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米アルファベット株はなぜクラウド82%成長でも売られたのか PER16倍と5140億ドルの受注残を徹底分析

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米アルファベット(Alphabet)のクラウド事業が同社史上最速の成長を記録したにもかかわらず、設備投資の急増により株価は下落した。しかし、Phillip Securitiesはこの下落を投資機会と捉え、投資判断を「買い」に引き上げた。過去12カ月実績PER約16倍という評価水準と、5140億ドル(約82兆7500億円)の契約残高が示す将来性が、今後の株価を左右する重要な要素となる。
■最高のクラウド四半期決算でAlphabet株が下落した理由
Alphabetの決算発表でクラウド事業が同社史上最速の成長を記録したにもかかわらず、株価が7%下落してから5日後、Phillip SecuritiesのアナリストであるSerena Lim Yi Qi氏は、同社株(GOOGL)の投資判断を「Accumulate(買い増し)」から「Buy(買い)」に引き上げた。同氏は株価下落にもかかわらず判断を引き上げたのではなく、株価が下落したからこそ引き上げたのである。決算後の下落により、Alphabetの過去12カ月実績PER(株価収益率)は約16倍となった。一方で、クラウド事業は前年同期比82%成長し、契約済みの受注残は5140億ドル(約82兆7500億円、1ドル=161円換算)に達している。333ドル(約5万3600円)付近の株価でこの組み合わせが何を意味するのかを判断しようとする投資家にとって、今回の格上げは現時点で得られる最も具体的な新材料である。
7月22日の取引終了後に発表されたAlphabetの2026年度第2四半期決算は、ほぼすべての指標で際立った内容だった。売上高は前年同期比24.2%増の1198億ドル(約19兆2900億円)となり、12四半期連続の2桁増収を記録した。Google検索およびその他の広告収入は17%増の633億ドル(約10兆1900億円)に達し、有料クリック数は13%増、平均クリック単価は3%上昇した。これは、AIが生成する回答によってGoogleの広告事業が侵食されるという過去2年間の見方を直接的に覆す結果である。YouTubeの広告収入は13%増の111億ドル(約1兆7900億円)だった。
しかし、この四半期を象徴する数字はGoogle Cloudのものだった。売上高は前年同期比82%増の247億7000万ドル(約3兆9900億円)となり、営業利益率は1年前の20.7%から35.6%へ拡大した。クラウドの営業利益は前年同期比で3倍以上に増え、この四半期だけで約88億ドル(約1兆4200億円)に達した。この利益率の拡大は表面的なものではない。Alphabetが10年にわたりカスタムシリコンへ投資してきたことが、財務面の成果として表れたものだ。
市場は別の数字に反応した。449億ドル(約7兆2300億円)である。これは第2四半期だけで計上されたAlphabetの設備投資額で、前年同期の2倍を超え、四半期売上高全体の約37%に相当する。その結果、CFOのAnat Ashkenazi氏が事前に警告していた事態が起きた。Alphabetの四半期フリーキャッシュフロー(FCF)は58億6000万ドル(約9430億円)のマイナスに転じたのである。上場企業としての22年間で初めてFCFがマイナスとなり、前年同期の約53億ドル(約8530億円)のプラスから反転した。
このインフラ整備の資金を確保するため、Alphabetは2026年6月以降、Berkshire Hathawayを引受先とする100億ドル(約1兆6100億円)の私募増資を含め、約847億5000万ドル(約13兆6400億円)の株式による資金調達を実施した。長期債務は465億ドル(約7兆4900億円)から982億ドル(約15兆8100億円)に増加している。過去10年間に3460億ドル(約55兆7100億円)以上を投じてきた自社株買いは停止された。2026年通期の設備投資見通しは、従来の1800億~1900億ドル(約28兆9800億~30兆5900億円)から1950億~2050億ドル(約31兆4000億~33兆100億円)に引き上げられ、経営陣は2027年の支出がこの水準を「大幅に」上回ると示唆している。
記録的なクラウド成長、記録的な設備投資、そして初のFCF赤字という組み合わせは、Corpayのチーフ・マーケット・ストラテジストであるKarl Schamotta氏が「世界の市場に広がる明白な警戒感」と表現する状況を生み出した。GOOGL株は7月23日に約7%下落した。
■アナリストが株価下落の中で投資判断を引き上げた理由
