【分析】AI投資の恩恵は半導体メーカーへ、NVIDIA最高決算とHBM不足が映す市場構造

2026年8月31日 10:21

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記事提供元:Tech Times

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NVIDIAが2027年度第2四半期に過去最高となる962億ドル(約15兆3920億円、1ドル=160円換算)の売上高を記録した。AIデータセンターへの投資が続くなか、演算装置やメモリ、ネットワーク製品を供給する半導体企業に大きな需要が流れ込んでいる。

一方、半導体株の急上昇は一部の企業や製品分野に集中している。AIインフラ向け投資の採算、メモリ価格、供給能力、製品の世代交代などによって状況が変わる可能性もあり、現在の株価動向だけで長期的な勝者を断定することはできない。

■NVIDIA、四半期売上高が過去最高の962億ドル

NVIDIAが8月26日に発表した2027年度第2四半期決算では、2026年7月26日までの3カ月間の売上高が前年同期比106%増、前四半期比18%増の962億2100万ドルとなった。

主力のデータセンター事業の売上高は890億ドルで、前年同期比117%増、前四半期比18%増だった。AIモデルの学習や推論に用いるGPUだけでなく、CPU、ネットワーク機器、ソフトウェアを組み合わせたシステムの需要が業績を押し上げた。

GAAPベースの粗利益率は75.0%、純利益は前年同期比126%増の596億8800万ドルだった。非GAAPベースの純利益は539億5400万ドルで、GAAPと非GAAPでは株式報酬などの扱いが異なる。

NVIDIAは2027年度第3四半期の売上高について、1080億ドル(約17兆2800億円)を中心に上下2%の範囲になるとの見通しを示した。この予想には、中国向けデータセンター用コンピューティング製品の売上高を織り込んでいない。

ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は決算発表で、「AIは転換点に達した。有用な仕事を行い、そのトークンは生産的で利益を生み出している。今やコンピューティングが収益になる」と述べた。

■AI投資が半導体需要へ流れ込む構造

クラウドサービス事業者や大手IT企業は、AIサービスの開発と提供に向けてデータセンターへの投資を拡大している。支出先にはGPUだけでなく、CPU、HBM、ネットワーク半導体、光接続部品、電源管理製品、冷却設備などが含まれる。

こうした投資は、AIサービスを運営する企業にとって将来の収益を得るための資本支出である。一方、半導体企業側では、演算能力やメモリ帯域への需要が製品売上高として比較的早く表れる。この時間差が、足元で半導体企業の業績や株価が注目される一因になっている。

ただし、AIインフラへの支出がそのまま半導体企業の利益になるわけではない。製造委託費やメモリ価格、先端パッケージング費用の上昇は、半導体企業の原価や粗利益率にも影響する。また、AIサービスを提供する企業が投資に見合う収益を得られれば、長期的にはプラットフォーム側の企業価値を高める可能性がある。

このため、現在の状況はビッグテックから半導体メーカーへの恒久的な利益移転というより、AIインフラの構築段階で、供給制約の強い半導体やメモリに売上高が集中している局面とみる方が適切である。

■Vera RubinでCPUからネットワークまで統合

NVIDIAは次世代プラットフォーム「Vera Rubin」の量産を進めている。同プラットフォームはVera CPUとRubin GPUに加え、NVLink 6による相互接続、ConnectX-9ネットワーク製品、ソフトウェアなどを組み合わせる。

Veraは、NVIDIAがAIエージェント向けに設計したデータセンター用CPUである。AIエージェントでは、モデルを動かすGPUの処理だけでなく、ツールの呼び出し、コードの実行、データ処理、複数の処理の調整など、CPUが担う仕事も増える。

Vera CPUは、NVIDIAが設計した88基の「Olympus」コアと、最大毎秒1.2テラバイトのメモリ帯域幅を備える。同社独自の「Spatial Multithreading」は、実行資源を分離することで、分岐が多い処理を複数並行して動かすことを想定した技術である。

