新年度相場のテーマ株の一角に放射性物質の規制厳格化関連株が浮上も=浅妻昭治

2012年4月2日 12:48

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

「政治生命を賭ける」と決意表明をすると、「その前にするべきことがあるだろう」と大ブーイングが起こる。消費増税関連法案を巡って、与野党攻防、民主党内の対決はエスカレートの一途である。

「政治生命を賭ける」と決意表明をすると、「その前にするべきことがあるだろう」と大ブーイングが起こる。消費増税関連法案を巡って、与野党攻防、民主党内の対決はエスカレートの一途である。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  「政治生命を賭ける」と決意表明をすると、「その前にするべきことがあるだろう」と大ブーイングが起こる。消費増税関連法案を巡って、与野党攻防、民主党内の対決はエスカレートの一途である。野田佳彦首相の「政治生命」発言が、党内対決を煽っている印象さえある。

  しかし、消費増税関連法案が、今国会で成立すれば万事オーケーとするような首相の決意表明は、一般庶民からしたら違和感を覚えるはずだ。消費増税の前に行財政改革、国会議員の定数削減、社会保障の一体改革、成長戦略の推進などやるべきことがあるのはもちろんだが、さらにその以前にも東日本大震災が発生して以来、ほとんど手付かずになっている問題も数限りなく多い。

  もっとも身近な問題は、原発事故の後処理である。損害賠償問題、がれき広域処理、除染作業、風評被害、避難区域の再編など、東京電力 <9501> ・福島第1原子力発電所の周辺地区ではなお多くの難問を抱えているが、放射性物質の汚染問題は、周辺地区だけにとどまるものではない。環境庁が指定した汚染状況重点調査地域は、104市町村と首都圏の茨城県、栃木県、群馬県、千葉県にまで及び、除染実施区域として除染が実施されているからだ。

  原発事故発生の第一義的な責任は東電にあり、損倍賠償の責を負うのは当然だが、放射性物質が広範囲に拡散した政治責任がどこにあるのか、なお未解明である。東日本大震災に対処する一連のトップ会議の議事録がまったく作成されなかったことも含めて、放射性物質拡散の政治責任は、民主党政権が負うことになることだけは間違いないはずだ。

  当時のテレビニュースのビデオを巻き戻せば、菅直人前首相がどう発言したか、枝野幸雄前官房長官がどう状況説明をしたか明らかになるが、当事者の両名からは釈明のコメントが一向に伝わってこない。野田首相も、この責任問題は眼中にないらしく、「政治生命」発言で消費増税抗争をエスカレートさせて一点集中、国民目線の分かりやすい政策対応には程遠い。

  放射性物質の汚染問題は、この4月1日から食品中の放射性物質に関する暫定規制値が引き上げられ、放射性セシウムの新基準は、一般食品が、暫定値の500ベクレル(1キログラム)から100ベクレル、飲料水が200ベクレルから10ベクレルなどと4分の1から20分の1へ厳格化された。原発事故から1年有余、原発事故処理は第2ステージ入りとなる。

  前置きが長くなったが、新年度相場のテーマ株の一角として原発事故の放射性物質の新規制関連株や除染関連株が位置付けられることになり、幅広く関連株をマークしてくことが有望株の発掘につながることになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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