株屋殺すにゃ刃物はいらぬ(弱点を予想した上で投資)=犬丸正寛の相場格言

2011年3月10日 10:20

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

昔は、証券会社のことを「株屋」と呼んでいました。なんとなく、さげすんだ響きがないとはいえませんが、しかし、当時、商いで生計を立てるものはすべて、「○○屋」と呼ばれていたのですから、とくに、株屋だけということではありません。

昔は、証券会社のことを「株屋」と呼んでいました。なんとなく、さげすんだ響きがないとはいえませんが、しかし、当時、商いで生計を立てるものはすべて、「○○屋」と呼ばれていたのですから、とくに、株屋だけということではありません。[写真拡大]

■株屋殺すにゃ刃物はいらぬ

  昔は、証券会社のことを「株屋」と呼んでいました。なんとなく、さげすんだ響きがないとはいえませんが、しかし、当時、商いで生計を立てるものはすべて、「○○屋」と呼ばれていたのですから、とくに、株屋だけということではありません。

  ただ、株屋だけに、なぜ、こうした露骨ともいえる言葉があるのでしょうか。「呉服屋殺すには・・・・・」と、言わないのでしょうか。想像すると、恐らく、株を業(なりわい)とする商売は、世間から、他の商いと違った評価だったのではないでしょうか。とくに、黒を白といい、白を黒ということなどは、昔も今も株を扱うものの得意とするところです。一般の商人は物を売らないと儲けになりませんが、株屋の場合は、上がっても下がっても手数料が入ります。きっと、ほかの商人からみたら羨ましいことだったと思います。

  昔は、商人同士の集まりが多かったようですが、やはり、情報が多いのは株屋です。ましてや、今のように情報手段が発達しておらず、現在ならインサイダー取引で罰せられるような、とっておきの材料もあったことでしょう。このため、株屋は重宝がられたと思います。集まった商人衆は株売買で利益を上げ、あるいは情報をそれぞれの商売に役立たと思われます。

  しかし、どの商人も自分の商いには一家言もっています。いつも得意に喋る株屋を心のなかではおもしろくは、思っていなかったはずです。そこで、出てきたのが、この皮肉の込められた言葉というわけです。「偉そうに能書きをたれても、商いが少なくては能書きも役に立たないだろう」という皮肉が込められています。刃物がなくても、閑散な商いが続けば株屋は成り立っていかないということです。相場が上げても下げても儲かる証券会社ですが、無風状態には、きわめて弱いのです。

  もちろん、株屋だけに限らず、あのトヨタ自動車 <7203> だって弱点を抱えているかもしれません。そこで、個人投資家の皆さんも投資への応用を考えてみてください。たとえば、「その企業殺すには・・・・」という言葉を使って、弱点を予想した上で投資すれば、強気一辺倒に偏らないものとなるでしょう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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