「終身雇用の幻想を捨てろ ~崩れゆく日本型雇用システムの中でどう生き抜くべきか」、『若者はなぜ3年で辞めるのか?』の著者が語る

2010年10月14日 10:53

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ベストセラー『若者はなぜ3年で辞めるのか?』の著者・城繁幸氏

ベストセラー『若者はなぜ3年で辞めるのか?』の著者・城繁幸氏[写真拡大]

 ブラッシュアップ・ジャパン主催のNext Generation特別講演会が13日都内・市ヶ谷で開催され、『若者はなぜ3年で辞めるのか?』の著者・城繁幸氏が「この国の雇用問題と若者の未来を考える」と題して、日本型雇用の課題や今後の展望について語った。

●日本型雇用の3つの特徴

 城氏は日本型雇用の3つの特徴を挙げた。第一に、従来の雇用制度でも査定や出世競争など成果によって報酬を与える制度は存在するものの「成績による報酬差は些小」。第二に、「報酬は(キャッシュではなく、)ポストによって支払われた」。第三に、「原則として(賃下げや解雇等の)不利益変更はない」とし、「これが日本型雇用が年功序列、終身雇用と言われる所以である」と述べた。さらに「年間予算のうち前年度+αの増加分のみを従業員に分配する報酬システムは売上増を前提としたもの、デフレという不況下には対応できない」と指摘した。

●若者ビジネスマンはなぜ辞めるのか?

 続いて、同氏は若者ビジネスマンの視点に注目した。今年3月に内閣府が発表した年齢別の定着率推移データによると、従業員数1000名以上の大企業のうち5年以上勤続している労働者の割合は、30代は80~90%台、40代は90%台後半と高い定着率を示しているのに対し、20代前半は50~60%台と著しく低い水準となっている。若年労働者は入社3年で3割が辞めるといわれる昨今、なぜ彼らの勤務は長続きしないのだろうか。この疑問に対し、城氏は「すべては報酬制度で説明可能」という。

 同氏によると、年功序列や終身雇用の制度はすでに破綻していることに企業も気づいているが、労働者保護を重視する日本では法律上、制度改革を実行したくても判例がないため実行できない現状があるという。将来的に確実な保証がないことを踏まえ、まずは根本的な労働規制の改革が急務といえるだろう。従来の報酬制度では勤続年数に比例して働き以上の処遇が保証されるため、優秀な若者は一生懸命働いて稼ぎたいと思っても報われず「割に合わない」と感じている。そして、彼らは実力主義の外資系企業やベンチャー、中小企業へと転職していく。そういった若者が徐々に増えていることが流動化の一番の原因であるとした。

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