NVIDIAはVeraを単体のCPUサーバーだけでなく、Vera Rubinシステムやストレージ基盤にも組み込む計画だ。GPU以外の処理も自社製品群に取り込むことで、AIデータセンターを構成するシステム全体から収益を得る戦略が鮮明になっている。

同社が示している性能や処理効率は、NVIDIAによる測定と比較に基づく。実際の効果は、使用するモデルやソフトウェア、システム構成、稼働率によって変わる。

■HBMと先端パッケージングが供給上の焦点

AIアクセラレーターの生産では、GPUそのものに加えて、広帯域メモリ(HBM)と先端パッケージングの供給能力が重要になっている。

HBMは、複数のDRAMダイを垂直方向に積み重ね、シリコン貫通電極と呼ばれる接続技術を使って大量のデータを並列に転送する。GPUの近くに配置することで、一般的なサーバーメモリより広い帯域幅を確保できる。

大規模なAI処理では、演算装置にデータを十分な速度で送り続ける必要がある。HBMの役割は、GPUの演算性能そのものを高めることではなく、大量のデータを高速に供給し、演算装置の待ち時間を減らすことにある。

一方、同じ容量を製造する場合、HBMはDDR5より多くのウェハー投入量を必要とする。ダイを積層して検査・接合する工程も複雑であり、HBM向け生産を増やすほど、一般的なDRAMに割り当てられる生産能力が圧迫される可能性がある。

GPUとHBMを一つのパッケージに組み込む工程では、TSMCのCoWoSなどの先端パッケージング技術が使われる。このため、GPUの製造能力だけを増やしても、HBMまたはパッケージング能力が不足すれば、完成品の供給を十分に増やせない。

NVIDIAの供給・生産能力に関するコミットメントは、2027年度第1四半期末の1190億ドルから、第2四半期末には2790億ドルへ増加した。将来の需要に備えて部品と生産能力を確保する動きだが、大規模な購入契約は、需要が想定を下回った場合には在庫や契約上のリスクにもなり得る。

■メモリ市場は価格上昇を伴って拡大

Gartnerは8月24日、世界の半導体売上高が2026年に前年比92%増の約1兆5550億ドルに達するとの予測を発表した。このうちメモリ売上高は8373億ドルとなり、半導体市場全体の54%を占める見通しである。

同社は2026年のDRAM売上高が前年比246.6%、NAND型フラッシュメモリが371.9%増えると予測している。増加率には出荷量だけでなく、供給逼迫に伴う価格上昇の影響も含まれる。売上高の急増を、そのまま生産量や実需の同率拡大と解釈することはできない。

Gartnerによると、メモリ売上高は2027年に1兆755億ドルとなり、非メモリ半導体の8644億ドルを上回る見通しだ。追加の生産能力が稼働しても、AIサーバー1台当たりのメモリ搭載量やHBM需要が増えるため、2027年も需給は引き締まった状態が続くと予測している。

SK Hynixのクァク・ノジョンCEOも、顧客需要が同社の供給能力を上回る状態が2030年より後まで続くとの見方を示している。これは主要メーカーによる予測であり、今後の設備投資、AI需要、価格、競合各社の増産によって実際の需給は変化する可能性がある。

■AIインフラに5000億ドル超の資金導入を目指す

NVIDIAは8月10日、Apollo Global Management、BlackRock、Blackstone、Brookfield Asset Management、Goldman Sachs、KKRの6社と、AIコンピューティング基盤向けの資金調達プラットフォームを設ける戦略的提携を発表した。

6社との覚書は、AIインフラの構築に5000億ドル(約80兆円)を超える第三者資本を段階的に動員することを目指している。この金額がすでに調達または投資されたわけではなく、各社が今後設ける独立した資金枠の目標規模である。

構想では、GPUを含むコンピューティング設備や、それを使って生まれる利用料収入などを投資対象として扱う。AIクラウド事業者や企業が、自社のバランスシートだけに依存せず、機関投資家などの資本を利用してインフラを整備できるようにする狙いがある。

