ソーラーEV「Aptera」、太陽光で1日4.23kWhを車載電池へ充電―約67km分との試算を第三者機関が検証

2026年8月31日 00:28

印刷

記事提供元:Tech Times

(Aptera.us)

(Aptera.us)[写真拡大]

米Aptera Motorsが開発する三輪のソーラー電気自動車について、試験・認証機関のTÜV Rheinlandは、車両を動かさずに駐車した条件で、太陽光により1日4.23kWhの電力がバッテリーへ供給されたことを確認した。Apteraが目標とする電力消費効率を当てはめると、約42マイル(約67km)の走行分に相当する。

今回、第三者機関が直接測定したのはバッテリーに届いた電力量であり、42マイルを実際に走行して確認した試験ではない。結果は、車載太陽光発電システムが同社の掲げる1日4.0kWhの目標を上回ったことを示す一方、実際の走行距離や地域ごとの発電量は、車両の完成時の効率や日照条件によって変わる。

■無調整の駐車状態で1日4.23kWhをバッテリーへ供給

TÜV Rheinlandの太陽光発電担当者は2026年7月、米カリフォルニア州カールスバッドにあるApteraの施設で、試験車を使った3日間の測定を行った。測定は日の出から日没まで実施し、車体に組み込まれた太陽電池の各ストリングと、バッテリーにつながる高電圧側の電力を校正済みの測定機器で記録した。

3日間のうち、車両の向きを変えず、後部ハッチも閉じたままにした日は、4.23kWhがバッテリーへ供給された。太陽が高くなる時刻に車両の向きを一度変えた日は4.40kWh、後部ハッチを持ち上げて太陽光を受けやすくし、車両の向きも調整した日は4.75kWhだった。

今回の測定値には、太陽電池で発生した電力を車載バッテリーに適した電圧へ変換する過程で生じる損失が反映されている。パネル単体の定格出力や実験室での理論値ではなく、車両の太陽電池、充電制御装置、電力変換回路を通過してバッテリーに届いた電力量を測った点が重要となる。

Apteraの共同創業者兼共同CEOであるスティーブ・ファンブロ氏は、車両を太陽の下に駐車し、何も操作しなかった日の結果を特に重視していると説明した。TÜV Rheinlandで製品担当バイスプレジデントを務めるジョナサン・コトルバ氏も、独立試験が太陽光による充電性能への信頼につながるとの見方を示した。

■約42マイルは目標効率から算出した推定値

Apteraは、車両の電力消費効率として1マイル当たり約100Whを目標に掲げている。無調整の駐車状態で測定された4.23kWhをこの数値で割ると42.3マイルとなり、約42マイル(約67km)分の走行に相当する計算だ。4.40kWhなら約44マイル、4.75kWhなら約47マイルに相当する。

一方、TÜV Rheinlandが確認したのは発電量とバッテリーへの供給量である。約42マイルという数値は、測定した電力量とApteraの目標効率を組み合わせた推定航続距離であり、今回の試験車が太陽光で得た電力だけを使って同じ距離を実走した結果ではない。

この区別は、開発中の車両を評価するうえで欠かせない。最終的な走行効率は、完成車の重量、速度、気温、道路状況、空調の使用などによって変わる。今回の試験は、約42マイルという航続距離そのものを確定したものではなく、その計算の前提となる1日4.0kWh以上の太陽光充電を車両システム全体で達成できることを示したものだ。

■低い電力消費が太陽光を実用的な走行量へ変える

車体に搭載できる太陽電池の面積には限りがあるため、同じ発電量からどれだけ走れるかは車両の電力消費効率に大きく左右される。例えば4.23kWhの電力があっても、1マイル当たり400Whを消費する車両では走行距離は約10.6マイルにとどまる。1マイル当たり100Whなら、計算上はその約4倍となる。

Apteraは、前方から後方へ細くなる流線形の車体、炭素繊維系複合材を使った軽量構造、正面投影面積を抑えた三輪設計を組み合わせ、走行時の抵抗と必要電力を減らす方針を採っている。太陽電池の出力だけを増やすのではなく、得られた電力で走れる距離を伸ばすことが設計の中心となっている。

車体の異なる角度に配置された太陽電池は、日中を通じて照射角度、温度、影のかかり方が変化する。Apteraの充電システムは最大電力点追従制御を用い、複数の太陽電池ストリングから取り出せる電力を個別に調整する。今回、ストリングごとの出力とバッテリー側の電力を同時に記録したことで、曲面上の太陽電池を含むシステム全体の動作を確認できた。

■南カリフォルニアの7月という測定条件

試験は日照量の多い南カリフォルニアで、2026年7月に実施された。1日4.23〜4.75kWhという結果を、年間を通じてあらゆる地域で得られる標準値とみなすことはできない。

車載太陽光発電の出力は、緯度、季節、天候、周囲の建物や樹木による影、駐車方向、車体表面の汚れなどに左右される。高緯度地域や冬季、曇天の多い地域では発電量が低下し、屋内や日陰に駐車している間は十分な充電を期待できない。

その一方で、車両を動かさずハッチも閉じた通常の駐車条件で4.23kWhがバッテリーに届いたことは、利用者による特別な操作を前提としない基準値として意味を持つ。日照条件に恵まれた地域では、日中の駐車時間を日常の走行に使う電力の一部へ変えられる可能性を具体的な測定値で示した。

■過去のソーラーEV計画が示した資金面の難しさ

車体に太陽電池を組み込む電気自動車は以前から開発されてきたが、量産に至るまでには技術だけでなく多額の資金が必要となる。

オランダのLightyearでは、高価格帯モデル「Lightyear 0」の生産を担当していた事業会社が2023年1月に破産した。その後は再編を経て事業の継続が模索された。ドイツのSono Motorsも同年2月、乗用車「Sion」の開発を終了し、車両向け太陽光技術を法人へ提供する事業に軸足を移した。

こうした経緯から、太陽光で一定量を充電できることと、車両を安定して量産し、顧客へ届けられることは分けて考える必要がある。開発、認証、部品調達、生産設備、販売後のサービスまで含めた資金と供給体制が、Apteraにとっても次の焦点となる。

■Apteraは最初の40台に向けた準備を進める

Apteraは2026年3月、カールスバッドの14工程からなる低量生産向け検証ラインで最初の車両を完成させた。検証車は、熱、ブレーキ、耐久性などの試験や、製造工程の確認に使われている。

同社はその後、最初の生産車両40台に向けて車体とシャシーを発注した。2026年8月には、中国の自動車開発・生産支援会社Launch Designとの提携を発表し、両社は同年第4四半期に最初の40台の製造を開始することを目指している。これは製造開始に関する目標であり、同じ時期までに顧客への40台の納車を完了するとの発表ではない。

Apteraは2026年6月末時点で現金および現金同等物を1,010万ドル保有し、その後、ワラント関連の取引で600万ドルの総収入を得たと発表している。Launch Designとの生産計画についても、既存資金に加え、今後の負債または株式による資金調達などを財源に充てる方針を示している。

今回のTÜV Rheinlandによる測定は、Apteraの太陽光充電が目標とする電力量に達したことを示す技術上の節目となった。今後は、最終仕様の車両で目標とする走行効率を実現できるか、必要な認証と検証を終えられるか、さらに生産資金と部品供給を確保して顧客向け車両を継続的に製造できるかが問われる。

元記事: Aptera Solar EV Generates 42 Miles of Daily Range from Sun: TUV Rheinland Verified

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード

関連記事