米5機関、AI生成スクリプトによるシーメンス製PLCへの偵察活動を警告

2026年8月21日 12:25

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記事提供元:Tech Times

米国家安全保障局(NSA)、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)、米連邦捜査局(FBI)、エネルギー省(DOE)、環境保護庁(EPA)は2026年8月19日、シーメンス製プログラマブルロジックコントローラー(PLC)を狙う活発なサイバー脅威について共同勧告を公表した。

脅威アクターは、AIの支援で作成した攻撃用スクリプトを正規の監視ツールに見せかけ、米国内の「S7」シリーズに対する偵察や攻撃能力の開発を進めているという。各機関は、PLCをインターネットから切り離し、既知の脆弱性への更新やアクセス制御、監視を強化するよう事業者に求めている。

■シーメンス「S7」シリーズへの活発な脅威

共同勧告「AA26-231A」は、今回の活動について「理論上のリスクではなく、活発な脅威だ」と説明している。標的には、シーメンスのS7-200、S7-300、S7-400、S7-1200、S7-1500シリーズが含まれる。

主な対象分野は、重要製造業、エネルギー、水道・下水、化学、食品・農業、商業施設である。S7シリーズが使われている防衛産業基盤など、ほかの分野にも標的が広がる可能性がある。また、現在確認されているPLCへの攻撃活動はシーメンス製品だけに限定されないため、各機関はすべてのPLC所有者と運用者に関連する対策を講じるよう促している。

脅威アクターは「Censys」や「ZoomEye」などのインターネット検索サービスを利用し、外部から接続可能なPLCや、ネットワーク分離が不十分な機器を探している。古いソフトウェアを使用している機器や、認証などの保護が十分に設定されていない機器が狙われる。

■AI支援で攻撃ツールの開発が容易に

各機関によると、脅威アクターは公開情報を基に、AIを使ってシーメンス製PLCに対する攻撃スクリプトを作成している。AIによるコード生成は、実際に動作する産業制御システム向けツールの開発に必要な専門知識と時間を大幅に減らし、攻撃手法の追加や防御策への適応を速める可能性がある。

確認されたツールには、オープンソースの産業オートメーション用ライブラリ「snap7.dll」や「python-snap7」が組み込まれている。これらのライブラリ自体は正規の用途にも使われるが、AI支援で作成されたPythonスクリプトと組み合わせることで、S7commプロトコルを通じてPLCのメモリ、設定データ、ラダーロジックプログラムを読み書きできるツールが作られていた。

悪意あるスクリプトは正規のOT監視ツールを装うため、通信内容や実行環境を確認しなければ異常を見分けにくくなる。AIがPLCを自動的に侵害するというよりも、公開情報や既存ライブラリを組み合わせたツール開発を速め、従来より短い時間で試行と改良を繰り返せる点が今回の脅威の中心である。

■現時点では偵察と攻撃能力の開発が中心

脅威アクターは対象機器への接続後、PLCのCPU情報やデータブロックを読み取り、制御環境の構成や通常の動作を把握しようとしている。さらに、一部ではデータブロックに対する書き込み操作も行われている。

米当局は、こうした活動について、対象分野や施設に継続的な偵察を行い、特定のPLCモデルに対する攻撃手法を試験・改良する狙いがあると評価している。読み取りによって対象環境を理解し、将来の書き込み操作や運用への影響に備えている可能性も指摘した。

保護が不十分なPLCへの不正アクセスは、産業プロセスの停止や品質低下、安全機構やプロセス設定の操作、設備損傷、長期停止につながり得る。制御方法や設備構成といった機密性の高い運用データが流出したり、相互接続されたシステムや供給網へ影響が波及したりするおそれもある。

■対象製品を一律に「パッチ不能」とはしていない

共同勧告が対象としているのは、S7-200の全CPU、S7-300の全CPU、S7-400の全CPU、S7-1200のCPU 1211C、1212C、1214C、1215C、1217C、S7-1500の全CPUである。S7-1500には、安全関連用途のFシリーズも含まれる。

