創業25年目、介護業界で着実な歩みのケア21 施策に同業者が学ぶべき点が多い!

2025年2月14日 09:06

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 前にも記したが、昨年の介護業者の倒産件数は、介護保険制度創設(2000年)以降最大となった。少子高齢化の進捗を勘案すると、確かに由々しき事態である。が「困ったことだ」と捉えるだけでは、埒が明かない。厳しい環境下でも着実に事業を進めている業者を、チェックし知っておくのも肝要かと考える。

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 1月31日付けで、ケア21(2373、東証スタンダード市場)から2つのリリースが送られてきた。ケア21は福祉事業に着手して、25年目を迎える老舗。厳しい環境下でも、歩みを止めていない。

 一つは、『2月1日に、認知症グループホーム「たのしい家 太秦」(京都市左京区)を開設』というリリース。

 一つは、『2月1日に、有料老人ホーム「プレザン洗足」(東京都大田区)を開設』というものだった。

 「たのしい家」ブランドの認知症グループホームは、京都で15カ所目/全国で88カ所目となる。一方のプレザンブランドの有料老人ホームは東京17カ所目/全国57カ所目。25年目を考えると「着々」が確認できる。

 創業者会長の依田平氏と初めて会ったのは、かれこれ10余年前になる。学卒後2年間の出版社勤務を経ての起業だったが、「何故、この分野に足を踏み入れたのか」という問いかけに対する答えをいまでも鮮明に覚えている。

 「小学校4年の時に作文で、『株式投資で儲ける』といった内容のことを書いた。担任の先生に『金もうけもいいけど、人のために生きることのほうが大切だといったようなことを言われた。その時は、反発した。しかし卒業まで担任の先生と接し続ける中で、その言わんとすることが分かった』。いまの仕事の原点となった」。

 平氏の現業に対する「こだわり」は、いま社長として事業を仕切る依田雅氏にも引き継がれている。認知症グループホームは入居者数に枠がかけられるため、多くの介護業者は積極的に取り組もうとしない現実がある。プレザン施設の在り様についても、「人のために」が具体的に見て取れる。

 プレザン洗足は、最寄り2駅から徒歩6分とアクセスが至便。かの渋沢栄一氏らが立ち上げた、田園都市(株)による最初の分譲地内にある。24時間看護体制が設営されている。昼食は4つのメニューから選択可能で、注文を受けてから用意する。料金は「資金ゼロ」「月額利用料15万8000円」と、リーズナブル。

 介護スタッフの低賃金が指摘されるがケア21では社内試験による評価の導入により、賞与に反映される枠組みが設けられている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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