三菱重工、大型クルーズ客船に初の「空気潤滑システム」 泡の力で燃費向上

2012年6月7日 16:28

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「MALS」船底を覆って流れる気泡の様子(画像:三菱重工業)

「MALS」船底を覆って流れる気泡の様子(画像:三菱重工業)[写真拡大]

 三菱重工業は6日、世界最大のクルーズ客船会社カーニバル社のドイツ向けブランドであるアイーダ・クルーズ(AIDA Cruises)向け大型クルーズ客船2隻に、「三菱空気潤滑システム(MALS:Mitsubishi Air Lubrication System)」を搭載すると発表した。

 MALSは、泡の力で船底と水の抵抗を減らし、省エネ・CO2削減を実現する三菱重工の独自技術。今回は、船主の燃料消費量削減と環境負荷低減に対する強いニーズを受けて搭載が決まったもので、約7%の燃費向上が見込まれるという。なお、クルーズ客船における空気潤滑システムの搭載は世界初となる。

 「絶対的な性能および品質を要求するカーニバル社にMALSが採用されたことは、当社技術の信頼性が評価されたものであり非常に意義深い」と三菱重工はコメントしている。

 MALSを搭載するクルーズ客船2隻は、昨年11月に受注したもの。いずれも12万5,000総トン、3,250人乗りで、AIDAブランドの客船では最大となる。長崎造船所で建造し、2015年春と2016年春に引き渡す予定。

 MALSは、ブロア(送風機)を使って船底から吹き出した空気が、細かい気泡となって船底をカーペットのように覆うことで、航行時の船体と水との摩擦を減らすもの。今回の客船への搭載に当たり、独自開発の高効率ブロアの採用、最新の流体シミュレーション計算に基づく効率的な空気吹き出し位置の決定、吹き出し空気量の最適化等により、7%の省エネ効果を見込んでいる。

 なお、三菱重工は2010年に竣工したモジュール運搬船2隻にMALSを初搭載し、海上試運転において約13%の燃費向上を確認している。

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