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Synspectiveの11機目SAR衛星、打ち上げを9月2日に再延期 防衛省PFI事業でも画像データ提供へ
Rocket Lab(ロケットラボ)は、Synspective(シンスペクティブ)の11機目となる小型SAR衛星「StriX」シリーズを搭載するElectron(エレクトロン)ロケットの打ち上げを、日本時間9月2日20時11分以降に予定している。当初は8月31日、その後は9月1日の打ち上げが予定されていたが、ニュージーランド・マヒア半島にある射場周辺の強風により延期された。
今回の衛星は、Synspectiveが2020年代後半までの構築を目指す30機のSAR衛星コンステレーションに加わる予定だ。同社は防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」にも協力企業として参加しており、今後は自社衛星などを通じた画像データの取得を担う。
■強風で打ち上げを9月2日に延期
ミッション名は「Owl Around The World」で、Synspectiveの衛星を1機だけ搭載する専用打ち上げとなる。Rocket LabのニュージーランドにあるLaunch Complex 1から打ち上げ、高度575km、軌道傾斜角38度の地球低軌道へ投入する計画だ。
8月31日に予定されていた打ち上げは、射場周辺の強風を受けて見送られた。その後、日本時間9月1日20時30分以降に再設定されたものの、さらに延期され、Synspectiveは9月1日時点で新たな予定を9月2日20時11分と案内している。打ち上げ日時は天候などにより再び変更される可能性がある。
Launch Complex 1は、ニュージーランド北島東岸のマヒア半島に位置するRocket Labの民間射場だ。Electronの打ち上げ拠点として使われており、外洋に向けて飛行経路を設定できる一方、打ち上げの実施可否は上空を含む気象条件に左右される。
■夜間や雲のある状況でも観測できるSAR
StriXは、合成開口レーダー(SAR)を搭載した地球観測衛星である。SARは衛星から地表へマイクロ波を照射し、地表や構造物から返ってくる信号を受信して画像化する。
衛星が軌道上を移動しながら同じ観測対象から複数の反射信号を取得し、それらを処理することで、実際のアンテナよりも大きな開口を持つレーダーに相当する分解能を得る。太陽光を必要としないため夜間にも観測でき、光学衛星では撮像が難しい雲のある状況でも地表を捉えられることがSARの特徴だ。
StriXは中心周波数9.65GHzのXバンドを使用する。Synspectiveが公開している仕様では、広範囲を観測するストリップマップや、特定地点をより高い分解能で観測する複数のスポットライト系モードを備える。取得したデータは、災害状況の把握、インフラの監視、環境モニタリング、安全保障分野などに利用できる。
地盤変動の把握では、異なる時期に取得したSARデータの位相差を分析する干渉SARなどの手法が用いられる。単一の画像から変位を直接読み取るのではなく、継続的に同じ地域を観測してデータを比較することが重要になる。衛星数が増えれば観測機会も増えるため、コンステレーションの拡充は変化を追跡する能力の向上につながる。
■防衛省PFI事業で画像データ取得を受託
Synspectiveは、三菱電機、スカパーJSAT、三井物産、QPS研究所、アクセルスペース、三井物産エアロスペースとともに、防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」に参加している。
この事業は、スタンド・オフ防衛能力の実効性確保に必要な画像情報を安定的に取得するため、民間企業が運営する衛星コンステレーションを活用するPFI事業である。2025年12月に事業者が決まり、三菱電機、スカパーJSAT、三井物産が出資する特別目的会社「トライサット・コンステレーション」が設立された。
防衛省とトライサット・コンステレーションは2026年2月19日に事業契約を締結した。契約額は税込み2831億円で、事業期間は2031年3月31日までとなる。業務には画像データの取得、専用地上施設の運用、事業全体の管理などが含まれる。
Synspectiveは出資会社ではなく協力企業として参加し、トライサット・コンステレーションおよび三菱電機との間で画像データ取得業務の委託契約を結んだ。同契約の金額は税込み1056億円で、期間は防衛省との事業契約と同じく2031年3月31日までである。
この契約は特定のStriX衛星1機を防衛専用機とするものではなく、Synspectiveが事業期間を通じて画像データ取得業務を提供する枠組みだ。夜間や天候の影響を受けにくいSARと、広域撮像に適した光学衛星などを組み合わせ、必要な画像情報を安定的に取得することが事業の目的となっている。
■キックステージで衛星を太陽光から保護
Electronは2段式ロケットの上段に、軌道投入を担うキックステージを組み合わせることができる。今回のミッションでは、第2段から分離されたキックステージが姿勢を変え、軌道上を飛行する間、StriXへの太陽光を遮る運用を行う予定だ。
Rocket Labによると、この姿勢制御は衛星の展開前に受ける放射の影響を抑え、機体の健全性を保つために実施される。過去のStriX打ち上げでも採用されてきた、同衛星向けの運用手順である。
飛行計画では、打ち上げから約52分45秒後にキックステージのCurie(キュリー)エンジンを作動させて目標軌道を整え、約56分16秒後に衛星を分離する。専用打ち上げには、相乗り打ち上げと比べて、衛星の要件に合わせた軌道や飛行中の姿勢を設定しやすい利点がある。
■30機のコンステレーション構築へ
SynspectiveとRocket Labによる最初の打ち上げは2020年12月に実施され、実証衛星StriX-αが軌道へ投入された。その後もStriX-β、StriX-1、StriX-3などの打ち上げが続き、2026年6月には10機目のStriX衛星が目標軌道へ投入され、アンテナの展開にも成功した。
Rocket Labは2024年6月、SynspectiveからElectronによる10回の専用打ち上げを受注した。さらに2025年9月には10回分の追加契約を発表しており、両社は長期的な打ち上げ計画を進めている。
Synspectiveは2020年代後半までに30機のSAR衛星によるコンステレーションを構築する計画だ。太陽同期軌道と傾斜軌道を組み合わせ、観測対象や用途に応じた撮像機会を増やす方針を示している。
11機目の衛星が軌道へ加われば、災害、インフラ、環境、安全保障などに向けた観測体制がさらに拡充される。まずは天候条件を見極めながら、日本時間9月2日夜の打ち上げが目指される。
元記事: Synspective StriX-11 Grounded by Coastal Winds, Aims for September Orbit Slot
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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