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アールシーコアCORPORATE RESEARCH(4/16):戦略的色彩の濃い直販部門
*17:40JST アールシーコアCORPORATE RESEARCH(4/16):戦略的色彩の濃い直販部門
■事業概要
以下、公開情報に基づき、開示セグメントを主体に事業部門を詳述する。
◆直販部門:戦略的色彩の濃い位置づけ、主体は完成までを請け負う工事
直販部門は全社売上の約4分の1を占める中核事業の一つ。直接的な利益寄与は大きくないものの、ブランドイメージの具現化、消費者意識やニーズの捕捉、販社へ提供するノウハウの蓄積、さらには先行開発モデルのテストマーケティングといった戦略的色彩の濃い位置づけにある。この部門の売上は、東京代官山のBESSスクエア、及び2012年度にスタートしたBESS藤沢展示場(神奈川)の2つの直営展示場を通して販売された自然派個性住宅と、それに付随するサービス(タイムシェア別荘のフェザントを含む)で構成されている。
直販部門の売上の主体は、商品であるBESS住宅の完成までを請け負う「工事」が担い、全体の89%を占める。一部、「キット販売」(部材のみの販売。施工は消費者が工務店に独自に依頼する)も手掛けているが、そのウエイトは4%と現在非常に小さい。
◆利益率では外注費用が重石となるも、敢えて「モノづくり」からは一線を画す
この部門のセグメント利益率はおよそ9%(2012年度実績)。後述する販社(フランチャイズ)部門の利益率と比較すると、やや見劣りする水準となっている。直販であるにもかかわらず利益率が販社部門に及ばないのは、BESS藤沢展示場設置に伴う償却費負担が重いという特殊要因に加え、施工・工事は外注の力に頼る部分が大きいという構造的要因に基づく。この構造的要因は、同社が施工部隊そのものを自社で抱えていないため。もちろん、外注委託でも全体の施工責任はきちんと負ううえ、工事の中核部分は自社で対応可能ながら、人手を要する工程などについては(少々割高でも)外注を活用しなければならないというのが実態である。
換言すれば、これらは自社で人を抱え、それなりの工事棟数を確保できれば利益率が大きく改善する可能性を示唆している。しかし、元々コンサルティング会社として発足し、現在も「ライフデザイン」の提案などを事業主体と設定している同社にとって、目指すべき方向に施工・工事スタッフの完全丸抱えという選択肢は現在のところない。それらはむしろ販社や外注に委託し、アールシーコア<7837>は「モノづくり」よりも「ブランド育成」に特化する意向にある。いつの時代においても色褪せないブランドを維持するためには、「モノづくり」から一線を画して消費者の目線を確保しておくべきというスタンスである。
このアプローチは実に慧眼であろう。なぜなら、モノづくりへのこだわりが機能や細部への過度な重視を招き、経営に一種の閉塞感を産んだ実例は非常に多いため、である。もちろん、「モノづくり」と「ブランド育成」は両立が可能であり、それに成功している企業も数多く存在している。しかし、「モノづくり」への過度な執着によって一旦「機能主義」や「細部主義」に陥ると、全体感として心地よい空間の創造を目指すという同社のアイデンティティそのものを揺るがしかねない。経営として、二兎を追うことのリスクはあまりに大きいと言えよう。であれば、欲を持たずに「モノづくり」の視点を敢えて外し(信頼できる販社・外注へ委託し)、ブランド育成に特化する方がむしろ効率的でさえある。この「ブランド価値」の維持・向上に専念する割り切った経営姿勢は高く評価されてよい。
それでもこの直販部門を自身で抱えるのは、「自らがマーケティングし、施工まで自身でやってみる」ことが重要であるからに他ならない。この経験があるからこそ、パートナーシップを持つ販社にノウハウを提供できるうえ、消費者の嗜好やニーズも肌で感じることができるようになる。戦略的位置づけとはそういう視点であり、結果として外注コストが重石となったとしても、それは必要なコストという認識にあるものと思われる。
◆時系列ではやや伸び悩み傾向だが・・・
なお、時系列でみると、この部門では売上にやや伸び悩み傾向がみられる。これは、前述の通り、能力的な限界があるのに加え、2008年度以降は土地を自らから仕入れての建売販売から撤退したことが主因である(現在は土地に関与せず、建物だけの販売を継続)。また、当初主体を占めていた別荘住宅向けの縮小に加え、一般住宅向けでは最寄りの販社にマーケットを譲ってきたことも一因。売上伸び悩みを特に深刻に捉える必要はない。
◆・・・首都圏の住宅一次取得層の把握に寄与
むしろ、そういった顧客層の入れ替え(販社へのマーケット譲渡)により、現在の代官山展示場の来訪者は、首都圏の住宅一次取得層が主流に変化。そこでは住宅ローンなど資金面でのサポートや土地を持たない消費者への対応、さらには建て替え・リフォームの希望といった、これまでには見えなかった消費者のニーズを浮き出させることにも成功している。これこそが直販部門を自前で抱える目的でもあった。現在はこれらが非ログハウス住宅の拡販に必要なノウハウの蓄積に繋がっている。
株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング
長井 亨《FA》
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