりの受注単価が1,000万円前後というのはあまりに安く感じる。しかし、これは土地代が含まれておらず、かつ、施工・工事を伴わないキット販売分が主体であるため(施工・工事は販社や別の工務店などで対応)。会社側が明らかにしたところでは、現在、直営販売の単価は2,200万円程度、キット販売の単価は740万円程度。上記の950~1,000万円の単価というのは、この直営分とキット販売分の加重平均ということになる。特徴的なのは、BESSブランドや商品を「好き」と感じる層を顧客として絞り込んでいるため、他メーカーとの価格競争リスクは限定的にとどまること。これがこのデフレの時代においても販売単価で横ばいを維持できていた要因の一つでもある。
◆むしろ利益面での達成のハードルの方が低い
むしろ、利益面での目標の方がハードルは低いかもしれない。前段で詳述した通り、販社部門のセグメント利益は2012年度で31%もあり、中期計画に沿ってこの部門が大きく伸長すれば、営業利益率で1~2%ptの改善は決して難しくないと考えるためである。2012年度の全社営業利益率は6.7%と、前年比では0.3%ptの悪化となったが、これは直営の藤沢展示場開設に伴って、一時費用や減価償却費が嵩んだため。新規来場者3.3万組(あるいはそれ以上)達成のために広告宣伝費は今後も高水準を継続しようが、藤沢の稼働が定常状態となってくれば、これらが損益の重石になることはないと予想する。
究極のところ、中期経営計画は達成のカギは、いかに売上を確保するか、つまり、偏に新規来訪者3.3万組の確保と営業効率(成約率)の改善、延いては練度の高い営業員を今後どれだけ用意できるか、にかかっていると判断できよう。なお、(アールシーコア<7837>が直接の投資負担を負わない)販社経由の拡大方針や安定した財務状況を見る限り、アールシーコアがファイナンスに迫られる可能性も現時点では小さい。現在の株価では、役職員の持つストックオプションが行使される可能性があり、それが株式の希薄化(最大20%)を産む可能性はあるものの、利益水準が目標達成となれば、ROEの目標もそれに伴って達成されることとなろう。
◆売上目標達成には、新規来場者数、成約率、営業員数(の質)のいずれかの領域で何がしかのブレイクスルーが求められよう
改めて、成約率シナリオ別期待成約棟数、および売上見通しをまとめてみる。会社前提をそのまま採用すれば、次の表の通り、中期経営計画の目標である売上180億円を達成するには、成約率を5.5%まで上昇させたうえで、(倍増後ベースの)営業員一人あたりの成約棟数で2012年度並みの水準を維持する必要がある。しかし、上記で考察した通り、成約率の引上げ、営業員数の増加には課題が多く散見されるようにも思われる。逆に、これらのハードルを下げるとすれば、新規来場者数を3.3万組からさらに増やすことで対応するしかない。売上目標達成には、2016年度までの今後4年間で、いずれかの領域で何がしかのブレイクスルーが求められると考えられよう。ここが当面の最大の注目点になる。
◆代官山に続く新直営展示場は地区販社に向けてのロールモデルも目指す
もちろん、アールシーコアはノウハウの移植・譲渡を通して地区販社をバックアップすることになる。そこでは、新たにオープンした直営の藤沢展示場の役割が注目されよう。なぜなら、同社は藤沢展示場を中期計画実現のロールモデルに設定したいと考えているため。他に直営では代官山展示場があるものの、ここは埼玉、千葉、東京、神奈川と守備範囲が広すぎるうえ、来訪者数もあまりに多く、かつ多様である。それゆえに、戦略的ではあるものの、実践的とは言い難い一面があった。しかし、藤沢では守備範囲が地区販社と同程度に絞られてくることで、地区販社と同じスケールや目線で営業展開が可能である。首都圏という激戦区で実際に成約率を画期的に高めることができれば、地区販社にとってそれ以上に心強いロールモデルはあるまい。それは同時に、地区販社に対するアールシーコアの求心力がさらに増すことにも繋がることとなろう。そして、代官山展示場の機能はより「ブランド発信」にシフトするという役割分担を可能にすると考える。
株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング
長井 亨《FA》
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