【分析】XRP市場で重なる3つのシグナル、取引所残高・ETF・米CLARITY法案の行方

2026年8月21日 10:58

印刷

記事提供元:Tech Times

Photo by Kanchanara on Unsplash

Photo by Kanchanara on Unsplash[写真拡大]

XRP市場では、主要取引所の保有残高減少、米国の現物ETFへの資金流入、暗号資産市場の規制枠組みを定める米CLARITY法案の上院審議という3つの動きが重なっている。いずれも今後の需給や投資家心理を左右し得るが、取引所からの流出だけで買い需要や価格上昇が確認できるわけではなく、法案も最終成立まで複数の手続きを残している。

■主要3取引所のXRP残高が約2億4000万減少

オンチェーン分析企業CryptoQuantのデータによると、Binance、Upbit、Bithumbが保有するXRPの合計残高は、5月下旬から6月上旬にかけての約110億8000万XRPから、8月19日時点で約108億4000万XRPへ減少した。減少幅は約2億4000万XRPとなる。

内訳は、Binanceが約27億2000万XRPから約26億2000万XRPへ約1億XRP減少し、減少率は約3.7%だった。Upbitは約65億1000万XRPから約64億XRPへ約1億1000万XRP、Bithumbは約18億5000万XRPから約18億2000万XRPへ約3000万XRP減少した。

このうちUpbitとBithumbが追跡対象残高の約76%を占める。そのため、今回のデータには韓国市場の利用者や取引所運営上の資金移動が大きく反映されている可能性があり、地域をまたいだ機関投資家全体の動向として一般化することはできない。

取引所残高の減少は、XRPが当該取引所の管理アドレスから移動したことを示す。一方、移動先は個人管理のウォレットに限らず、別の取引所、カストディ事業者、店頭取引に関連するアドレスなども考えられる。したがって、残高減少をそのまま長期保有目的の買い集めとみなすのではなく、売買可能な場所に置かれている供給量の変化として読む必要がある。

CryptoQuantの分析では、Binanceに大口保有者から送られるXRPの月間平均量は約360万XRPまで低下した。取引所流入額の90日移動平均も、2025年初頭の約4億6000万ドルから約6900万ドルへ約85%減少したとされる。取引所残高と新規流入が同時に減っていることは、即時に売却され得る供給が縮小している可能性を示すが、それ自体が新たな買い需要を生み出すわけではない。

■大口ウォレットの残高は増加

Santimentのデータによると、1000万から1億XRPを保有するウォレット群は、8月9日を含む週に合計3億8000万XRP以上を積み増し、総保有量は80億XRPを超えた。100万XRP以上を保有するウォレットの数も、過去3カ月で32増加したとされる。

8月3日には、Binanceから流出したXRPの約81%が大口保有者に分類されるウォレットへ移動したとの分析もある。ただし、大口ウォレットは個人や機関投資家だけでなく、取引所、カストディ、事業者などが管理している場合がある。アドレス残高だけから最終的な保有主体や売買目的を断定することは難しい。

また、CryptoQuantが示す90日間のテイカー累積出来高デルタは中立的な水準にある。大口ウォレットの残高増加は確認されているものの、市場全体で積極的な成行買いが急増している状態ではない。現在のデータが示しているのは売却可能な供給の減少であり、価格を継続的に押し上げる需要の拡大は別に確認する必要がある。

XRPの供給を見る際には、Rippleのエスクローも考慮する必要がある。エスクロー契約からはあらかじめ設定された日程に従って毎月最大10億XRPが解除されるが、解除分のすべてが市場で売却されるわけではなく、未使用分が再びエスクローに設定されることもある。この仕組みは取引所残高とは別に動くため、取引所からの流出だけでXRP全体の流通供給量を判断することはできない。

■米国の現物XRP ETFは流入を維持

SoSoValueの集計では、米国の現物XRP ETFは2025年11月の取引開始以降、8月中旬までに累計約15億1000万ドルの純流入を記録した。同集計の対象となる7商品は、合計約9億9250万XRPを保有していた。

累計純流入額と現在の運用資産額は同じ指標ではない。累計純流入額は設定後に出入りした資金の合計を示す一方、運用資産額は保有するXRPの市場価格によって変動する。XRP価格が低下すれば、資金流出が同額発生していなくても運用資産額は累計流入額を下回り得る。

資金流入の勢いは月によってばらつきがある。7月の純流入額は2729万ドルで、5月の1億3194万ドルを大きく下回った。8月8日までの週は101万ドルの純流入にとどまったが、記事公開時点では週次の純流入が5週連続でプラスとなり、8月18日と19日にも複数の商品で流入が確認された。

もっとも、数百万ドル規模の1日当たり流入は、XRP市場全体と比べれば限定的だ。ETFへの流入が取引所残高の減少と同時に続くか、流入規模が拡大するかが、供給減少に新規需要が加わっているかを判断する手掛かりになる。

スタンダードチャータード銀行のアナリスト、Geoffrey Kendrick氏は、ETFへの大規模な資金流入と米国の規制整備を前提にXRPの価格見通しを示してきた。ただし、同氏は2026年に見通しを下方修正しており、価格目標はいずれも一定の市場環境や政策進展を前提とする予測である。達成が保証された水準として扱うべきではない。

■9月15日の採決は法案の最終可決ではない

米上院では9月15日、H.R. 3633「Digital Asset Market Clarity Act of 2025」、通称CLARITY法案を審議対象とするための動議について、クローチャー採決が予定されている。上院院内総務のJohn Thune氏が8月8日に手続きを申し立てた。

この採決で問われるのは、法案を最終的に成立させるかどうかではなく、上院が法案の正式な審議へ進むための手続きを前進させるかどうかである。クローチャー成立には原則として60票が必要となる。

