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サムスンSDI、サムスンディスプレイ株売却で約5100億円調達 米国ESSなど成長投資へ
韓国の電池大手サムスンSDIは、保有するサムスンディスプレイ株式の一部を同社に約4兆4500億ウォン(約32億1000万ドル、約5100億円)で売却する。売却目的は「将来の成長エンジンを確保するための投資財源の調達」としているが、具体的な資金配分は公表していない。
サムスンSDIは米国でエネルギー貯蔵システム(ESS)用電池の生産体制を拡充しているほか、AIデータセンター向けの無停電電源装置(UPS)やバッテリーバックアップユニット(BBU)用電池、全固体電池などの開発を進めている。今回の資産売却により、新株発行や追加借り入れに頼らず、こうした成長分野への投資余力を高める。
■サムスンディスプレイ株の持分は15.22%から10.22%へ
サムスンSDIは、保有するサムスンディスプレイ株式1308万8235株を、1株当たり34万ウォンで売却する。売却額は約4兆4499億ウォンで、決済は2026年8月27日の予定だ。サムスンディスプレイが自己株式として取得する。
売却後、サムスンSDIの保有株式は2676万8419株となり、持分比率は15.22%から10.22%へ低下する。買い付けの進行状況によって、最終的な株数や取引額が変わる可能性がある。
サムスンSDIは売却後もサムスンディスプレイの株式を保有し続ける。今回発表されたのは保有資産の一部売却と投資財源の確保であり、両社間の事業関係を見直す計画は示されていない。
■米国ESSとAIデータセンター関連需要が成長分野に
サムスンSDIは2026年第2四半期に、売上高3兆7700億ウォン、営業利益2038億ウォンを計上した。営業損益は2024年第3四半期以来、7四半期ぶりに黒字へ転じた。
業績改善には、UPS、BBU、電動工具、欧州向けEV電池など高付加価値製品の販売増加に加え、米国での生産拡大に伴う税額控除や関税払い戻しの効果が寄与した。同社はAIデータセンター関連を含む高出力電池と、米国のESS市場を今後の成長領域に位置付けている。
AIサーバーを収容するデータセンターでは、停電時や電力需要の急変時にも安定して電力を供給する必要がある。UPSやBBUは短時間の電力変動や停電に対応し、系統用ESSは電力を蓄えて必要な時間帯に供給する。用途は異なるが、いずれも電力の安定性を支えるという共通点がある。
サムスンSDIによると、同社が獲得した米国向けESS案件は、2029年までの生産能力の相当部分を占める。同社は受注可能性の高い案件を含めれば、2028年以降に需要が生産能力を上回ると見込み、追加能力の確保を検討している。
■インディアナ州の2拠点でESS生産を拡大
サムスンSDIは2026年8月11日、米ゼネラル・モーターズが保有していた合弁会社Synergy Cellsの持分49.99%を取得した。これにより、インディアナ州ニューカーライルで建設中の電池工場は、サムスンSDIにとって北米初の単独運営生産拠点となる。
同社は完成後、まず米国市場向けESS電池の生産に工場を活用する方針だ。将来的には、GMと共同開発する高エネルギー密度・急速充電対応の角形電池を生産する可能性も示している。具体的な投資計画や製品構成は確定しておらず、今後の決定に応じて開示する予定だ。
サムスンSDIは同じインディアナ州のココモでも、ステランティスとの合弁会社StarPlus Energyの一部ラインをESS用へ転換している。2026年第4四半期から、既存の高ニッケル系NCA電池に加えて、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の量産を始める計画である。
■LFPと非中国系サプライチェーンを強化
LFP電池は、ニッケルやコバルトを使用する一部のリチウムイオン電池と比べ、一般に重量当たりのエネルギー密度では不利な一方、長寿命や熱安定性、材料コストの面で定置用蓄電に適した特性を持つ。重量や搭載空間への制約が自動車ほど厳しくないESSでは、繰り返し充放電した際の耐久性や安全性、導入後を含むコストが重要になる。
サムスンSDIは、韓国の電池材料メーカーL&FからLFP用正極材を調達する中長期契約を締結している。契約額は2027年から3年間で約1兆6000億ウォンで、供給期間をさらに3年間延長できる条項も含む。正極材はStarPlus Energyで生産するESS用LFP電池に使われる予定だ。
米国では、一定の外国企業との資本・契約関係や、それらの企業に由来する設備・部材の比率によって、蓄電設備や電池製造に関する連邦税額控除が制限される制度が導入されている。個々のプロジェクトが税額控除を受けられるかどうかは、事業者の関係性や調達品の構成、建設開始時期などに基づいて判断される。
このため、特定地域への依存を抑えたサプライチェーンと米国内の生産能力は、ESS事業者が調達先を選ぶ際の重要な要素となる。サムスンSDIは、自社を北米で角形ESS電池を供給する非中国系メーカーと位置付け、現地生産と材料調達の多様化を進めている。
■ロボット向け全固体電池は2027年後半の量産を目標
サムスンSDIはESSに加え、ヒューマノイドロボットなどの「フィジカルAI」用途を想定した全固体電池を開発している。2026年3月に韓国で開かれたInterBattery 2026では、ロボット向けに開発中のパウチ型全固体電池のサンプルを公開した。
全固体電池は、従来のリチウムイオン電池で使われる液体電解質を固体電解質に置き換える。高いエネルギー密度や安全性を目指せることから、電池の搭載空間が限られ、動作時に大きな出力を必要とするロボットへの応用が検討されている。
同社は全固体電池「SolidStack」について、2027年後半の量産開始を目標としている。この日程は同社が掲げる開発目標であり、量産規模や採用顧客、最初の商用製品は公表されていない。
■株式売却で成長投資の選択肢を広げる
約4兆4500億ウォンの株式売却代金は、サムスンSDIが進める複数の設備投資や研究開発を支える資金となり得る。ただし、ニューカーライル工場、LFP生産、全固体電池などへの具体的な配分は発表されていない。
サムスンSDIは、米国のESS需要への対応と、AIデータセンター向け高出力電池、ロボット向け全固体電池などの開発を並行して進めている。今回の取引は、そのすべての成果を保証するものではないが、大規模投資を進めるための財務上の選択肢を広げる。
■注目ポイントQ&A
●サムスンSDIはなぜサムスンディスプレイ株を売却するのですか?
同社は、将来の成長エンジンを確保するための投資財源を調達することが目的だと説明しています。保有資産を現金化するため、新株発行による株式の希薄化や、追加借り入れを伴わない点も特徴です。ただし、資金をどの事業へいくら配分するかは公表されていません。
●売却後もサムスンディスプレイとの資本関係は残りますか?
残ります。サムスンSDIは売却後も2676万8419株、持分比率10.22%を保有する予定です。今回の発表では、両社の事業関係を変更する計画は示されていません。
●ニューカーライル工場では何を生産する予定ですか?
サムスンSDIは、完成後にまずESS用電池を生産する方針を示しています。将来はGMと共同開発する次世代角形EV電池を生産する可能性もありますが、具体的な設備投資計画や製品構成はまだ確定していません。
●全固体電池はいつ量産されますか?
サムスンSDIは2027年後半の量産開始を目標に掲げています。ヒューマノイドロボットなどのフィジカルAI用途を想定したパウチ型サンプルを公開していますが、採用顧客や商用製品の発売時期は公表されていません。
元記事: Samsung SDI Raises $3.2B From Display Sale to Power AI Battery Ambitions
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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