相場展望4月11日号 米国株: 3月CPI上ぶれ⇒インフレ加速懸念⇒金利上昇リスク増す 日本株: 米半導体株の下落・円安・資源高の波及に対処を

2024年4月11日 11:24

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■I.米国株式市場

●1.米国株:3月CPI⇒インフレ加速懸念⇒金利引下げ遠のく⇒金利上昇リスク増す

 1)米3月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.5%と、予想+3.4%から悪化
  ・2月の+3.2%からも悪化した。上昇率は2ヵ月連続で前の月を上回り、インフレ再加速の懸念が強まった。

【前回は】相場展望4月8日号 米国株: NYダウなど主要株価指数が「弱気」、上昇支持線下回る 日本株: 買い主体の交替「海外投資家⇒証券自己」に、リスク注意

  ・変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比+3.8%と、予想+3.7%と鈍化予想に反して上回った。2月と同じだった。

  ・インフレ率は昨年夏の9%をピークに下落基調にあったが、最近は横ばいとなり下げ止まっていた。しかし、この2ヵ月の動向は再びインフレ率が再上昇する動きをみせている。

 2)CPI上昇の主な要因
  ・ガソリン価格の上昇に伴う輸送費が+10.7%高。
  ・住居費が+5.7%高。
  ・エネルギー価格上昇による電気代が+5.0%高。
  ・外食が+4.2%高。

 3)FRBによる利下げ期待が後退し、6月利下げ期待が遠のいた
  ・利下げ時期は秋以降へ後退すると見る。
  ・なお、市場参加者のなかに利下げの7月開始期待がある。

 4)CPI上昇で⇒金利上昇⇒円安・ドル高へ
  ・米金利の推移    4/01   4/09   4/10  前日比
     10年物金利   4.312% 4.362   4.547 +0.185%高
     02年物金利   4.712  4.743   4.973 +0.230%高
  ・円・ドルの推移   150.02円 150.60  152.992(米国時間)

 5)FRBは、インフレ鈍化の停滞による金利据え置きの長期化を懸念=FOMC議事要旨

 6)FRBによる再利上げの可能性を排除できない
  ・原油価格はメキシコ、OPECプラスの減産で供給が細り、原油高が進行している。加えて、ロシアは石油製品の輸出規制実施と産油地帯の洪水の影響があり、原油価格はさらに引き締まって北海ブレンドが100ドルに達する可能性がある。
  ・米CPIの構成で主な要素となっている住居費も上昇する一方である。
  ・労働需給も再びひっ迫感を示しており、賃金上昇が予測される。
  ・以上の観点から、インフレの鈍化⇒インフレの再燃へとつながると予想する。
  ・インフレ率の反騰から、利上げを巡って議論が起こり得る状況となり、FRBは再利上げの可能性を排除できなくなるだろう。

 7)FRBの金利引下げ期待観測で米株は急伸したが、米株価は来た道を戻るリスクあり
  ・4/10、米国株の上昇を牽引してきた半導体株指数(SOX)が下げを主導。
    NYダウ            ▲1.09%安
    SP500             ▲0.95        
    ナスダック総合         ▲0.84  
    フィラデルフィア半導体株指数  ▲1.65 (SOX)
  ・SOX指数の下落が主導して、米株式相場の反落を誘うリスクがあることに注意したい。
  ・金利上昇は、値がさハイテク株にとって割高感が意識されて売られる要因となるため、株式相場は警戒したいところである。

●2.米連邦公開市場委員会(FOMC)3/19~20の議事要旨(フィスコ)

 1)最近のインフレデータで、当局者の自信を弱めた。

 2)米国の経済成長ペースは鈍化を予想。

 3)FRBの政策はピークに達した。

 4)月間の保有資産縮小ペースを半減することを支持。

 5)数人のメンバーは地政学的リスクを認識。

 6)ほとんど全メンバーが年内の利下げが適切と見ている。


■II.中国株式市場

●1.格付け会社フィッチ、中国の格付け見通しを「ネガティブ」に引下げ(ロイター)

