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【外国為替市場を検証:ドル・円相場】ほぼ市場の予想どおりとして反応は限定的
【外国為替市場フラッシュ:12月12日~16日のドル・円相場】
■ユーロ問題に関心が集中、概ね1ドル=77円50銭近辺~78円10銭近辺で小動き
12月12日~16日の週のドル・円相場は、引き続き市場の関心がユーロ圏債務危機問題に集中したため、ユーロ売り圧力が強まった流れでドル買い・円売りが優勢になる場面もあったが、概ね1ドル=77円50銭近辺~78円10銭近辺の狭いレンジで膠着感を強めた。13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利を据え置き、追加緩和策について言及しなかったが、ほぼ市場の予想どおりとして反応は限定的だった。
ドル・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末9日の海外市場では、概ね1ドル=77円50銭台~70銭台で推移した。EU首脳会議の結果を受けても積極的なユーロ買いにつながらず、ドル・円相場も小動きに終始した。米10月貿易収支は貿易赤字が434億ドルと前月比1.6%減少して市場予想以上に改善した。米12月ミシガン大学消費者信頼感指数は67.7と11月の64.1から上昇して市場予想も上回った。ただし市場の反応は限定的で終盤は1ドル=77円60銭近辺だった。
この流れを受けて週初12日の東京市場でも、概ね1ドル=77円50銭台~60銭台で小動きだった。重要イベントのEU首脳会議を通過したが、13日の米FOMCを控えて様子見ムードを強めた。12日の海外市場では1ドル=78円00銭近辺に円が下落する場面があった。ユーロ圏債務危機問題でユーロ売り・ドル買いの動きが強まり、ドル買い・円売りにつながった。終盤は1ドル=77円90銭近辺だった。
13日の東京市場では概ね1ドル=77円80銭台~90銭台で推移した。EFSF(欧州金融安定基金)短期債の入札や米FOMCを控えて様子見ムードが強く小動きだった。13日の海外市場では概ね1ドル=77円60銭近辺~78円00銭近辺で推移した。欧州各国の国債格付け引き下げ懸念が強まったことに加えて、メルケル独首相がESM(欧州安定メカニズム)の規模拡大について否定的な姿勢を示したため、ユーロ売りの流れでドル買いが優勢だった。米FOMCでは政策金利を据え置き、追加緩和策について言及しなかったが、ほぼ市場の予想どおりとして反応は限定的だった。米11月小売売上高は前月比0.2%増加にとどまり前月改定値の0.6%から鈍化して市場予想を下回った。しかし反応は限定的だった。終盤は1ドル=78円00銭近辺だった。
14日の東京市場では概ね1ドル=77円90銭近辺~78円00銭近辺の狭いレンジで推移した。手掛かり材料難となって膠着感を強めた。14日の海外市場では概ね1ドル=77円90銭台~78円10銭台で推移した。ドル買い・円売りがやや優勢だった。イタリア10年債の流通利回りが7%台に上昇したため、ユーロ・ドル相場で1ユーロ=1.29ドル台にユーロが下落した流れが波及した。
15日の東京市場では概ね1ドル=77円90銭近辺~78円10銭近辺の小幅レンジで推移し、終盤はドル売り・円買いが優勢になった。日銀短観12月調査で大企業製造業の業況判断DIがマイナス4となり、前回9月調査に比べて6ポイント悪化したが反応は限定的だった。15日の海外市場では概ね1ドル=77円70銭近辺~78円00銭近辺で推移した。序盤はスペイン国債入札が順調だったため、ユーロ買い・ドル売りの流れでドル売り・円買いがやや優勢だったが、終盤は米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米新規失業保険申請件数など、堅調な米主要経済指標を受けてドル買いがやや優勢となった。
16日の東京市場では概ね1ドル=77円80銭台~90銭台の狭いレンジで推移した。手掛かり材料難となって膠着感を強めた。16日の海外市場では概ね1ドル=77円60銭台~90銭台で推移した。ユーロ買い・ドル売りの流れでドル売り・円買い優勢になる場面もあったが終盤は1ドル=77円80銭近辺だった。米11月消費者物価指数(CPI)は前月比0.0%で変わらず、食品・エネルギーを除くコア指数は前月比0.2%上昇となり、いずれも市場予想とほぼ同水準で反応は限定的だった。
ドル・円相場に関しては、リスク回避の円買い圧力、FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑、ドル買い・円売り市場介入への警戒感などが交錯する状況に大きな変化はないが、市場の関心がユーロ圏債務危機問題に集中しているため、動意に乏しい状況が続いている。
8日~9日のEU首脳会議では、財政規律強化に向けた新たな財政協定、IMF(国際通貨基金)に対する融資、ESM(欧州安定メカニズム)の前倒し稼働などを合意したが、格付け会社が欧州各国の国債格付け引き下げの可能性を示したため、ユーロ売り圧力が強まった。この流れを受けてドル・円相場ではドル買い・円売りがやや優勢だった。
堅調な米主要経済指標を受けて米景気の2番底に対する警戒感は後退しているが、引き続きユーロ圏債務危機問題、欧州各国の国債格付け引き下げ、欧州各国の国債入札や流通利回りの動向が焦点となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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