ロケット・ラボ、米宇宙軍の対妨害通信衛星に「Lightning-GEO」を供給 ビアサットが採用

2026年8月18日 15:36

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記事提供元:Tech Times

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ロケット・ラボ(Rocket Lab)は、米宇宙軍の対妨害衛星通信計画「Protected Tactical SATCOM-Global(PTS-G)」に向け、ビアサット(Viasat)が開発する衛星のバスを製造する。ビアサットが米宇宙軍との主契約を担い、ロケット・ラボは静止軌道向けに構成した宇宙機プラットフォーム「Lightning-GEO」を供給する。

ロケット・ラボは2026年5月、静止軌道上の物体を監視する宇宙領域把握ミッションでも、衛星2基の設計、製造、統合、運用を担う9,000万ドルの主契約を獲得した。今回のPTS-Gでは衛星バスの供給元となり、静止軌道分野で主契約者とプラットフォーム供給者という異なる役割を手掛ける。

■ビアサットが主契約、ロケット・ラボが衛星バスを供給

ビアサットは2026年5月22日付で、PTS-Gの最初の製造段階「Swarm 1」における主契約を米宇宙軍から受注した。同社が衛星システムの製造、統合、試験、打ち上げ、軌道上での確認を担当し、ロケット・ラボがその中核となる衛星バスを製造する。ロケット・ラボとの契約額は公表されていない。

衛星バスは、ペイロードを宇宙で機能させるための電力、推進、姿勢制御、熱制御、通信、ソフトウェアなどをまとめた基盤部分である。今回の衛星にはビアサットが開発するXバンドと軍用Kaバンドの通信ペイロードが搭載される。

ビアサットとインテルサット・ジェネラル・コミュニケーションズ(Intelsat General Communications)の2社が受注したSwarm 1の契約総額は4億3,770万ドルで、1ドル=159円で換算すると約696億円となる。2社はそれぞれ1基を製造し、PTS-G最初の運用衛星を構成する。

PTS-G全体には、複数の採択企業を対象とする上限40億ドルのIDIQ契約が設定されている。IDIQは、契約期間中に必要に応じて個別の発注を行う枠組みであり、上限額がそのまま発注額を意味するわけではない。

■静止軌道向けに構成した「Lightning-GEO」

ロケット・ラボが供給するLightning-GEOは、同社の宇宙機プラットフォーム「Lightning」を静止軌道ミッション向けに構成したものだ。静止軌道は赤道上空約3万5,786キロにあり、地球の自転と同じ周期で周回するため、地上からはほぼ同じ位置にとどまって見える。

低軌道と静止軌道では、宇宙機が受ける放射線、熱、推進、軌道保持の条件が異なる。静止軌道付近では外帯放射線帯の高エネルギー電子などが宇宙機に影響するため、長期間の運用を想定した部品選定や放射線対策が重要になる。

静止軌道衛星は、月や太陽の重力、地球の重力場の偏り、太陽放射圧などによって割り当てられた位置から徐々にずれる。このため、運用期間を通じて東西方向や南北方向の軌道保持マヌーバを行い、所定の範囲内に位置を維持する。

ロケット・ラボによると、Lightning-GEOには高出力の電力アーキテクチャを採用する。追跡・テレメトリ・コマンド用無線、太陽光発電システム、スタートラッカー、リアクションホイール、フライトソフトウェア、地上ソフトウェアなどには、同社が垂直統合してきたコンポーネントやサブシステムを使用する。

同社は、共通化した部品と内製技術を用いることで、宇宙機を迅速かつ安定的に生産できる点を強みとしている。一方、今回発表されたのは衛星バス供給の枠組みであり、契約金額や詳細な性能、製造スケジュールは開示されていない。

■中継型システムで既存端末との互換性を確保

PTS-Gは、衛星上で通信内容を複雑に処理する方式ではなく、受信した信号を増幅して再送信するトランスポンド型のシステムを採用する。一般に「ベントパイプ型」とも呼ばれる中継方式で、既存の軍用衛星通信システムとの後方互換性を確保しながら、対妨害能力を持つProtected Tactical Waveformなどを利用する。

衛星には軍用KaバンドとXバンドの専用ペイロードが搭載される。異なる周波数帯に対応することで、既存の広帯域通信利用者を支えつつ、妨害によって通信が制限される環境でも接続性と運用上の選択肢を確保する狙いがある。

PTS-Gは、商用を基礎とする比較的小型の静止軌道衛星を複数導入し、保護された衛星通信能力を段階的に拡張する計画だ。少数の大型衛星に機能を集中させるのではなく、複数の衛星と企業を組み合わせることで、競争を維持しながら生産速度とシステム全体の強靱性を高めようとしている。

米宇宙軍は最初のPTS-G衛星を2028年に打ち上げ、2029年に初期運用能力へ移行する計画を示している。具体的な日程は今後の製造、試験、打ち上げ準備によって変わる可能性がある。

