従業員満足度(ES)について~従業員満足度の考え方~

2011年11月14日 08:55

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■従業員満足度アンケート
 あるセミナーでES(従業員満足度)調査によって満足度をはかり、組織活性化を実現する内容の講演を聞いた。

従業員満足度を
(1)会社との関係
(2)上司との関係
(3)仕事の内容
(4)職場環境
(5)制度の観点
で測定し、組織活性化に結びつける内容である。

 最近、企業内で顧客満足度の話とあわせて、従業員満足度向上のテーマがよくでる。各企業がモラルサーベイと称して従業員満足度のアンケートをとり組織の活性化に取り組みだした。

■なぜ今、重要視されているのか
 なぜこの現象が最近出だしたかと考えてみると高度成長期の日本の企業はもともと、終身雇用制度、社員旅行、保養所施設など、組織の和、コミュニケーションを大事にする仕組みが色々あり、意識しなくても従業員満足を果たせていた。私も自動車メーカ設計部隊の勤務時代は徹夜等の忙しい仕事の中で週末になると部下と飲ミニケーションを図り、仕事の達成感、悩み等を共有し、仕事をしていた記憶がある。

 しかし、バブルが崩壊し、高度成長時代が終わると、企業の体質改革の為に組織の効率化が最優先され、人員削減、能力主義の人事制度への変換等により、組織がギスギスし、組織内コミュニケーションの低下現象が発生し、またアメリカの経営学者ドラッカーも指摘していたように労働人口の中心が肉体労働者から知識労働者に変わり、従業員の仕事に対する価値観が報酬より仕事の内容に対する働きがいに変化した。

 この事により意図的な従業員の満足度向上の仕掛けが必要になった事が要因と考える。

 人、もの、資金、情報、技術の経営資源の中で「経営は人なり」の言葉にあるように人材が最も重要でこの人材の一人一人がいきいき、自立的に働くような組織体があってはじめて経営の成果がでると考える。その為には良い制度・仕組みだけではなく会社のビジョン、戦略が共有されている事、上司、部下とのコミュニケーションができている事、仕事の内容に働きがいがある事、組織の構成員に仲間意識がある事が必要と考える。

■従業員満足度が低い会社は・・・
 現場でコンサルティングをしている時に従業員満足度が低い組織体に出くわす事がある。

 トップからは改善・改革を指示されているが組織にやる気がない。形だけこなす対応をする。結果として成果が中々でない。これは会社のビジョン、戦略の共有、コミュニケーション、仕事の内容、組織体の仲間意識、人事制度・仕組みのいずれかに問題があり従業員満足度が低下しているからだと思う。

 今後は、企業の改革の視点「経営戦略構築、ビジネスプロセス改革、企業風土改革」に「従業員満足度」の視点を加えて問題をとらえ、コンサルティングを実施していくべきと考えさせられた一日であった。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

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