今回の脅威は、一つの未修正脆弱性だけを利用する攻撃ではない。インターネットへの露出、既知の重大な脆弱性、更新されていないファームウェア、不十分なネットワーク分離、初期設定または弱い認証設定など、複数の問題が攻撃機会を生んでいる。

そのため各機関は、個々の製品やファームウェアに応じて、シーメンスのProductCERT情報を確認し、利用可能なセキュリティ更新や緩和策を適用するよう求めている。更新は本番環境へ導入する前に開発・検証環境で試し、設備の運用や連携システムへの影響を確認する必要がある。

■インターネットからの分離を最優先に

各機関は、S7シリーズを含むPLCがインターネットから直接アクセスできない状態にすることを最重要対策に挙げている。S7commが使用するTCPポート102について境界ファイアウォールの設定を監査し、外部からの通信を遮断する必要がある。

OTネットワークと社内ITネットワークの間にはDMZを設け、不正な経路が存在しないか確認する。遠隔接続が必要な場合は、多要素認証を有効にし、アクセスできる利用者、端末、接続元を制限することが求められる。

事業者はS7シリーズの機器を直ちに棚卸しし、型番、ファームウェア、接続経路を把握する必要がある。システムインテグレーターや保守事業者による遠隔接続を利用している施設では、所有者が外部への露出を認識していない可能性もあるため、第三者の接続経路を含めて確認することが重要になる。

■S7comm通信とラダーロジックの変更を監視

検知面では、エンジニアリング用途ではない端末からのS7comm接続、通常と異なるデータブロックへのアクセス、予定された変更時間外の書き込み操作などが主な監視対象となる。

ポート102に対する連続的なスキャン、パラメーターを変えながら繰り返される接続、CPU情報の列挙も偵察の兆候となり得る。承認されたエンジニアリング端末以外でのsnap7.dllの使用や、S7comm機能を持つ未承認のPythonスクリプト、身に覚えのない監視ソフトウェアにも注意が必要だ。

PLCに接続する「TIA Portal」や「STEP 7」の使用端末を限定し、接続日時と接続元IPアドレスを記録することも推奨されている。通常の通信や変更作業を基準として定め、そこから外れる挙動を検知できるようにする。

各機関はこのほか、PLCのパスワード保護や読み書き保護の設定、エンジニアリング端末でのアプリケーション許可リスト、不要なWebサーバーや通信プロトコルの無効化、オンラインとオフラインのラダーロジックの比較などを推奨している。

■注目ポイントQ&A

●AIは産業制御システムへの脅威をどのように変えていますか?

公開されている脆弱性情報や既存ライブラリを利用したスクリプトの作成と改良を速め、実用的な攻撃ツールの開発に必要な専門知識と時間を減らしています。今回の活動では、AI支援で作成されたPythonスクリプトが正規の監視ツールを装い、PLCの読み書きに使われています。

●対象となっているシーメンス製PLCはどれですか?

S7-200、S7-300、S7-400、S7-1200、S7-1500シリーズです。S7-1200は複数のCPU 12xxCモデル、S7-1500はFシリーズを含む全CPUが対象に挙げられています。

●古いPLCはパッチだけで保護できますか?

一律には判断できません。型番やファームウェアによって利用できる更新や緩和策が異なるため、シーメンスのProductCERT情報を確認する必要があります。更新の有無にかかわらず、インターネットからの分離、ネットワーク分割、アクセス制御、通信監視を組み合わせることが重要です。

●事業者が最初に行うべき対策は何ですか?

PLCを棚卸しし、インターネットから直接または間接的に接続できる機器を特定してください。ポート102への外部通信を遮断し、ファームウェアと管理ソフトウェアを確認するとともに、遠隔接続には多要素認証を適用することが推奨されています。

元記事: Feds Confirm AI Is Writing Exploits for Siemens PLCs Used in Water and Energy

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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