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【外国為替市場を検証:ユーロ・円相場】欧州各国の国債格付け引き下げ懸念が広がる
【外国為替市場フラッシュ:12月12日~16日のユーロ・円相場】
■ユーロ売り圧力が強まり、1ユーロ=101円台前半に円が上昇
12月12日~16日の週は、欧州各国の国債格付け引き下げ懸念が広がったことを受けてユーロ売り圧力が強まった。ユーロ・ドル相場では約11カ月ぶりに1ユーロ=1.29ドル台にユーロが下落する場面があり、ユーロ・円相場も1ユーロ=101円台前半に円が上昇した。
ユーロ・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末9日の海外市場では、1ユーロ=104円10銭台に円が下落する場面があった。中国が総額3000億ドル規模の投資機関を設立して欧米に投資するとの報道も好感してユーロが買われた。その後はEU首脳会議の結果を受けても積極的なユーロ買いにつながらず伸び悩んだ。終盤は1ユーロ=103円90銭近辺だった。
週初12日の東京市場では1ユーロ=103円30銭近辺に円が上昇した。ムーディーズ・インベスターズ・サービスが12年第1四半期にEU加盟27カ国の格下げを検討する可能性を明らかにしたことを受けて、ユーロ売りが優勢になった。12日の海外市場では1ユーロ=102円60銭台に円が上昇した。フィッチ・レーティングスもユーロ圏各国の格付けに対する圧力が高まったとの見方を示したため、ユーロ売り圧力が強まった。
13日の東京市場では概ね1ユーロ=102円50銭台~80銭台で推移した。EFSF(欧州金融安定基金)短期債の入札、米FOMC(連邦公開市場委員会)を控えて小動きだったが、終盤にはユーロ売りがやや優勢になった。13日の海外市場では1ユーロ=101円40銭台に円が上昇した。独ZEW景況感指数が予想外に上昇したことや、スペイン国債とEFSF短期債の入札が順調だったことを受けて、序盤にはユーロ買いが優勢になる場面もあった。しかし欧州各国の国債格付け引き下げ懸念が強まったことに加えて、メルケル独首相がESM(欧州安定メカニズム)の規模拡大について否定的な姿勢を示したため、ユーロ売りが優勢になった。米FOMCでは政策金利を据え置き、追加緩和策について言及しなかったが、ほぼ市場の予想どおりとして反応は限定的だった。終盤は1ユーロ=101円60銭近辺だった。
14日の東京市場では概ね1ユーロ=101円40銭台~70銭台で推移した。ユーロ売りが一服したが、イタリア国債入札を控えて様子見ムードを強めた。14日の海外市場では1ユーロ=101円10銭近辺に円が上昇した。イタリア5年債落札利回りが6.47%とユーロ導入後の最高水準となり、10年債の流通利回りが7%台に上昇したため、ユーロ売り圧力が強まった。ユーロ・ドル相場では、約11カ月ぶりに1ユーロ=1.29ドル台にユーロが下落した。
15日の東京市場では概ね1ユーロ=101円30銭台~50銭台で推移した。ユーロ売りが一服したが、スペイン国債入札などを控えて様子見ムードを強めた。15日の海外市場では概ね1ユーロ=101円00銭近辺~50銭近辺で推移した。序盤はユーロ売りが優勢だったが、スペイン国債入札が順調だったことを受けてユーロ買い戻しがやや優勢になり、終盤は1ユーロ=101円30銭~40銭近辺だった。
16日の東京市場では1ユーロ=101円30銭台~50銭台で推移した。前日の海外市場からの流れでユーロ売りは一服したが、様子見ムードの強い展開だった。16日の海外市場では概ね1ユーロ=101円10銭近辺~80銭近辺で推移した。序盤はユーロ買い戻しが優勢になる場面もあったが、欧州各国の国債格付け引き下げ懸念が強まりユーロ売りが優勢になった。格付け会社フィッチ・レーティングスは、12年1月末までにイタリアやスペインなど欧州6カ国の国債格付けを引き下げる方向で見直し、フランスの格付け見通しについてもネガティブに引き下げるとした。終盤は1ユーロ=101円50銭近辺だった。
ユーロ圏の債務危機問題に関しては、8日~9日のEU首脳会議で、財政規律強化に向けた新たな財政協定、IMF(国際通貨基金)に対する融資、ESM(欧州安定メカニズム)の前倒し稼働などを合意した。しかし、格付け会社による欧州各国の国債格付け引き下げ観測が広がり、リスク回避の動きが優勢になった。
EU首脳会議前の5日と6日には、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がドイツやフランスを含むユーロ圏15カ国の国債格付けとEFSF(欧州金融安定基金)債の格付けを引き下げる可能性を発表していたが、12日には、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが12年第1四半期にEU加盟27カ国の格下げを検討する可能性を明らかにし、フィッチ・レーティングスもユーロ圏各国の格付けに対する圧力が高まったとの見方を示した。このためイタリアの10年債流通利回りが再び7%台に上昇するなど市場は警戒感を強めた。格付け会社のコメント、各国の国債入札や流通利回りの動向に引き続き注意が必要だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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