■2社の主契約者に異なる衛星バス企業が参加

Swarm 1ではビアサットに加え、インテルサット・ジェネラル・コミュニケーションズも主契約者に選ばれた。同社の衛星には、米カリフォルニア州の宇宙機メーカーK2スペース(K2 Space)が衛星バスを供給する。

これにより、ビアサットとロケット・ラボ、インテルサット・ジェネラルとK2スペースという2つのチームが、それぞれPTS-G衛星を製造する。米宇宙軍は、商用を基礎とする設計を軍事通信の要件に適合させ、複数企業を競わせる調達方式によって、コストと技術上のリスクを抑えながら能力を導入する方針を掲げている。

PTS-GのIDIQ契約では、2025年にビアサット、インテルサット・ジェネラル、ボーイング、ノースロップ・グラマン、Astranis Space Technologiesの5社が初期設計の成熟化を担う企業として選ばれた。その後の競争を経て、最初の製造契約がビアサットとインテルサット・ジェネラルに発注された。

■ロケット・ラボがGEO分野で2つの立場を確保

ロケット・ラボは2026年5月、米宇宙軍の宇宙領域把握用ペイロード「Heimdall」を搭載する静止軌道衛星2基について、9,000万ドル(約143億円、1ドル=159円換算)の契約を獲得した。

この契約では、ロケット・ラボが主契約者として宇宙機の設計と製造、光学ペイロードの統合、政府が用意するロケットへの打ち上げ統合、軌道投入後の運用を担う。これに対してPTS-Gでは、ビアサットがシステム全体と政府に対する責任を担い、ロケット・ラボが衛星バスを供給する。

主契約ではミッション全体を統括できる一方、バス供給では共通化した宇宙機プラットフォームを異なる顧客やペイロードに展開しやすい。今回の選定は、ロケット・ラボが静止軌道分野で、ミッション全体を請け負う事業と宇宙機基盤を提供する事業の双方を進めていることを示す。

ロケット・ラボの創業者兼CEOであるピーター・ベック氏は、設計から製造への移行が同プログラムと国家安全保障宇宙分野における同社の役割拡大にとって重要な節目になるとの認識を示した。

ビアサット・ガバメントのプレジデントを務めるクレイグ・ミラー氏も、ビアサットの通信ペイロード技術とロケット・ラボの宇宙機プラットフォームを組み合わせ、通信環境が争われる地域で重要な通信を支える、機敏で強靱な静止軌道アーキテクチャーを前進させるとしている。

■PTS-Gが目指す対妨害衛星通信

PTS-Gは、敵対者による電波妨害などによって衛星通信の利用が難しくなる環境でも、陸海空の部隊に通信手段を提供することを目的とする。米軍や同盟国の利用者が既存の端末を活用できるようにしながら、対妨害波形に対応した通信能力を広げていく。

Swarm 1は、その最初の運用衛星を製造する段階に当たる。ロケット・ラボは宇宙機の電力、推進、姿勢制御などを担う基盤を構築し、ビアサットは通信ペイロードとの統合やシステム全体の提供を主導する。

今回の契約は、ロケット・ラボにとって静止軌道用プラットフォームの製造案件を増やす機会となる。同時に米宇宙軍にとっては、商用宇宙企業の設計と生産能力を取り込み、複数の供給元を維持しながら対妨害通信網を構築する取り組みの一部となる。

■注目ポイントQ&A

●Lightning-GEOとは何ですか?

ロケット・ラボのLightning宇宙機プラットフォームを、静止軌道の放射線、熱、推進、軌道保持などの条件に合わせて構成した衛星バスです。電力、姿勢制御、通信、ソフトウェアなど、ペイロードの運用に必要な基盤機能を提供します。

●PTS-Gとはどのような計画ですか?

米宇宙軍が進める保護戦術衛星通信計画です。商用を基礎とする比較的小型の静止軌道衛星を複数導入し、Xバンドと軍用Kaバンドによる世界規模の通信、既存端末との互換性、対妨害能力を提供することを目指しています。

●ロケット・ラボとビアサットは何を担当しますか?

ビアサットが米宇宙軍との主契約者として、衛星システムの製造、統合、試験、打ち上げ、軌道上での確認を主導します。ロケット・ラボは、ビアサットの通信ペイロードを搭載するLightning-GEO衛星バスを製造します。

●もう一方のPTS-G衛星はどの企業が製造しますか?

インテルサット・ジェネラル・コミュニケーションズが主契約者となり、K2スペースが衛星バスを供給します。Swarm 1では、2つの企業チームがそれぞれ1基を製造する計画です。

●PTS-G衛星はいつ運用を始める予定ですか?

米宇宙軍は最初の打ち上げを2028年、初期運用能力への移行を2029年に計画しています。日程は今後の製造や試験、打ち上げ準備によって変更される可能性があります。

元記事: Rocket Lab Now Prime and Bus Supplier in GEO: Viasat Selects Lightning-GEO for Anti-Jam Satellite

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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