穀物価格の最高値更新で農業ビジネス参入株に「リスク・オン」のシナリオも浮上=浅妻昭治

2012年7月23日 13:45

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

日米両マーケットで、4~6月期の決算発表が始まった。欧州債務問題やユーロ安の再燃、米国、中国などの世界的な景気減速懸念などの逆風が再び吹き・・・。

日米両マーケットで、4~6月期の決算発表が始まった。欧州債務問題やユーロ安の再燃、米国、中国などの世界的な景気減速懸念などの逆風が再び吹き・・・。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  日米両マーケットで、4~6月期の決算発表が始まった。欧州債務問題やユーロ安の再燃、米国、中国などの世界的な景気減速懸念などの逆風が再び吹き、またまた世界同時株安の不安が強まるなか、「木を見て森を見ない」個別株物色の唯一の期待材料として注目を集めている。

  しかし、この決算発表、スタートから「日本時間」と「米国時間」では反応が違うようだ。例えば7月17日(米国時間)の取引終了後に決算を発表したインテルは、先行きの売り上げ予想を下方修正したとして時間外取引で下落し、18日(日本時間)の東証では関連株が売られた。ところが米国時間の18日には、業績内容は悪くはないとして反発した。

  続く19日(米国時間)は、マイクロソフトが発表した4~6月期決算は、上場後初の赤字となったが、1株利益が市場予想を上回ると評価、NYダウは続伸したが、20日(日本時間)の日経平均株価は、前日に織り込み済みとして反落、6月26日以来の8700円台割れとなってしまった。

  米国のシカゴ市場で穀物相場が急騰していることに対する反応度も、日米マーケットではマチマチとなっているようだ。米国が、熱波や猛暑で旱ばつに見舞われ、世界最大のシェア4割を占める大豆、トウモロコシで不作見通しが強まり、連日、穀物価格が最高値を更新していると報道されるや、日本では早速、コメ卸のヤマタネ <9305> や配合飼料の日本配合飼料 <2056> 、協同飼料 <2052> 、さらに丸山製作所 <6316> になどに買い物が集まり、値上がり率ランキングの上位に顔を並べた。

  ところが、米国市場から伝わってくる市況コメントは若干、趣が異なるようである。穀物相場急騰で原料調達コスト上昇を嫌ってシリアル大手のケロッグや食肉加工株が売られ、世界最大の農機メーカーのディアの株価も下落傾向にあるという。穀物相場急騰を日本では「リスク・オン」の材料と捉え買い上がり、米国では売り材料と評価して「リスク・オフ」優先となっているのかもしれない。

  もちろん日本でも、この穀物相場急騰は、これからマスコミが豆腐、納豆、パン、うどん、食用油の価格値上がりなどを騒ぎ立てるのは目にみえるようで、こうなると、稚魚不足で5割も値上がりウナギのニオイを嗅ぐだけで諦めざるを得ない哀れ下々は、電気料金の値上げに挟撃され、さらには消費税増税にも備えて、サイフのヒモをますます固くすることになり、「リスク・オン」が、一転して「リスク・オフ」に変わる展開も警戒されることになる。

  問題は、この好悪マチマチの評価が交錯する先である。食糧安全保障問題が、浮上するシナリオが想定されるのである。この問題が、政治問題化する可能性も無視できない。消費税増勢一点張りで、原発再稼働問題や米軍の新型輸送機オスプレイの配備問題などに後手後手を踏んでいる野田佳彦首相が、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加問題も絡んで、倒閣運動のもうひとつの政治争点として突き付けられる展開である。「政界の一寸先は闇」ともいわれているではないか。

  そのとき、コメ卸株や配合飼料株、農機株は、なお買いなのか売りなのかもう一度試されることは間違いない。もしこのシナリオ通りに食糧安全保障問題が、政治問題化するとしたら、穀物相場急騰関連株から「リスク・オン」銘柄と「リスク・オフ」銘柄をセレクトするのも、この夏相場の宿題となることはいうまでもない。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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