関連記事
BMW新型「iX3」、世界受注10万台が視野に 日本では982万円から、中国でも事前予約が数万件

(Bmw.com)[写真拡大]
BMWの次世代車群「ノイエ・クラッセ」の第1弾となる新型電気自動車「iX3」の世界受注が、10万台の節目に近づいている。日本では2026年7月に販売が始まり、中国では8月21に長ホイールベース仕様の予約受け付けを開始。現地報道によると、展示車が各販売店に届く前から全国で数万件の事前予約が入ったという。
BMWは中国での予約開始前から世界受注が10万台に近づいていると発表していた。中国で集まったのは正式な販売台数ではなく、今後の確定や納車を待つ事前予約であり、同市場での初期関心の強さを示す動きとして捉える必要がある。
■日本では982万円から、航続距離はWLTCモードで906km
日本では「BMW iX3 50 xDrive」と「BMW iX3 50 xDrive M Sport」の2モデルを展開する。メーカー希望小売価格は、iX3 50 xDriveが982万円、M Sportが1034万円で、納車は2026年7月下旬以降に始まった。
日本仕様のiX3 50 xDriveは、国土交通省審査値のWLTCモードで一充電走行距離906km、交流電力量消費率138Wh/kmを公称する。M Sportの一充電走行距離は835kmとなる。試験条件に基づく数値であり、実際の走行距離は気象、道路状況、運転方法、空調の使用などによって変化する。
充電面では、日本仕様は最大320kWの受電に対応する。BMW Japanによると、最大出力240kWの急速充電器を使用した場合、外気温25度の条件で10%から80%まで約26分。15分間で最大約395km走行相当の電力量を充電できるとしている。最大350kWで充電できる対応設備では、15分間で最大約420km走行相当を充電できるという。
■800Vシステムと第6世代BMW eDrive
新型iX3は、BMWの量産EVとして初めて800Vアーキテクチャを採用した。高い電圧を用いることで、同じ電力をより小さな電流で扱えるため、充電時の発熱や電力損失を抑えやすくなる。
欧州仕様のiX3 50 xDriveは最大400kWの直流急速充電に対応し、10%から80%までの充電時間は約21分。10分間で最大372km分の航続距離を追加できるとBMWは説明している。欧州のWLTPモードによる航続距離は、装備などに応じて679~805kmとなる。
高電圧バッテリーには、直径46mmの円筒形セルを採用した。セルを中間モジュールにまとめず、バッテリーパックへ直接組み込む「セル・トゥ・パック」方式を用い、パック自体も車体構造の一部として設計している。
BMWによると、第6世代セルは従来の角形セルに比べてエネルギー密度を20%以上高めた。高電圧バッテリー全体のコストについても、開発発表時には従来世代から最大50%削減できるとの見通しを示している。これらはBMWが公表した設計値および目標値である。
駆動系では、後輪に巻き線界磁式同期モーター、前輪に誘導モーターを搭載する。欧州仕様のiX3 50 xDriveはシステム合計345kW、469馬力、最大トルク645Nmを発生し、0~100km/h加速は4.9秒、最高速度は210km/hとなる。
■4基の「スーパーブレイン」で車両機能を集約
新型iX3の電子・ソフトウェア構成では、BMWが「スーパーブレイン」と呼ぶ4基の高性能コンピューターが中核を担う。それぞれが、走行制御、運転・駐車支援、インフォテインメント、基本機能と快適機能を担当する。
その一つである「BMW Heart of Joy」は、駆動、ブレーキ、エネルギー回生、一部のステアリング機能を統合的に制御する。BMWによると、従来のシステムより最大10倍高速に走行情報を処理し、日常走行時の制動の大半を回生ブレーキでまかなえるように設計したという。
制御機能を一つのシステムに集約することで、加速、減速、旋回時の車両挙動を緊密に連携させる。BMWは、停止直前まで電気モーターによる回生を細かく制御することで、滑らかな停止感とエネルギー効率の両立を図ったとしている。
■ハンガリー新工場で5万台を生産
新型iX3は2025年9月5日、ドイツ・ミュンヘンで開かれたIAA Mobility 2025で世界初公開された。ハンガリーのデブレツェンに新設したBMW工場では、同年10月下旬に量産が始まった。
欧州で注文受け付けを開始してから2026年4月までに、受注は5万台を超えた。BMWによると、同年7月28日までにはデブレツェン工場で5万台目を生産し、新設工場として同社史上最速の立ち上がりになったという。
需要に対応するため、BMWは当初の計画を前倒しして2026年2月に同工場の第2シフトを導入した。7月時点では、世界受注が次の節目となる10万台に近づいていると説明している。
米国では2027年モデルのiX3 50 xDriveを6万1500ドルから販売し、2026年9月下旬の納車開始を予定する。米環境保護庁の試験に基づく航続距離は、20インチのサマータイヤ装着車で最大434マイル。標準の20インチ・オールシーズンタイヤ装着車では383マイルとなる。