Lim Yi Qi氏は同じ数字を見て、反対の結論に達した。7月27日、同氏はAlphabetの投資判断を「Accumulate」から「Buy」に引き上げる一方、目標株価を450ドル(約7万2500円)から425ドル(約6万8400円)に引き下げた。この組み合わせは矛盾していない。Phillip SecuritiesはAlphabetの長期的な方向性への確信を強めた一方、目先の業績予想の修正を踏まえ、その将来性に対してどこまでの価格を支払うかについて、より慎重な評価を適用したということだ。
改定後の目標株価425ドルは、333ドル付近の現在の取引水準から約27%の上昇余地を意味する。この上昇余地は、3つの具体的な観察に基づいている。
第一に、Alphabetの垂直統合型AIエコシステムが、製品発表だけでなく利益率にも表れる構造的な優位性を生み出していることだ。このエコシステムには、カスタムシリコンであるTPU、最適化されたデータセンター、検索、クラウド、Androidに展開されるGeminiモデルが含まれる。クラウドの営業利益率が20.7%から35.6%に上昇したことが、その財務面での裏付けである。チップベンダーの利益分を上乗せして支払うのではなく、自社でAIインフラを保有する企業は、処理需要の増加に伴って利益率を拡大しやすい構造にある。
第二に、Lim Yi Qi氏は、フリーキャッシュフローのマイナスを構造的な悪化ではなく、一時的な状態と評価した。5140億ドルのクラウド受注残は、契約済みだがまだ売上高として認識されていない金額であり、単一四半期のキャッシュフロー指標だけでは捉えられない将来の見通しを示している。Alphabetは、この受注残の50%以上が24カ月以内に売上高として認識される見込みだとしている。現在のクラウド売上高のペースを踏まえると、相当規模の増収がすでに契約によって確保され、新規受注ではなく処理能力の供給を待っていることになる。
第三に、バリュエーションの計算そのものだ。Alphabetは売上高全体が前年同期比24%成長し、クラウドが同82%成長したうえ、会社全体では12四半期連続の2桁増収を続けている。それにもかかわらず、過去12カ月実績PERは約16倍である。この評価倍率は、業界で最も成長の速いクラウド部門を持つソフトウェア企業というより、成熟した産業企業に適用される水準に近い。PERを売上高または利益の成長率で割るPEGレシオは約0.14である。この指標で見ると、Alphabetは成長が加速する企業ではなく、成長率が急低下する企業であるかのように評価されている。
■ウォール街の幅広い見解
強気派の中でLim Yi Qi氏だけが突出しているわけではない。S&P Globalが集計した64人のアナリストによると、GOOGLのコンセンサス評価は「Strong Buy(強い買い)」で、12カ月の平均目標株価は427.59ドル(約6万8800円)となっている。予想の幅は広く、最低目標株価は340ドル(約5万4700円)、最高は515ドル(約8万2900円)である。
決算発表後、Goldman Sachsは、AI主導のクラウド成長が続く一方で検索事業の成長率が平常化するとの見方から、「Buy」を維持しながら目標株価を450ドルから440ドル(約7万800円)に引き下げた。Morgan StanleyのBrian Nowak氏は「Buy」を維持し、目標株価を415ドルから400ドル(約6万4400円)に引き下げたが、長期的な投資判断の根拠としてAI主導のクラウド成長加速を挙げた。JPMorganは460ドルから420ドル(約6万7600円)へ、Wells Fargoは「Overweight」を維持しながら418ドルから411ドル(約6万6200円)へ、Piper Sandlerは445ドルから395ドル(約6万3600円)へ、それぞれ引き下げた。Barclaysは、Alphabetの新たなTPU-as-a-Serviceモデルを理由に、目標株価425ドルと「Overweight」を維持した。Evercore ISIは、AIをハードウェアからモデル、サービスまで一貫して手がけるフルスタックの体制が現在の評価を正当化するとして、目標株価420ドルと「Outperform」を維持した。
慎重派の例外はBernstein SocGenで、「Market Perform(中立)」を維持しつつ、目標株価を385ドル(約6万2000円)に引き下げた。同社は、フリーキャッシュフローのマイナスと設備投資見通しの大幅な引き上げを主な懸念材料として挙げている。最高目標株価の515ドルと最低目標株価の340ドルには175ドル(約2万8200円)の開きがあり、ウォール街に実質的な不確実性が存在することを示している。争点はAlphabetが優れた企業かどうかではなく、同社史上最も積極的な投資サイクルの最中にある優れた企業へ、どの程度の評価倍率を適用すべきかという点にある。
■Google Cloudのシリコン優位性が利益率を生み出す仕組み
35.6%というクラウドの営業利益率については、具体的な説明が必要である。これが、強気シナリオを単なる期待ではなく、実現可能なものにする仕組みだからだ。