 1)中国の財政見通しに対するリスクが高まっていることが理由。

 2)中国の一般政府財政赤字が2024年に国内総生産(GDP)比▲7.1%と、2023年の▲5.8%から悪化すると見込んだ。

 3)格付けは「Aプラス」に据え置いた。

●2.中国建設銀行、中国不動産開発大手の世茂集団の清算を申立て(Kabutan)

  1)不動産危機を巡る懸念が再燃。世茂集団は香港市場で▲10%超急落。

●3.中国の「超富裕層」が4年ぶりに縮小した背景、不動産相場の下落と株価低迷(東洋経済より抜粋

 1)中国の「超富裕層」が縮小している。調査会社の胡潤研究所が3/19に発表した2023年度版の「胡潤財富レポート」によれば、保有資産が1億元(約21億円)を超える中国で最も豊かな階層の世帯数は2023年1/1時点で13.3万戸にとどまり、1年前より▲3.8%減少した。

 2)2023年に入ると、中国の富裕層は不動産相場の急落と、株式市場の低迷というダブルパンチに見舞われた。2023年の富裕層の増減率が4年ぶりのマイナスに転落したのはそのためである。

 3)国際社会に生じた、ロシアのウクライナ侵攻や米中対立激化などの地政学的変化に伴い、世界経済の先行きが不透明さを増している。このことが、中国を含む主要国の富裕層の保有資産に及ぼす負の影響は避けられない。

■III.日本株式市場

●1.日本株:米半導体株の下落波及に注意

 1)米3月消費者物価指数+3.5%と悪化⇒米利下げ遠のく⇒米金利上昇⇒円安153円迫る
  ・日米金利差が拡大⇒円安が進行
  ・日米金利差の推移     4/01    4/09   4/10  前日比
     米10年債金利    4.312%   4.362   4.547 +0.185%高
     日10年債金利    0.731    0.782   0.792 +0.010%高
      日米金利差    3.581    3.580   3.755 +0.175%高
  ・円・ドルの推移     150.02円  150.60   152.992▲2.392円安
   (注)4/10の日本時間では151.79円⇒米国時間では152.992円。
      4/10の円相場は、約34年ぶりの円安・ドル高水準。
      米CPIでインフレ懸念が増し、米金利上昇で、円は一気に153円に迫った。

 2)日経平均の最近の上昇は半導体関連銘柄が牽引してきた

 3)米半導体株指数(SOX)のチャートが下落基調を示しているため、波及に注意

 4)円安相場は、輸出関連銘柄にとっては追い風だが、輸入関連には逆風

 5)日本株全体としては、米国株の動きの影響を受けるため、警戒したい
  ・ただし、金利高は銀行株と保険株にとっては追い風となる。また、世界の資源高は、銅などの非鉄金属や石油株にとっても好材料。

  ・しかし、日本の金利高は上記以外の業種にとって負の材料になりやすい。

  ・また、実質賃金が2年近く減少が続いているため、消費関連は逆風となる。イオンが一部商品を値下げしたように、デフレの波が再来する可能性があり、備えが必要となる恐れあり。

●2.2月勤労統計で、実質賃金が前年同月比▲1.3%減と23ヵ月連続でマイナスとなった(ロイター)

 1)物価上昇に、賃金上昇が追い付かない状況が続いている。(テレ朝)

●3.日銀・植田総裁「物価上昇続けば追加利上げなど政策変更を検討」(NHK)

●4.セブン&アイ、子会社のイトーヨーカ堂を上場へ(共同通信)

●5.イオン、売上高が過去最高の9兆5,535億円、前期比+4.8%増、純利益2.1倍の+446億円(共同通信)

●6.サイゼリヤ、2023年9月~2024年2月売上好調、純利益前年同期比4.3倍の+25億円

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1705 INPEX     原油価格上昇で業績向上期待
 ・5706 三井金属    業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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