温故知新の昭和ノスタルジー投資で「4%クラブ」銘柄に配当利回り買い=浅妻昭治

2012年2月27日 13:00

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

『明治は遠くなりにけり』とは、明治が終わっておよそ30年を経過したころに詠まれた俳句だそうである。

『明治は遠くなりにけり』とは、明治が終わっておよそ30年を経過したころに詠まれた俳句だそうである。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  『明治は遠くなりにけり』とは、明治が終わっておよそ30年を経過したころに詠まれた俳句だそうである。それからすると、『昭和は遠くなりにけり』と慨嘆するのは、平成に入ってまだ24年、ちょっと時期尚早なのかもしれない。しかし、映画『三丁目の夕日』のヒットをなぞらえるようで恐縮だが、思わず『昭和は遠くなりにけり』と過ぎた昭和にタイムスリップしたように、昭和ノスタルジーを掻き立てられるようなニュースが、年明け以降に相次いで伝えられた。

  一つは、日本の将来人口推計である。減少に転じている日本の人口は、平成72年(2060年)に8674万人と2010年から50年の間に4132万人も減少すると推計された。この50年後の推計人口は、昭和45年(1970年)に総人口が1億人の大台に乗せる以前の昭和25年(1950年)の8320万人レベルという計算になるからだ。

  もう一つは、昨年2011年の貿易収支が、31年ぶりに2兆4927億円の赤字に転落したことだ。この赤字額も、昭和30年(1966年)の赤字額に続く2番目の規模となった。続く今年1月の貿易赤字も、1兆4750億円の赤字と赤字額は過去最悪となり、エコノミストの間でも、貿易赤字が定着したのか、原発事故に伴う発電燃料の輸入増などによる一時的な現象かで議論を呼んでいる。

  さてここからが、本論である。ノスタルジーを掻き立てられるのは、昭和の時代では、とくに貿易赤字は恒常的な当たり前の経済事象であったからだ。当然、兜町でも、「貿易赤字の壁」、「公定歩合の壁」して、貿易赤字転落は、相場のピ-クアウト、天井のシグナルと受け取られてきた。好景気が行き過ぎて物価が上昇してインフレ化すると、輸入額が輸出額を上回って貿易収支が赤字転落し、過熱景気を沈静化するために日本銀行は、「伝家の宝刀」の公定歩合の引き上げに踏み切ったのである。この公定歩合の引き上げも、2回までなら相場にとっては中立材料として、まだまだ大丈夫、「肉は腐る前が一番旨い」と果敢に買い出動して高値掴みした投資家も少なくなかった。

  その後、日本は、輸出大国、債権大国への道を邁進し、一時は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで持ち上げられたが、それが、31年ぶりの貿易赤字転落、とんだ先祖返りである。人口にしろ、貿易収支にしろ、まさに『縮み志向の日本』ではないか。ここはちょっと早いかもしれないが、温故知新のノスタルジーではないが、投資スタイルも、昭和に立ち戻って、これからの投資スタンスを検討する余地はありそうだ。

  昭和の投資スタイルの主流は、もちろん配当利回り買いである。額面割当増資と配当で株主への利益還元が行われ、株式の長期保有が図られた。昭和22年の証券民主化運動以来の株式保有の大衆化で、「銀行よサヨウナラ、証券よコンニチワ」をキャッチコピーに「池のなかの鯨」と化した投資信託ブームの行き過ぎで昭和40年の証券不況が惹起された不幸な歴史も経験したが、いままたこの配当利回り買いの好環境が示現されているのである。現在、長期金利が1%を下回る低金利が長期化する金融情勢下、東証1部全銘柄の平均配当利回りは2%に達し、なかには3~5%にまで達する好配当利回り銘柄がゴロゴロ並んでいるからである。キャピタルゲイン(値上がり益)もさることながら、インカムゲイン(配当収入)もそこそこ期待できることになる。

  そこで注目したいのが、東証が昨年3月から算出・配信している東証配当フォーカス100指数構成銘柄のうちの3月期決算会社である。不動産投信のほか90銘柄で構成される同指数の今年1月12日現在の予想配当利回りが、3.79%にもなっているからだ。もちろん狙いは、この予想利回りをアウト・パフォームする銘柄である。前週末24日現在で、利回りが5%の計算となる武田薬品工業 <4502> を筆頭にトップ10にランキングインする「4%クラブ」銘柄は、3月相場入り後の配当取りでは、どうしてもマークしておく必要があるということになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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