「熱狂的フアンづくり」経営で好業績の寿スピリッツ、河越誠剛社長に聞く

2011年11月25日 12:04

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

消費停滞が伝えられる中、洋和菓子で好業績を挙げる寿スピリッツ<2222>(JQS)。その背景には、北海道から九州まで全国を網羅する販売プラットホームと製造拠点を活用し、たとえば、小樽洋菓子舗『ルタオ』のように、高人気の地域限定ブランドに育て上げる「熱狂的ファンづくり」経営がある。

消費停滞が伝えられる中、洋和菓子で好業績を挙げる寿スピリッツ<2222>(JQS)。その背景には、北海道から九州まで全国を網羅する販売プラットホームと製造拠点を活用し、たとえば、小樽洋菓子舗『ルタオ』のように、高人気の地域限定ブランドに育て上げる「熱狂的ファンづくり」経営がある。[写真拡大]

■厳しい消費の中で今期業績を増額

  消費停滞が伝えられる中、洋和菓子で好業績を挙げる寿スピリッツ <2222> (JQS)。その背景には、北海道から九州まで全国を網羅する販売プラットホームと製造拠点を活用し、たとえば、小樽洋菓子舗『ルタオ』のように、高人気の地域限定ブランドに育て上げる「熱狂的ファンづくり」経営がある。今期(2012年3月期)を増額した同社の河越誠剛社長(=写真)に聞いた。

■映画『聨合艦隊指令長官 山本五十六』の制作プロジェクトに出資参加

――御社の事業は消費関連ですが、東日本大震災による消費自粛ムードの影響はいかがでしたか。

  【河越社長】 月次では3月、4月と震災の影響を大きく受け、落ち込みを余儀なくされました。しかし、5月以降は自粛ムードの緩和と新商品投入や新規出店などの積極的な事業施策の遂行により想定を上回るスピードで上向いています。四半期の業績では、第1四半期(4~6月)の売上42億5300万円(前年同期比4.4%減少)、営業利益8100万円(同比64.3%減益)に対し、第2四半期(7~9月)では、売上48億500万円(前年同期比1.8%増)、営業利益3億9400万円(同比14.4%増益)と、大きく回復しています。

――この勢いから、今3月期通期の見通しを上方修正されたのですね。

  【河越社長】 そうです。下期にはクリスマス、バレンタインなどのイベント商戦の対策強化にも取組むことから、去る11月2日に中間期決算(4~9月)を発表し、今3月期通期の見通しを上方修正しました。売上を6億5000万円増額して188億5000万円(期比2.3%増)、営業利益で2億2000万円増額の13億2000万円(同比5.2%増益)、1株利益64.5円としました。配当は年20円を予定しています。

――御社は純粋持株会社の経営形態です。グループ企業の状況をお願いします。

  【河越社長】 北海道から九州まで全国を網羅する販売プラットホーム、製造拠点を活用し、地域限定ブランドを各地に展開するカンパニーの連合体です。製造子会社5社、販売子会社11社でグループを形成しています。製造子会社は「ケイシイシイ」(中間期売上31億6900万円)、「寿製菓」(同33億2800万円)、「九十九島グループ」(同13億6600万円)、「但馬寿」(同5億800万円)、「つきじちとせ」(同3億7200万円)他です。

――人気の『ルタオ』ブランドは、「ケイシイシイ」の商品ですか。

  【河越社長】 そうです。小樽洋菓子舗『ルタオ』は強力なブランドに育ち、「ケイシイシイ」の主力です。通販での売上も好調に伸びています。有名タレントを起用したテレビCMの放映や、テレビ番組との共同開発企画などのプロモーション展開を推進しました。5月には小樽市で6店舗目となる大型新店舗「パトス」をオープン、7月にはリニューアルされた新千歳空港での初の直営店舗を出店しました。新商品では『シンデレラデフマージュ』、『宇治抹茶ドゥーブルフロマージュ』の投入による通販企画の充実に取り組みました。

――「寿製菓」は、御社の本社がある山陰が地盤ですね。「寿製菓」の状況と、そのほかの子会社の状況をお願いします。

  【河越社長】 「寿製菓」は、関東圏の代理店向け売上が低迷しましたが、地元山陰地区では、『白ウサギフィナンシェ』がPR効果で引き続き好調です。「九十九島グループ」は、震災の影響により大手テーマパーク向けの落ち込みや、ハウステンボス地区の直営店舗「グランマーケット」を5月に退店したことによる売上減少があった一方、『博多創菓子はかたんもん』が健闘しました。「但馬寿」は、震災の影響による期初の落ち込みと、黒豆茶通販が低調でした。「つきじちとせ」は、今年6月に『東京ミルクチーズ工場』と、『コートクールシュクレ』の2つの洋菓子を立ち上げ、羽田空港催事の強化に努めました。また、8月には新宿ルミネに出店しました。「販売子会社11社」では、交通機関市場を中心に販売強化に引き続き取り組んでいます。名古屋地区で新商品『小倉トーストラングドシャ』、関西地区ではコンディトライ神戸の生ギフト展開、宮崎地区で『宮崎マンゴーラングドシャ』が堅調です。

■新分野では健康・美容をテーマにしたヘルスケア事業も

――業績好調の背景に御社の「熱狂的ファンづくり」経営が注目されています。

  【河越社長】 当社の経営理念「喜びを創り喜びを提供する」という行動指針を言い現した言葉です。たとえば、『ルタオ』のケイシイシイでは、ルタオ13周年記念イベント、ハロウインパーティの開催、料理教室を上期に実施しました。寿製菓では、お菓子の寿城・大感謝祭、ガイナーレ鳥取(JFL)とクラブスポンサー契約しています。いろいろなイベント等を通して地元などとの関係を濃く、強くして会社、お店及び商品に対してファンをつくる、しかも表面的なものでなく熱狂的なファンづくりに取り組んでいます。直近では、12月23日からロードショーの映画「聨合艦隊司令長官・山本五十六」の制作プロジェクトに出資参加しています。

――今後の取組についてお願いします。

  【河越社長】 全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップの「総合プロデューサー」としての立場をより強固とします。とくに、「地域性」および「専門店性」を追求した地域限定有店舗と通信販売によるブランド戦略を推進します。さらに、新商品開発、新規出店、新市場・需要の開拓、人材の育成などに取り組みます。なかでも、北海道と東京を重点市場と位置づけ、特に東京市場は、事業の再構築を進めていきます。また、新分野では健康・美容をテーマにしたヘルスケア事業にも試験的に取り組んでいきたいと思っています。売上高経常利益率10%以上を目指しています。

――ありがとうございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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