好収益:野村不動産HDの、マーケットとの向き合い方

2025年6月17日 08:59

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 野村不動産ホールディングス(3231、東証プライム市場)。久方ぶりに覗き込んで、見た。

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<収益動向>: 「2024年3月期:12.2%増収、12.6%営業増益、5.6%最終増益、22.5円増配120円配/前25年3月期:3.1%増収、6.1%営業増益、9.8%最終増益、20円増配140円配/今3月期計画:2.4%増収(9400億円)、2.6%営業増益(1220億円)、0.2%最終増益、30円増配170円配」。手元の四季報見出し【過去最高益更新】。

<中計>: 至28年3月期:営業利益1600億円(25年3月期比27.9%増)、年率平均成長率8.5%(長期計画として年率8%成長を掲げている)。

<株価動向>: 本稿作成中の時価840円台、予想税引き後配当利回り3.4%余。IFIS目標平均株価946円。過去9年半の修正済み株価パフォーマンス91%余。

 PBR0.97倍が「投資材料」に見えてもくる・・・

 久方ぶりに覗き込んでみよう、と思ったのは週刊不動産関連紙の女性記者との遣り取りだった。「大手不動産企業:デベロッパーの経営というのは、やはりお見事ですね」と聞かされた。

 彼女は昨年1月に野村不動産が竣工した「Landport 戸田(埼玉県戸田市)の内覧会に参加してきた」という。マルチテナント型物流施設だ。記者は、こう言った。

 「複数回目の内覧会で・・・参加した今回は“ドレージコスト・配送効率検証セミナー~東京湾岸エリアとの比較~というテーマでした。竣工以来、機に触れ折に触れテーマを設定し内覧会を実施していることに惹かれた。」

 傍らにいたベテラン記者は「野村HDだけでなく大手デベロッパーは、数次にわたってそうした形の内覧会をしている。常に世の中の関心事をピックアップしては、答えを配信している。施設の周辺住民を意識した対応策などにも微細な取り組みをしている。凄いと思うが、野村HDがそうであるように上場しているデベロッパーの常だ。我が身を守る常と言ってもよい」。

 女性記者は「そうなんです。ランドポート戸田は3面が住宅に囲まれているため、当初は住民との摩擦が懸念されたが、竣工に至る過程で住民との徹底した協議を行い解消と取り組んでいる。そのプロセスも公にしている。具体的には遊歩道の設置/警備員の配置を行った。工業地帯に立地するための騒音問題も準工業地帯での規制レベルまで低減し、それも公にしている」。

 それを受けベテラン記者は、「建物の竣工・稼働で、例えば株価が下がったという話は聞かない。そうした施策も大手デベロッパーは徹底している」とした。

 確かに好収益継続もさることながら、それを株価が反映し続けているも「ならでは」の取組があるということだろう・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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