割安上方修正銘柄は「敬意を表す」展開で順張り・逆張りの全方位投資余地=浅妻昭治

2012年2月20日 13:48

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

兜町ですでに死語化した相場用語は数多い。「ファイナンス高」、「転換促進相場」などと並んで、「敬意を表す」などという言い方も、その代表の一つである。

兜町ですでに死語化した相場用語は数多い。「ファイナンス高」、「転換促進相場」などと並んで、「敬意を表す」などという言い方も、その代表の一つである。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  兜町ですでに死語化した相場用語は数多い。「ファイナンス高」、「転換促進相場」などと並んで、「敬意を表す」などという言い方も、その代表の一つである。証券不祥事の不幸が兜町を直撃した以前の旧大蔵省証券局と証券業界が、まだ親密関係にあった時代には、使用頻度の高い相場用語であったが、最近はトンと聞かなくなった。

  例えば相場が過熱状態にあるとする。すると地場に「大手4社の社長が、証券局長に呼ばれたらしい」などというウワサが流れる。実際に4社の社長は、証券局長室で「もう少し行儀をよくしたらどうか」などとアドバイスされるらしいのだが、その社長が、霞ヶ関から兜町に帰り着く前に、もう日経平均株価は、アウンの呼吸で下げに転じている。シナリオ営業、推奨販売方式の全盛時代である。本店から各営業店への号令は手控えられ、赤伝票は青伝票に差し替えられる。これを称して「敬意を表する」などと呼び慣わしていたのである。

  株価は、時代、世相を映す鏡でもある。ベテラン・サラリーマンが、年功序列廃止などの大義名分のもとに「窓際」どころか「窓の外」に追いやられ、年金受給者が、若い世代への寄生虫視されて毛嫌いされ、「ジジイ」、「オジン」などと蔑まれる時代である。「敬う」、「敬意」などの日本の醇風美俗が、姿を消して久しいから、相場用語だけに長寿化を願うのは無いものねだりに等しいことになるだろう。

  ところがつい最近、この「敬意を表す」が復活したようなハプニングが起こった。2月14日の日銀の金融政策決定会合で決定された追加金融緩和策である。白川方明総裁は、会合後の記者会見で物価上昇率の目標値を1%とし、長期国債の買い入れ額を10兆円増額する追加緩和策によりデフレ脱却を目指すと説明したが、とたんに日経平均株価は、208円高と今年最大の上昇幅で半年ぶりに9200円台を回復、為替相場も、その後、1ドル=79円台、1ユーロ=104円台まで一気に円安が進んだ。

  とくに為替相場では、追加緩和策はサプライズとなって円買い・ドル安を仕掛けていた市場参加者はポジション調整を迫られ円売りが膨らんだという。これこそ久々の「敬意を表す」展開であり、例の円安場面で米国のサブルプライムローン・バブルのエンジンとなった円キャリートレードの復活まで観測されている。

  株価の方も、日経平均株価がその後9300円台まで続伸し、「敬意を表す」強調相場が続いているが、この内容を吟味すると「敬意を表す」醇風美俗とはやや趣の異なる銘柄が中心となっているようである。下げが厳しかった銘柄ほどよくリバウンドするとする「リターン・リバーサル」投資が主流で、今年1月末からの3月期決算会社の4~12月期業績の発表で、業績を下方修正した銘柄や赤字幅が悪化した銘柄が、底上げ相場の中心になっているからだ。

  「白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕る猫が良い猫」、「上がる株が優良株」とは、兜町の万古不易の投資セオリーで間違いないが、死語化したと思った相場用語が折角、復活したのだから、ここはこだわって、ターゲットにする銘柄も、「敬意を表す」銘柄に絞り込みたいものである。どこにそんな銘柄があるかといえば、1月末の決算発表以来、業績を上方修正した銘柄で投資採算的に割安に放置されている銘柄をリサーチすれば、おのずと浮上してくる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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