AlphabetのカスタムTensor Processing Unit(TPU)は、AIモデルの学習と推論を支える行列乗算処理に特化して設計された特定用途向け集積回路(ASIC)である。汎用的なグラフィックス処理回路を含むNVIDIAのGPUとは異なり、TPUはシストリックアレイ設計を採用している。データを数千の処理ユニット間で連続的に受け渡すことにより、AI処理におけるGPUの効率を制限し得るメモリ読み出しのボトルネックを抑える。Alphabetの運用規模では、このアーキテクチャにより、AI向けワークロードにおいて同等のGPU処理能力よりも投入額当たりのスループットを大幅に高められる。
Alphabetは社内で、NVIDIA製GPUを1基使用するのに対して約9基のTPUを導入している。この比率は、同社がAI計算資源の約10%についてだけNVIDIAの利益分を含む価格を支払っていることを意味する。第8世代TPUである学習用のTPU 8tと推論用のTPU 8iは2026年4月に発表された。TPU 8iのSparseCore-Collectives Acceleration Engineは、エージェント型AIのワークロードでチップ内の遅延を減らすために設計されている。CEOのSundar Pichai氏は2026年第1四半期の決算説明会で、GeminiがAPI経由で毎分160億トークン以上を処理していると明らかにした。その処理の中心を担っていたのは、Alphabetが外部ベンダーの利益分を含む価格で購入したチップではなく、自社のTPU処理能力だった。
Alphabetは現在、この優位性を社外向け事業としても収益化している。同社はAnthropic、OpenAI、MetaにTPUの処理能力を直接販売しており、Blackstoneが支援するベンチャー企業も2027年からAI研究機関や企業にTPUの計算資源を提供する予定である。社外向けTPU事業の売上高には、外部調達したハードウェアではなく自社製シリコンを前提とする利益構造が反映される。これが、会社全体では四半期に449億ドルをインフラへ投じながら、クラウド部門の利益率を拡大できる理由である。
■供給能力による制約と5140億ドルの受注残が意味するもの
Alphabetに対する強気の見方は、すでに実現したクラウドの82%成長だけでなく、すでに契約され、売上計上を待っている金額にも基づいている。Google Cloudの5140億ドルの受注残は、契約済みの法人向け案件のうち、Alphabetの損益計算書にまだ売上高として認識されていない金額を表す。比較すると、Google Cloud部門全体が単一四半期に生み出した売上高は約247億7000万ドルである。現在の売上高のペースでは、この受注残は5年分を超えるクラウド売上高に相当する。
重要なのは、Ashkenazi氏が2026年第2四半期の決算説明会でアナリストに対し、「需要を満たすことができていれば、クラウドの売上高はさらに大きかったはずだ」と述べたことだ。つまり、ここ数四半期のクラウド成長を制約していたのは顧客需要ではなく、計算資源の供給能力だったということである。経営陣の説明では、2026年の1950億~2050億ドルの設備投資は、将来の需要を期待した投機的な増設ではなく、すでに存在する受注残に対応するため、処理能力の供給を前倒しするものだ。
この違いは、投資家がフリーキャッシュフローのマイナスをどう読み解くべきかを左右する。すでに5140億ドル相当の将来のサービスを契約済みで、その提供能力を整えるために現在の利益を上回る金額を投じている企業は、まだ確保していない将来の売上を見込んで投資している企業とは構造的に異なる。その処理能力が、追加の株式発行による希薄化や社債発行を必要とせず、2027年の設備投資サイクルを賄えるほど早く利益率を押し上げる売上高へ転換されるかどうかが、中心的な未解決問題である。受注残の数字だけで、この問題への答えが出たわけではない。
■強気シナリオを崩す3つの数字
333ドルでの投資判断を完全に評価するには、強気シナリオが成立しなくなる具体的な条件にも同じように注意を払う必要がある。
クラウド成長率の40%未満への減速。強気シナリオは、売上高に対する設備投資の大きさを正当化できるスピードでクラウドが成長することに依存している。Bernstein SocGenの「Market Perform」は、Alphabetをインフラ企業ではなくソフトウェア企業の評価倍率で評価するには、クラウド成長率がこの基準を大幅に上回る状態が続くことを確認する必要があるとの見方を反映している。今後2四半期でクラウド成長率が82%から40%以下へ減速すれば、強気派が期待する評価倍率の見直しを数字で正当化することは難しくなる。
相応の増収見通しを伴わない2027年の設備投資拡大。Alphabetの経営陣は、2027年の設備投資が2026年の1950億~2050億ドルを「大幅に」上回ると示唆している。第3四半期または第4四半期の見通しで、クラウド売上高の目に見える加速を伴わないまま、2027年の設備投資が2500億ドル(約40兆2500億円)以上へ近づくことが確認されれば、第2四半期決算後の株価下落を引き起こした評価倍率の低下がさらに進む可能性がある。Bernstein SocGenとGoldman Sachsの双方が指摘した試算では、このハードウェア投資サイクルに伴う減価償却費は、2022年のハイパースケーラー売上高の約7%から2027年には推定12%へ上昇する。これはクラウドの成長にかかわらず、営業利益率を直接圧迫する。
