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シリア内戦、戦乱拡大の背景とは
シリア内戦の解決に向け、米国とロシアが国際会議を行うことで合意した矢先、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの支援を受けたアサド政権が攻勢を強めている。
連日、反体制派の拠点クサイルを奪還すべく、大規模な攻撃に出ているようだ。反体制派優勢とされていた戦況が変化しつつある一方、介入者の拡大によって、内戦自体の性質も変化してきているようだ。
海外各紙は、シリア情勢の変化を報じている。
【多方面からの支援が結果的には内部崩壊を招くか?】
2年間におよぶ戦いを耐え抜いてきた政府軍は、最近になり、ヒズボラだけでなく国内における宗教少数派らの民兵もかき集め、勢力を増してきているとフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。
しかし同紙は、同盟国や民兵に大きな役割を与えることで政府軍が復活してきているものの、これは内戦の性質を変えることになりかねないと指摘。「壊滅的な状況で真の勝利を治めるためには、政府として勝つことが重要だが、今はひたすらそれが崩壊していくだけ」とのアナリストの声を取り上げ、内部分裂が生じかねないとしている。
さらにニューヨーク・タイムズ紙は、レバノン政府軍よりも勢力の強いヒズボラらが戦いを繰り広げることで、レバノン政府の思惑を無視して「参戦」することができてしまう点に着目している。
これにより、「シーア派対スンニ派」、「レバノン対イスラエル」という複数層に及ぶ戦いが表面化してきていると指摘した。
また、ヒズボラ兵士の死亡が相次いでいることで、内部からは疑問の声も挙がっているという。対して指導者らは、「反体制派のスンニ派はヒズボラのシーア派とはかけ離れており、もはやイスラム教徒とも言えない」ことや「シリア側にはイスラエルと欧米がいる」などと主張し、戦いの正当性と団結を訴えているようだ。
最近では、ヒズボラに武器が渡るのを阻止するため、イスラエルがシリアの首都ダマスカスを空爆するなど、両国の本格的な参戦のリスクは高まる一方だ。
【軍事介入に二の足を踏む米国】
事態がますます緊迫する中、反体制派から米国への支援拡大の声も大きくなっている。
アナリストらは、クサイル戦で政府軍が優勢になれば、内戦の流れが変わると見ているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。反体制派への本格的な軍事支援に踏み出せずにいる米国に対しては、「事態が悪化するのを傍観するのみでは、米国の歴史に傷が付く」との声も出ているようだ。
しかし米国政府は、現時点では、あくまで国際会議による話し合いが最善の解決策であるとの方針を崩していないという。ただしその会議についても、イランなど重要国の参加の有無が未定であり、「おとぎ話のように楽観的」な作戦だと批判されていると報じられている。
総じて、イスラエルだけでなく、ヨルダンやイラクなど多くの国へ戦乱の拡大が懸念されるなか、米国の対応が注目されているといえる。
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※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。
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