■中国では長ホイールベース仕様を3モデル展開
BMWは2026年8月21日、成都モーターショーで中国向けの新型iX3の予約受け付けを開始した。中国専用に開発された長ホイールベース仕様で、「iX3 30L」「iX3 40L xDrive」「iX3 50L xDrive」の3モデルを設定する。
予約価格は30Lが26万9900元、40L xDriveが29万9900元、50L xDriveが33万9900元。BMWは予約価格を正式発売時の価格と同一にすると説明している。
車体寸法は全長4885mm、全幅1895mm、全高1635mm、ホイールベース3005mm。標準ホイールベース仕様より軸間距離を108mm延長し、主に後席空間の拡大に充てた。
最上位のiX3 50L xDriveは、中国のCLTCモードで航続距離919kmを公称する。CLTCと欧州のWLTP、日本のWLTC、米国のEPAでは試験条件が異なるため、各市場の数値をそのまま横並びにして性能を比較することはできない。
BMWは2026年6月、iX3 50L xDriveの試作車を使い、青海湖周辺の公道を無充電で800km以上走行する試験を実施した。標高約2200mの西寧を出発し、一時は標高約4000mまで上る経路を走行。BMWの発表では、平均電力消費量は100km当たり12.6kWhで、到着時のバッテリー残量は2%だった。
■中国企業と共同開発した車載AIと運転支援
中国向けモデルは、BMWパノラミックiDriveを採用し、17.9インチのセンターディスプレイ、フロントガラス下部に情報を表示するBMWパノラミック・ビジョン、3Dヘッドアップディスプレイを組み合わせる。
音声操作などを担うBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントには、Alibabaの大規模言語モデルとDeepSeekの機能を統合する。車載連携はHuawei HiCarとApple CarPlayに対応する。
運転支援システムは、中国のMomentaと共同開発した。中国の道路環境に合わせ、高速道路だけでなく都市部でのナビゲーション連動型運転支援にも対応する。これは自動運転ではなく、運転者による監視と操作を前提とする先進運転支援システムである。
■展示車なしで数万件の事前予約
中国メディアの36Krが複数の販売店関係者の話として報じたところによると、予約開始から約1週間で、主要地域の一部店舗にはそれぞれ80件近い「小定」と呼ばれる事前予約が入った。全国では数万件に達したという。
一方、全国500店以上の販売店に展示車が届くのは10月末になる見込みで、予約開始時点では常設の展示車を用意できていなかった。ある販売員は36Krに対し、「車ではなく写真を売っているようなものだ」と状況を表現した。
中国での初回納車は2026年11月に始まる予定だが、本格的な納車は2027年になると報じられている。事前予約者が長い待ち時間の間も注文を維持するかが、販売の行方を左右する。
BMWは待機期間中、予約者に1日当たり100ポイントを付与する制度を設けた。2027年1月末まで待った場合は約1万6000ポイントとなり、現地報道では約4000元相当とされる。初期の関心を、確定注文と納車につなげるための施策とみられる。
■世界受注10万台と中国予約の関係
新型iX3の世界受注は、中国での予約開始より前の2026年7月時点ですでに10万台の節目に近づいていた。したがって、中国での数万件の事前予約によって世界受注が10万台目前になったと単純に結び付けることはできない。
また、中国で報じられた「小定」は、確定済みの販売や納車台数とは性質が異なる。展示車や試乗車がそろった後に、どの程度が正式注文へ移行するかが次の焦点となる。
BMWにとって中国は厳しい市場環境が続いている。BMWグループの2026年上半期の中国販売は前年同期比で減少しており、欧州や米国とは対照的な動きとなった。中国メーカーがEVの商品力と価格競争力を高めるなか、中国向けに車体、ソフトウェア、運転支援、価格体系を作り直したiX3が販売回復につながるかが問われる。
■ノイエ・クラッセはi3へ拡大
ノイエ・クラッセの第2弾となる電動セダン「BMW i3」は、2026年8月6日にミュンヘン工場で量産を開始した。BMWは同工場を2027年から電気自動車専用工場に移行する計画だ。
新型iX3に導入した円筒形バッテリーセル、800Vシステム、BMWパノラミックiDrive、4基の高性能コンピューターなどの技術は、2027年までに計40車種の新型車や改良モデルへ順次展開される。
新型iX3は、世界受注と生産台数の双方で順調な立ち上がりを見せている。中国では展示車がない段階でも数万件の事前予約を集めたが、正式注文への移行率と納車後の販売実績が、同市場におけるノイエ・クラッセの評価を左右することになる。
元記事: BMW iX3 Closes In on 100,000 Global Orders After China Pre-Sale Frenzy
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
スポンサードリンク