一時的な株式評価益の反転。Alphabetが第2四半期に報告したGAAPベースの純利益は約1120億ドル(約18兆300億円)だった。この大きな数字には、主にAnthropicやSpaceXへの出資持分を含む有価証券ポートフォリオを、FASB(米国財務会計基準審議会)の会計規則に従って公正価値評価したことで生じた約990億ドル(約15兆9400億円)の利益が含まれる。決算後の株価を左右したのはこの表面的な純利益ではなく、非現金の評価益を除いた約2.85ドル(約459円)のEPSが示す事業の実態だった。将来、AnthropicやSpaceXの評価額が下落すれば、第2四半期の純利益を押し上げたものと同じ会計規則によって純利益が押し下げられる。Alphabetの実際の事業成績とは同様に切り離された報告上の「損失」が生じ、この仕組みを理解していない個人投資家を動揺させる可能性がある。
■織り込み済みの規制リスクと未確定要素
強気シナリオでは、2026年に理論上の問題から構造的な問題へ移行したAlphabetの規制リスクも考慮しなければならない。
7月2日、欧州司法裁判所は41億ユーロ(約46億9000万ドル、約7550億円)のAndroidに関する独占禁止法違反の制裁金を支持した。これにより8年間の法廷闘争が終結し、Googleの検索事業やPlayストアでの行為を対象とするEUの調査を後押しする先例が確立された。7月16日には、欧州委員会がデジタル市場法(DMA)に基づく拘束力のある命令を出した。Googleは2027年1月までに匿名化した検索データを競合するAI開発企業と共有し、2027年7月までに音声起動やシステムレベルの検索連携を含む11のAndroid機能を競合AIアシスタントに開放するよう義務付けられた。違反した場合、世界年間売上高の最大10%に相当する制裁金を科される可能性がある。Alphabetの現在の売上規模では、Android訴訟を上回り得るリスクである。
米国では、司法省(DOJ)による独占禁止法訴訟の控訴手続きが続いている。Morgan Stanleyのアナリストは、是正措置の候補の一つである検索サービス選択画面の義務化によって、Googleが3年間で検索トラフィックの5~8%を失う可能性があると推定している。年間150億~250億ドル(約2兆4200億~4兆300億円)の広告収入がリスクにさらされる計算だ。Chromeの分離を回避する現在の行動是正措置については、アナリストの間でおおむね対応可能と評価されている。Wedbushはこの結果を「政府は安物のスーツのように折れた」と表現した。しかし、DOJの控訴により、次の段階でより厳しい判断が下される可能性はゼロではない。
これらのリスクは現実に存在する。ただし、333ドルでGOOGLを評価する投資家にとって重要なのは、現在の株価における期待値の計算を変えるほどのものかという点だ。64人のアナリストによるコンセンサスに表れている答えは、現在の株価では重大な変更要因にはならないというものに見える。特にクラウド事業が、検索広告への依存度を下げ、Alphabetの収益源を分散させているためである。
■今後の展望
GOOGLの目先の動向は、7月29日から30日に2026年第2四半期決算を発表したMicrosoft、Amazon、Metaが、Alphabetのクラウド受注残から読み取れるAIインフラ需要の見通しを裏付けたか、それとも疑問を投げかけたかに左右される。各社の決算が同様のAI主導によるクラウド成長の加速を示していれば、Alphabetの5140億ドルの受注残を支える需要は持続的である可能性が高まる。主要ハイパースケーラーのいずれかが見通しを引き下げれば、AIインフラ需要に関する市場の共通認識は変化する。
その先の重要な論点は、第8世代TPUの処理能力が稼働し、Wizのサイバーセキュリティ事業買収に伴う費用が引き続きクラウド部門へ計上される中で、2026年第3四半期と第4四半期のクラウド営業利益率が30%を上回る水準を維持できるかどうかだ。10月に予定されているAlphabetの2026年第3四半期決算は、設備投資の加速が、強気シナリオに必要なオペレーティング・レバレッジを生み出しているかを明確に確認できる最初の機会となる。
売り推奨がゼロで、平均目標株価が427.59ドルという64人のアナリストのコンセンサスは、市場がAlphabetのAIインフラ上の強みに関する強気シナリオをおおむね受け入れていることを示している。市場がまだ決めていないのは、いつAlphabet株を再びソフトウェア企業の評価倍率で評価するかという点だ。インフラ企業のPERからソフトウェア企業のPERへの移行にこそ、大きな上昇余地がある。
為替レートは2026年7月30日時点。円換算額は概算。
■注目ポイントQ&A
●記録的なクラウド四半期決算の後、なぜAlphabetの株価は下落したのですか?
