メディシス Research Memo(2):医薬品卸と薬局間の流通システムでビジネスモデルを創出

2013年6月13日 18:22

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記事提供元:フィスコ


*18:22JST メディシス Research Memo(2):医薬品卸と薬局間の流通システムでビジネスモデルを創出

■会社概要

(1)会社沿革

メディカルシステムネットワーク<4350>は、1999年9月に調剤薬局の業務合理化、医薬品流通の効率化を目的として北海道札幌市で現代表取締役社長の田尻氏ら関連業界出身者3人によって設立された。田尻氏は医薬品卸会社、代表取締役副社長の沖中氏はシステム開発会社、代表取締役専務の秋野氏は調剤薬局の出身であり、3人が前職で経験してきたノウハウを融合することによって、医薬品卸と薬局間の流通システムにおける新しいビジネスモデルの創出を実現できたと言っても過言ではない。

企業理念は「良質な医療インフラの構築を通じて地域住民のQOL(Quality Of Life)向上に貢献すること」であり、高齢化社会が進み医療費の膨張による国民負担が増加していくなかで、B to B事業(医薬品等ネットワーク事業)ではより効率的な流通システムを作り上げることによって、調剤薬局の経営を支援するだけでなく、医療費の増加を間接的に軽減する役割を果たしていき、また、B to C事業(調剤薬局事業)においては質の高い薬局を地域に展開していくことで、地域住民の健康をサポートする役割を果たしていくことを目標としている。

インターネットが普及するまでは、調剤薬局が医薬品卸売会社との受発注業務や決済業務を行う手段としては主に電話やFAXを使用していたが、業務が煩雑で経営負担の1つにもなっていた。そこで、こうした受発注、決済業務のほか、在庫管理や価格交渉なども含め、同社がネットワークを介して一括して代行するシステムを開発し、調剤薬局に販売していった。当初は医薬品の受発注取扱高ベースで30億円程度の規模からスタートし、2002年3月にナスダック・ジャパン市場(現在は東証1部上場)に上場。知名度が向上したことで普及が加速化し、2013年3月期には取扱高ベースで948億円の規模まで成長拡大している。また、2002年12月には調剤薬局事業を展開するファーマホールディングと、賃貸・設備関連事業を行う日本レーベンを100%子会社化し、事業の多角化を進めていった。

2003年には三井物産<8031>と医療医薬分野で戦略的提携を行い、2005年2月に本州地区の医薬品等ネットワーク事業を展開する子会社エムエムネットを設立。また、同年10月には調剤薬局事業で本格的なM&Aを実施し、連結売上高を一気に300億円規模に拡大していく。2007年には北海道ハイクリップス(現エスエムオーメディシス)を100%子会社化し、治験施設支援事業にも展開。その後も調剤薬局事業では積極的なM&Aによって店舗数の拡大を進めており、2013年3月末時点で自社グループ店舗数は269店舗となっている。

直近の動きとしては、2013年5月に三井物産との資本業務提携を解消し、エムエムネットを完全子会社化したほか、新たな試みとしてファミリーマート<8028>と業務提携を締結し、今後コンビニエンス機能付き調剤薬局を事業化していくための検証を開始している。また、業務提携を発表していた阪神調剤薬局と、2013年7月に医薬品仕入及び流通の共同取組などを目的に合弁会社H&M(出資比率51%)を設立すると発表している。

なお、2013年3月末時点での主要株主は上位3位までは代表取締役3人で占めており、三井物産が4位に入っているが、今般の提携解消によって三井物産の持ち株は、同社が2013年5月時点で全て買い受けている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》

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