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大研医器 Research Memo(10):売上高10,000百万円、経常利益2,000百万円が目先の目標
*18:14JST 大研医器 Research Memo(10):売上高10,000百万円、経常利益2,000百万円が目先の目標
■成長戦略
大研医器<7775>では今後の成長戦略として、既存領域、新領域とに区分し戦略を掲げており、目先の目標である売上高10,000百万円、経常利益2,000百万円を早い時期で達成していく。以下に最近の新製品研究開発動向について簡単にふれておく。
(1)住宅医療を見据えた加圧式医薬品注入器
原発性免疫不全症候群等により引き起こされる低ならびに無ガンマグロブリン血症の治療薬として、CSLベーリングが研究開発中の皮下注射用免疫グロブリン製剤に対応した加圧式医薬品注入器を開発し、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に製造販売承認の申請を行っている。
現在、海外の多くの国においては患者による皮下注射用免疫グロブリン製剤の投与が標準的となっているが、日本では病院に通院して静脈注射による投与が一般的となっている。同社が開発した加圧式医薬品注入器を用いれば医師の指導の下、患者自身の在宅における注射投与も可能となり、通院の頻度を減らし、QOL(Quality of Life)の向上にも大きく寄与するものとして期待されている。
日本における患者数は約3,500人程度で、全て同注入器を使ったとすれば年間で1,500百万円程度の市場規模になるとみられている。早ければ2013年度内にも製造販売の承認が下りる見通しで、シリンジェクターの新たな用途として拡大が期待される。
■低ならびに無ガンマグロブリン血症とは
原発性免疫不全症候群(PID)等により引き起こされる病態。PIDとは、免疫機能に影響を及ぼす150 を超える一連の疾患の総称でPID患者は、免疫機能がうまく働かないため、感染症にかかりやすく再発を繰り返すことがある。
(会社資料より引用)
■皮下注射用免疫グロブリン製剤とは
PIDの標準的な免疫グロブリン補充療法に使用される血漿分画製剤。継続的な投与により血中の免疫グロブリンが正常値に維持され、有効な効果をもたらすことが期待できる。
(会社資料より引用)
■CSLベーリング(株)
CSLベーリング(本社:アメリカ)の日本法人であり血漿分画製剤のグローバルリーダー。日本においては救命救急製剤、創傷治癒製剤及び免疫グロブリン製剤が主要領域。
(会社資料より引用)
(2)分離肺喚起用ダブルルーメンチューブ
同製品は肺や胸部の手術において、片肺だけを止める際に用いる医療機器で、国内での市場規模は年間約1,000百万円となっている。同社の製品は手術中でもチューブが臓器内でズレないようにする機能を持たせており、特許も複数申請中となっている。チューブの位置がずれると内視鏡を再挿入する必要があるため、医療現場ではチューブの位置ずれを解消する機能が求められていた。薬事申請は承認済みとなっており、現在は複数の大学でフィールドテストを実施し、製品評価を受けているところである。
(3)咽頭冷却装置
現在、製造販売承認申請中の咽頭冷却装置は、早ければ2013年秋頃に承認が下りる見込みとなっている。現在は上市に向けたプロモーション活動や保険収載に向けた活動等を行っている。同装置は岡山大学との共同開発プロジェクトになる。心肺停止や重い脳障害を受けた患者の脳を冷やすことによって、脳神経細胞を保護する「脳低温療法」の1つで、頚動脈が通る咽頭部分を集中的に冷やすことで、高い保護効果が得られるというもの。具体的には5度の冷水を封入したチューブを咽頭部に挿入して2時間程度冷却する。
現在、こうした急を要する医療行為を救急救命士が行うことは認められていないが、近年では気管挿管や薬剤投与などが認められるようになっており、咽頭冷却装置においても同様に認められるようになれば、需要が一気に拡大するものとみられる。年間の心肺停止患者数が12.7万人と多く、救急車内でのこうした救命措置は効果的とみられるためだ。同社では救急車内でも使用できるように一段の小型軽量化を図った装置の開発も進めており、今後の展開が注目される。潜在市場規模として、同社では年間10,000百万円程度の需要があるとみている。
(4)肺炎起因菌の即時検査システム
肺炎起因菌を即時で検査判定するシステムを東京医科大と共同で開発している。経済産業省から「課題解決型医療機器等開発事業」として採択されている事業となる。肺炎は原因となる菌の種類が数多くあり、治療法もそれぞれの菌によって変わってくる。ただ、現在は菌の特定には3日~1週間かかると言われており、菌の特定に至るまでに症状が悪化し、亡くなる高齢患者も多い。肺炎が死亡原因の第3位と上位に位置しているのも菌の判別時間の長さが原因の1つとなっていると言っても過言ではない。
このため菌の特定を瞬時に判別できる検査システムが強く望まれていた。今回、同社が開発する検査システムでは15分程度で菌を特定、判別できる仕様のものを目指しており、現在は基礎研究段階だが、2~3年後を目途に開発を完了したい考えだ。製品化されれば潜在的な需要は相当額に上るとみられ、今後の動向が注目されよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》
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