株式投資家は、現在の売上高ではなく将来のフリーキャッシュフローに基づいて成長企業を評価します。Alphabetの第2四半期のクラウド売上高は前年同期比82%増の247億7000万ドルでしたが、同社は同時に、2026年通期の設備投資見通しを1800億~1900億ドルから1950億~2050億ドルへ引き上げました。また、第2四半期のフリーキャッシュフローが、上場企業としての22年間で初めてマイナスへ転じたことも明らかになりました。支出が現在の収益を上回り、フリーキャッシュフローがマイナスになると、売上高が成長していても、将来の利益を現在価値へ割り引いた評価は低下します。市場は、それまでソフトウェア企業として評価していたAlphabetにインフラ企業の評価倍率を適用し、株価は下落しました。Bernstein SocGenによる目標株価385ドルと「Market Perform」の評価は、市場の懸念が誤りではなく、成長の方向性よりも投資回収までの時間に関するものだという見方を反映しています。
●クラウドが82%成長しているのにPERが16倍というのは、大手テクノロジー企業として本当に珍しいことですか?
はい。PEGレシオを見ると、その隔たりがより明確になります。PERを成長率で割ったPEGレシオは、現在のGOOGLの株価で約0.14です。一般にPEGレシオが1.0未満であれば、成長率に対して株価が割安であることを示すとされています。0.14という値は、市場が成長率の極端な低下を織り込んでいることを意味します。Alphabetは12四半期連続で2桁の増収を達成しています。PEGレシオと実際の業績推移の隔たりが強気シナリオの定量的な根拠であり、Phillip Securitiesが株価下落時に格下げではなく格上げを行った理由でもあります。
●Alphabetに対する強気シナリオが崩れる原因は何ですか?
最も現実的なリスク要因は3つあります。第一に、クラウド成長率が現在の82%から低下し、複数の四半期にわたって40%以下となることです。これは利益率拡大の軌道と評価倍率見直しのシナリオを弱めます。第二に、2027年の設備投資見通しが2500億ドル以上へ拡大する一方、クラウド売上高の認識に目立った加速が見られないことです。これはFCFの低迷を長引かせ、投資家の忍耐をさらに試すことになります。第三に、AnthropicやSpaceXの評価額が下落し、第2四半期の報告EPSを約9.11ドル(約1470円)に押し上げたものと同じFASB会計規則によって、多額の非現金損失が計上されることです。これは実際の事業成績を反映するものではありませんが、事業上の利益と評価上の利益を区別しない投資家の心理を悪化させる可能性があります。これらはいずれも、64人のアナリストによる「Strong Buy」のコンセンサスが前提とする基本シナリオではありません。しかし、慎重な投資家が四半期ごとに監視すべき現実的なリスクです。
●アナリストのコンセンサスが完全には捉えていない最大の上昇シナリオは何ですか?
427ドルのアナリストコンセンサスは、333ドルから約27%の上昇を意味します。しかし、これは目標株価までの上昇余地を示すだけで、評価倍率そのものが拡大する可能性を十分に織り込んでいません。Alphabetは現在、ハードウェア・インフラ企業に近い過去12カ月実績PER約16倍で取引されています。過去にAlphabetは、同程度の成長を遂げていた時期に過去12カ月実績PER25~35倍で取引されていました。AIインフラへの投資がクラウドの利益率から期待されるオペレーティング・レバレッジを生み、投資回収までの期間に対する市場の信頼が高まれば、PER自体が16倍から過去の水準へ上昇する可能性があります。その場合、利益成長による上昇に加え、評価倍率の拡大による大幅なリターンも期待できます。年間20~25%成長する利益に25倍の評価倍率を適用すれば、24カ月以内に現在のコンセンサス目標である427ドルを大きく上回る株価となる可能性があります。このシナリオには、AI設備投資サイクルが予定どおり良好な結果を生むことが必要で、実現が保証されているわけではありません。しかし、Citizensが515ドルの目標株価を維持している理由と、強気シナリオが現在の目標株価までの単純な上昇余地を超えている理由を説明しています。
元記事: GOOGL at 16x P/E Against 82% Cloud Growth: Phillip Securities Upgrades to Buy
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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