先物主導型相場のリスクを回避し「西の南海、東の京成」の旧人類型投資に活路=浅妻昭

2012年3月5日 13:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

先物主導型相場には付いて行けない、振り回されるのは願い下げだとお思いの投資家は、少なくないに違いない。ファンダメンタルも相場感も関係なく値動き至上主義のプログラム売買で・・・。

先物主導型相場には付いて行けない、振り回されるのは願い下げだとお思いの投資家は、少なくないに違いない。ファンダメンタルも相場感も関係なく値動き至上主義のプログラム売買で・・・。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  先物主導型相場には付いて行けない、振り回されるのは願い下げだとお思いの投資家は、少なくないに違いない。ファンダメンタルも相場感も関係なく値動き至上主義のプログラム売買で、コンピューターのキーにタッチするだけで勝ち負けが即決するバーチャル(仮想)か、リアリティ(現実)か掴みどころのないゲ-ム感覚の投資世界である。「ハゲタカ・ファンド」なのか「ハイエナ・ファンド」なのか、マーケットを席捲する肉食獣系のファンド・マネジャーの最先端の金融工学を駆使する荒業を目にすると、旧人類を自認する草食獣系の投資家は、リスクを恐れて市場の片隅に身を寄せ合って嵐が過ぎて行くのを待つ以外にない心境にさせられる。

  この肉食獣系のファンド・マネジャーたちの先物投資が、全戦全勝かといえばどうもそうでもないらしい。いまや毎日の新聞、テレビの社会部ダネとして特報されているAIJ投資顧問など、どういう運用をしたら2000億円もの年金資産を消失できるのか、もっとウラの事情が隠れているのかなど、旧人類投資家の警戒感を強めるばかりである。かつても新人類と呼ばれたトレイダーたちが、旧人類投資家の消極姿勢を尻目に跋扈したが、いまとなっては、この新人類相場も、バブル相場の一朝の夢であったことが明らかになっている。

  旧人類投資家としては、先物主導型相場のリスクを回避して東証2部株投資に活路を見出し、この2部指数の史上最長の連騰記録が途絶えると、今度は、電鉄株の株主優待込みの配当利回り買いに方向転換するなどそれなりの創意工夫を発揮してきた。この旧人類投資家の間でも、かつて市場や業界で「西の南海、東の京成」といわれたキャッチコピーをなお記憶にとどめている投資家は、もう少数派にとどまるだろう。

  「西の南海、東の京成」とは、業界の限界企業、お荷物企業を指していた。業績は低空飛行で無配、当然、株価も業界最安値で、運賃改定時には、値上げ認可幅も業界最高の改定率とならざるを得ない。業界にとっては、お荷物企業だが、運賃改定が高率となる分だけ他社にとっては、値上認可がスムーズに進む付随効果もあったことにはなる。

  その京成電鉄 <9009> と南海電気鉄道 <9044> (大1)が、並みの電鉄会社にレベルアップしたのは、京成では子会社のオリエンタルランド <4661> (東1)が、「東京ディズニーランド」を1983年開園して以来であり、南海も、2007年に旧大阪球場の跡地を再開発して「なんばパークス」を全面開業して以来である。そして、前週末現在では、揃って昨年来高値水準にいる。

  この電鉄2社には、社史をひもとくといろいろ共通点が浮かんでくる。まずプロ野球との関連では、南海の旧大阪球場は、かつてのプロ野球球団・南海ホークスのフランチャイズ球場であったが、京成も負けてはいない。いまは閉園されているが、同社が直営経営していた谷津遊園地内には、「巨人軍発祥之碑」が建っていて、現在の読売巨人軍のルーツがここにあった歴史を顕彰していた。

  そして最大の共通点といえば、両社とも国際空港へのアクセル路線を運行していることだろう。京成は、1978年に開港された成田国際空港、南海が、1994年に開港された関西国際空港のそれぞれ空港線を運行、両空港へのアクセスの中核を担っている。そしてこの空港アクセスでは、同社に株価的に同様のポジティブ材料が浮上していることも共通である。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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