クローチャーが成立しても、その後には本会議での審議、修正案の扱い、追加の手続き採決、法案本文に対する採決が残る。上院が下院通過版を修正した場合は、両院が同一文面を可決したうえで大統領に送付する必要がある。9月15日は重要な節目ではあるが、法案成立までの最終段階ではない。

CLARITY法案は、すべての暗号資産を一律に分類する法律ではなく、デジタルコモディティーや暗号資産取引を巡るSECとCFTCの管轄、取引事業者の登録制度など、連邦レベルの市場構造を整備することを目的としている。特定の暗号資産であるXRPの法的地位だけを明文化する法案ではない。

SECとCFTCは2026年3月、暗号資産と関連取引に対する連邦証券法の適用について解釈とガイダンスを公表した。そこでは、暗号資産そのものの性質と、その資産が投資契約の一部として販売される取引とを区別する考え方が示されている。CLARITY法案の意義は、こうした個別の行政解釈を単純に置き換えることではなく、市場参加者に適用する包括的な法定枠組みを議会が定める点にある。

予測市場Polymarketでは、8月20日時点における2026年中の法案成立確率が24%となっていた。予測市場の数値は参加者の取引価格から算出されるもので、議会での票読みや成立確率を公式に示すものではないが、市場参加者が年内成立を基本シナリオとはみていないことを示す参考指標にはなる。

■XRPLではステーブルコインとトークン化資産が拡大

Blockworksの2026年第2四半期レポートによると、XRP Ledger上で記録されたトークン化現実資産の総額は、前四半期比102.5%増の44億6000万ドルに達した。XRPL上のステーブルコイン供給量も、前四半期比195.4%増の8億2550万ドルとなった。

ただし、44億6000万ドルのうち約22億3000万ドルは、Justokenのエネルギー関連トークン「JMWH」が占める。同トークンは発行体が全量を保有しており、外部の独立したウォレット間で流通する資産とは性質が異なる。

Blockworksが分散保有されるRWAとして集計した金額は、第2四半期末時点で3億8610万ドルとなり、前四半期から5%減少した。したがって、台帳上に記録された資産価値の総額と、外部利用者の間で移転や取引が行われている資産規模は分けて見る必要がある。

ステーブルコインやトークン化資産の増加はXRPLの利用範囲が広がっていることを示す一方、すべての取引がXRPの継続的な買い需要につながるわけではない。XRPL上では米ドル連動型ステーブルコインなどを価値移転の中心に据えることも可能であり、ネットワーク利用の拡大とXRP価格への影響は別の指標として評価する必要がある。

■9月に確認すべき4つの指標

今後のXRP市場を考えるうえで、第一に確認したいのは取引所残高と取引所への新規流入量である。Binance、Upbit、Bithumbで残高減少が続けば、当該取引所で即座に売却できるXRPの量はさらに減る可能性がある。ただし、移動先と保有主体を特定できない限り、流出を一律に強気材料とみなすことはできない。

第二はETFへの純流入だ。週次のプラスが続くだけでなく、流入規模が継続的に拡大すれば、単なる売り手の減少に加えて、新たな投資資金が入っていることを示す材料となる。

第三は9月15日の上院採決である。クローチャーが成立すれば法案審議は前進するが、成立しなければ年内に必要な手続きを完了する日程は一段と厳しくなる。採決後も法案の修正内容や両党間の交渉を追う必要がある。

第四はXRPL上の活動とXRP需要の関係だ。ステーブルコイン、トークン化資産、決済などの利用が増えた際に、XRPを使う取引や流動性需要も増えているかを分けて確認することが重要となる。

取引所残高の減少、ETFへの資金流入、規制法案の進展は、それぞれ異なる情報を示している。3つが同時に動けば市場の需給や投資家心理を変える可能性がある一方、いずれか一つだけで価格の方向を決めることはできない。9月15日の採決は、これらの材料が実際の需要拡大につながるかを見極める一つの節目となる。

本記事は情報提供を目的としたものであり、金融商品や暗号資産の購入、売却その他の投資行動を推奨するものではない。暗号資産、ETF、予測市場の価格や集計値は変動する。

■注目ポイントQ&A

●取引所からXRPが流出すると、なぜ注目されるのですか?

取引所で即座に売却できるXRPが減る可能性があるためです。ただし、別の取引所やカストディへ移された場合も同様のデータになるため、流出だけで長期保有や買い集めと判断することはできません。価格上昇には別途、新たな買い需要が必要です。

●9月15日の採決でCLARITY法案が成立するのですか?

いいえ。予定されているのは、上院が法案の審議へ進むための動議を巡るクローチャー採決です。成立には原則60票が必要で、可決後も法案審議、修正、追加採決などが残ります。

●CLARITY法案はXRPをデジタルコモディティーと明記する法案ですか?

特定のXRPだけを分類する法案ではありません。暗号資産市場におけるSECとCFTCの管轄、デジタルコモディティーの取り扱い、取引事業者の登録制度などを含む包括的な市場構造法案です。

●XRPL上のRWAが44億6000万ドルに増えたことは、実際の取引が同じ規模に達したという意味ですか?

いいえ。総額の約半分は発行体が全量を保有する単一のトークンが占めています。台帳上に記録された資産価値と、独立した外部ウォレット間で流通する資産規模は分けて見る必要があります。

●ETFへの累計流入額が運用資産額より大きいのは、資金が流出したからですか?

必ずしもそうではありません。累計純流入額は設定後に出入りした資金の合計で、運用資産額は保有するXRPの現在価値を反映します。XRP価格が下落すれば、大規模な解約がなくても運用資産額は累計流入額を下回ります。

元記事: XRP Outflows, ETF Recovery, CLARITY Act: Three September Signals Align

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード

関連記事