【分析】AI株高の裏で膨らむインフレ圧力、電力・半導体への巨額需要がFRBの難題に

2026年8月14日 11:01

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記事提供元:International Business Times

AIは将来的に生産性を高め、物価を押し下げると期待される一方、巨額のインフラ投資が先行し、インフレ対応を複雑にしている。(写真:Brett Sayles)

AIは将来的に生産性を高め、物価を押し下げると期待される一方、巨額のインフラ投資が先行し、インフレ対応を複雑にしている。(写真:Brett Sayles)[写真拡大]

 人工知能(AI)は将来的に生産性を高め、物価を押し下げると期待されている。一方、巨額のAIインフラ投資による需要や供給制約が先行し、足元では米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ対応を複雑にしている。

AIブームを支持する論拠の一つは、企業の生産性を飛躍的に高め、財・サービスを安価にする可能性である。しかしFRBにとって、AIはより差し迫った問題も生み出している。

AIを動かすために必要なインフラの建設には巨額の費用がかかる。期待される生産性向上が実現する前に、こうした投資がインフレ圧力を高めている可能性がある。オープンAI(OpenAI)のサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)やイーロン・マスク氏らシリコンバレーの経営者は、高性能化するAIとロボット技術が最終的にコストを大幅に押し下げると予測している。

アルトマン氏は、知能の利用コストが「計測する意味がないほど安くなる」状況が手の届く範囲にあると主張している。マスク氏も、自動化によって豊かさが広がる時代が到来すると予測する。ただ、CNBCによると、現時点で表れている経済的な影響はこうした構想とは大きく異なる。

企業はデータセンター、半導体、電力などのインフラに数千億ドルを投じているが、経済全体へのAI導入は一様ではない。このため、AIがもたらし得る恩恵よりも費用が先に顕在化している。

ゴールドマン・サックス・リサーチは、2026年の米国におけるAI関連設備投資が5810億ドルに達し、国内総生産(GDP)の約1.8%に相当すると予測する。世界全体では1兆190億ドルに達する見通しである。米国のAI投資は2028年にGDP比2.8%へ拡大すると見積もっている。

一方、米国勢調査局が5月に公表した企業動向見通し調査によると、2025年12月から2026年5月までの米企業のAI利用率は17~20%にとどまった。企業規模による差も大きく、従業員250人以上の企業では37%がAIを利用していた。

オープンAIの首席エコノミスト、ロニー・チャタジー氏はCNBCに対し、「AIが経済に影響を及ぼすには、組織に採用されなければならない。そうした組織が価値を実現する必要がある」と述べた。

チャタジー氏は、AIの効果が生産性統計にはっきり表れるまでには、なお時間がかかる可能性があるとの見方を示した。オープンAIのデータも、AIを中心に業務を積極的に再編している企業と、限定的な用途にとどめている企業との格差が広がっていることを示している。

この時間差はFRBにとって極めて重要である。FRBは、AIを将来のインフレ抑制要因として主に捉えるべきか、それとも足元の需要と物価を押し上げる要因として捉えるべきかを見極めようとしている。ケビン・ウォーシュFRB議長は、AIが最終的に生産性を高め、米国の競争力を強化し、インフレに下押し圧力をかける可能性があると主張している。

ただ、他の政策担当者は足元で生じている影響への警戒を強めている。FOMCは7月29日、フェデラルファンド金利の誘導目標を3.50~3.75%に据え置くことを9対3で決定した。クリーブランド連銀のベス・ハマック総裁、ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁、ダラス連銀のロリー・ローガン総裁は、0.25ポイントの利上げによって誘導目標を3.75~4.00%とすることを支持し、反対票を投じた。

カシュカリ総裁は反対理由を説明する声明で、データセンターへの巨額投資が、米国民が直面する高インフレに「新たな需要要因」を加えていると警告した。

最も明確に圧力が表れている分野の一つが電力である。AIデータセンターは大量の電力を必要とし、インフラ面の制約を抱える送電網への需要を一段と押し上げている。CNBCが米労働統計局(BLS)の消費者物価指数(CPI)データを基に算出したところ、2024年7月から2026年7月までの2年間で家庭向け電気料金は10%上昇した。同じ期間の総合CPIの上昇率は6.2%だった。

AIインフラの建設ブームは、テクノロジー分野のサプライチェーンにも負荷をかけている。テクノロジー企業が演算能力の拡大を急ぐなか、高性能サーバーやエヌビディア製半導体への需要が急増している。

メモリー価格も懸念材料である。JPモルガン・チェースは、DRAMの価格が2026年末までに2024年比で400%上昇すると予測している。

また、CPIの「コンピューター用ソフトウエア・付属品」指数は、2024年7月から2026年7月までに22.4%上昇した。AIが最終的に生産性をどの程度変革するかについても、なお不確実性が残っている。

※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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