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パトリオット迎撃弾の供給減少、日本への供与要請と防衛装備移転ルールの壁
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、同国が受け取るパトリオット用迎撃ミサイルの年間供給数が、2023年の675発から2026年には264発に減る計画だと明らかにした。ロシアによる弾道ミサイル攻撃への警戒が強まるなか、ウクライナ政府は日本にも迎撃ミサイルを含む防空装備の供与を求めている。
日本政府は2026年8月24日、ウクライナへの自衛隊法上の「武器」の移転について、現時点では考えていないとの立場を示した。日本国内ではパトリオット用迎撃ミサイルがライセンス生産されているが、その生産規模や防衛装備移転制度を踏まえると、日本からウクライナへ直ちに大量供与できる状況にはない。
■ウクライナ首相が日本に迎撃ミサイルを要請
ウクライナのセルヒー・コレツキー首相は8月23日、共同通信のインタビューで、日本に対してパトリオット用迎撃ミサイルを含む防空兵器の供与を要請した。冬季の電力や暖房を支えるインフラを守るうえで、弾道ミサイルへの対処能力が重要だと訴えた。
これに対し、木原稔官房長官は24日の記者会見で、「現時点でウクライナに自衛隊法上の武器の移転を行うことは考えていない」と述べた。一方で、ロシアによる侵略を国際秩序の根幹を揺るがす行為だと改めて非難し、ウクライナ支援を継続する日本政府の基本姿勢を示した。
日本はこれまで、ウクライナに防弾チョッキ、ヘルメット、防護マスク、車両、小型ドローンなどを提供してきた。しかし、殺傷・破壊能力を持つ迎撃ミサイルの移転には、非殺傷装備とは異なる厳格な審査が必要になる。
■迎撃ミサイル供給は2023年比で約61%減る計画
ゼレンスキー大統領によると、ウクライナが受け取ったパトリオット用迎撃ミサイルは2023年が675発、2025年が364発だった。2026年に計画されている供給数はPAC-2とPAC-3を合わせて264発で、2023年比では約61%少ない。
同大統領は、冬季に向けて少なくとも300発を確保したいと説明している。ウクライナ空軍が示した必要数は360発であり、米国の備蓄から一定割合を購入することなどを関係国と協議しているという。
この数字はゼレンスキー大統領が示した受領実績と供給計画であり、製造数や各国の総備蓄量を表すものではない。また、パトリオットでは用途や能力が異なる複数種類の迎撃ミサイルが使われているため、すべてをPAC-3 MSEの供給数として扱うことはできない。
8月24日にキーウで開かれた「有志連合」の首脳会合後、ゼレンスキー大統領は、供給元や数量を明らかにしないまま、追加のパトリオット用迎撃ミサイルを受け取ったことも明らかにした。依然として追加供給が必要だとしている。
■日本の生産規模は年間約30発と報じられている
日本では、三菱重工業が米ロッキード・マーティンのライセンスに基づいてPAC-3を生産している。日本国内の生産規模については、年間約30発と報じられてきた。
したがって、日本が月30発、年間約360発を生産しているとの情報は確認できない。日本の年間生産数がそのままウクライナ空軍の必要数に匹敵するとの比較も成立しない。
日本政府は2023年の防衛装備移転ルール改定を受け、日本でライセンス生産したPAC-3をライセンス元の米国へ移転することを認めた。これは米国の在庫を補うための枠組みであり、日本からウクライナへの直接供与とは異なる。
日本製の迎撃ミサイルを米国から第三国へ移転する場合も、日本政府の事前同意など、定められた管理手続きが必要になる。日本が米国へ移転したミサイルが、そのままウクライナへ送られる仕組みではない。
■防衛装備移転ルールでは紛争国への武器移転は原則不可
日本政府は2026年4月21日、防衛装備移転三原則と運用指針を改正した。それまで完成品の移転対象を救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限定していた仕組みを見直し、装備品の性質と移転先に応じて個別に審査する制度へ移行した。
殺傷・破壊能力を持つ「武器」の移転先は、国連憲章に適合した使用や第三国移転の管理などを定める防衛装備品・技術移転協定の締結国に限られる。2026年4月時点の締結国は17カ国で、ウクライナは含まれていない。
加えて、「武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国」への武器移転は原則として認められない。一方、改正後の指針には、日本の安全保障上の必要性を考慮して特段の事情がある場合、例外的に移転を認め得る規定も設けられている。
このため、ウクライナへの直接供与を制度上検討するには、同国との防衛装備品・技術移転協定に相当する国際約束に加え、紛争当事国への移転を例外として認めるかという個別判断が必要になる。木原官房長官の発言によれば、日本政府は現時点でそのような武器移転を考えていない。
■有志連合は冬季の防空支援を協議
8月24日にキーウで開かれた有志連合の首脳会合には、英国のアンディ・バーナム首相が就任後初の外国訪問として出席した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領とドイツのフリードリヒ・メルツ首相もオンラインで共同議長を務めた。
英国政府は会合に合わせ、フランスとウクライナが長距離巡航ミサイル「SCALP」のウクライナ国内組み立てを進められるよう、製造元のMBDAが英国製部品に関する機密情報を開示することを認めたと発表した。SCALPは、英国が運用するストームシャドウと技術を共有する空中発射型巡航ミサイルである。
有志連合は、冬季に向けたウクライナの防空能力強化や、停戦が成立した場合に備えた多国籍部隊構想について協議した。会合後には追加のパトリオット用迎撃ミサイルなどが確保されたものの、数量は公表されていない。
■日本の供与を巡る焦点
ウクライナが求めているのは、ロシアの弾道ミサイル攻撃から都市や電力インフラを守るための迎撃能力である。パトリオット用迎撃ミサイルの供給減少は、冬季の防空計画に直接関わる問題となっている。
一方、日本を供給元として考える際には、国内の実際の生産規模、自衛隊が必要とする備蓄、米国企業とのライセンス契約、防衛装備移転協定、紛争当事国への移転審査をそれぞれ区別する必要がある。
日本が迎撃ミサイルを生産しているという事実だけで、ウクライナの不足分を補えるわけではない。今後の焦点は、日本政府が現在の非殺傷装備や復旧・復興支援を中心とする方針を維持するのか、防空装備を巡る協力の範囲を改めて検討するのかにある。
元記事: Zelenskyy Discloses 61% Patriot Supply Decline; Japan Builds 360 Interceptors Yearly, Ships None
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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