関連記事
ブランド見聞録 ブランドはマーケットを勝ち抜く経営ツールです:第1回 ブランドは、心の中でつくられる
今月から、ブランド・マーケティングに関してのコラムを執筆させていただく町田です。いきなり私ごとで申し訳ございませんが、昨年末のしとしとと雨の降る夜、こともあろうにバリアフリーのスロープで思いっきり転倒。その結果、私は左足首を骨折して手術を受け、未だに松葉杖のお世話になっております。
■ブランドの大切さを改めて痛感する
さて、その時の救急車内でのお話です。足首周辺が2倍くらい腫れ上がり「痛い!痛い!」と連発する私の症状を診て、救急隊員が搬送先の候補として3つの病院名を告げました。まずA病院は転倒した場所からは近いのですが、自宅からは遠いので、消去。残るはB病院とC病院。自宅にはB病院が圧倒的に近いのですが、私はC病院を選びました。理由は近所の飲食店などで「B病院に入ると生きて出られない」という噂を嫌というほど聞かされていたからです。
さらに、私はC病院が古くて小さいということを知っていたので、過去に2度入院したことのあるC病院と線路を隔てた場所にある綺麗なD病院には入れないのかと救急隊員に聞いたのですが、「あそこは満床なのでダメ」という、冷たい言葉が返ってきたのでした。実はこの話、ブランドの正体をわかりやすく語ってもいるのです。
■ブランドは顧客との信頼関係の上に成り立っている
ブランドの正体は、簡単に言えば顧客との信頼関係です。そして、その関係を構築していくのが、顧客の経験と情報。例えば、初めて訪れたレストランが想像以上に美味しかったり、良い接客を受けると、それが強く脳裏に情報として残り、「また行きたい」「誰かに教えたい」というようになります。逆に1度も行ったことがないレストランなのに、友人やメディアなどからの情報によって「あの店に美味しいものを食べに行きたい」と思ってしまう。
もう1つ例を挙げれば、同じ性能の製品(OEM製品など)でもブランド名が異なるだけで、人気や価格も違ってしまうことがあります。それは、居酒屋でビールのお代わりを、愛想が悪い店員より、愛想の良い好みのタイプの店員に頼むのと同じ心理です。
これが「製品は工場でつくられ、ブランドは心の中でつくられる」と言われる所以であります。では、どうやって心の中に強いブランドをつくっていくのか…。その答えについては、次回以降のコラムで、時に最近のブランド事情なども交えながら、述べていこうと思います。
スポンサードリンク
町田 芳之氏のコラム一覧
スポンサードリンク
- 自然にポジティブなESG経営とは? 投資尺度となる時代がやってくる 12/12 16:57
- 日本が生んだ温故知新の事業承継型起業。人から人へ、想いと事業を承継する(連載第3回) 11/10 08:17
- その進路選択は、自分の幸せにつながる?誰もが自分の基準で人生を築ける社会を目指して(連載第4回) 11/ 8 11:43
- 「失われた30年」「大廃業時代」日本経済の大きな課題を解決するために、求められるのは"次の"後継者(連載第2回) 11/ 3 16:24
- 地域に「通いたい!」と思える学校を。高校の魅力は、地域の魅力につながる(連載第3回) 11/ 1 11:26