発電所や通信塔、データセンター建物などへのインフラ投資と共通するのは、設備の利用によって長期的な収入を得ようとする構造である。一方、AI向け半導体は性能向上の速度が速いため、将来の稼働率、契約期間、中古価値、更新費用をどのように見積もるかが資金調達条件を左右する。

覚書は提携の枠組みを示す段階であり、具体的な投融資は最終契約や個別案件の審査を前提とする。5000億ドルという目標がどの期間で、どの程度実現するかは今後の焦点となる。

■中国向け売上高を含まない次四半期予想

NVIDIAの第3四半期売上高見通しには、中国向けデータセンター用コンピューティング製品の売上高が含まれていない。米国の輸出規制や許認可をめぐる不確実性が続いているためだ。

これは中国を除く地域からの需要だけで1080億ドル規模の売上高を見込んでいることを示す。ただし、地域別の需要見通しや各地域が占める具体的な比率は、今回の売上高予想からは分からない。

中国では国内企業によるAI半導体やシステムの開発も進んでいる。米国の輸出規制が続けば、中国向け市場とその他の地域で使われるAI基盤の構成が異なる方向へ進む可能性がある。

■半導体株の優位は続くのか

2026年には、一部の半導体企業や半導体関連ETFが大きく上昇し、大手IT企業を上回る値動きを示した。AIインフラ投資、HBM価格の上昇、供給能力の不足が、半導体各社の業績予想を押し上げている。

もっとも、半導体業界は需要と供給の変化による値動きが大きい。企業が相次いで設備投資を増やせば、将来は供給不足が緩和され、価格や利益率が低下する可能性もある。製品の投入遅延、顧客による独自半導体の採用、AI投資の抑制もリスクになる。

また、半導体ETFの上昇が少数の大型銘柄に支えられている場合、それらの企業の決算や業績見通しによってETF全体が大きく変動する。セクター全体の成長と、個別企業の株価上昇を分けて考える必要がある。

少なくとも足元では、AIインフラの構築に必要な演算装置、メモリ、ネットワーク製品の供給能力が需要拡大の速度に追いついていない。NVIDIAの過去最高決算は、AI利用によって各企業が最終的に得る利益を確定させたものではなく、インフラ構築段階で半導体への支出が急増していることを示す結果といえる。

■注目ポイントQ&A

●NVIDIAの2027年度第2四半期の売上高はいくらですか?

962億2100万ドルです。前年同期比106%増、前四半期比18%増となり、同社の四半期売上高として過去最高を更新しました。

●半導体企業がAI投資の恩恵を受けているのはなぜですか?

AIデータセンターの構築には、GPU、CPU、HBM、ネットワーク半導体などが必要です。クラウド事業者や大手IT企業が設備投資を増やすと、その支出が半導体企業の製品売上高として表れます。

●Vera CPUはどのような製品ですか?

AIエージェントに伴うツール実行、コード処理、データ処理、オーケストレーションなどを想定してNVIDIAが設計したデータセンター向けCPUです。88基のOlympusコアと最大毎秒1.2テラバイトのメモリ帯域幅を備えます。

●5000億ドルの資金調達はすでに完了していますか?

完了していません。NVIDIAと金融6社が締結した覚書は、5000億ドルを超える第三者資本を将来的に動員するための資金調達プラットフォームを設ける構想です。具体的な投融資は、最終契約や個別案件の審査を前提とします。

●メモリ不足はいつまで続きますか?

Gartnerは、追加能力が稼働する2027年も需給が引き締まった状態になると予測しています。SK HynixのCEOは、自社への顧客需要が供給能力を上回る状態が2030年より後まで続くとの見方を示していますが、いずれも現時点での予測であり、設備投資や需要の変化によって変わる可能性があります。

●半導体株の上昇は今後も続きますか?

AIインフラ需要と供給制約は半導体企業の業績を支える要因ですが、株価の持続的な上昇を保証するものではありません。供給増加、価格下落、需要の鈍化、製品競争、特定銘柄への集中などがリスクになります。

元記事: Chipmakers Displace Big Tech as AI Era Winners: NVIDIA Quarter Confirms Shift

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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