【決算分析】サムスン、中国向け売上高が米国を約127億ドル上回る―西安工場は米輸出許可の更新が焦点

2026年8月16日 20:29

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サムスン電子の2026年上半期における中国向け売上高は88兆6004億ウォンとなり、米国向けを約127億ドル上回った。ただし、この金額は半導体だけでなくスマートフォンや家電なども含む連結ベースの地域別売上高であり、半導体の輸出額や出荷数量を示すものではない。

同社ではAI向けメモリの需要を背景に半導体事業が急拡大している。一方、中国・西安のNANDフラッシュ工場では、米国製の半導体製造装置を輸入するための2026年分の許可が年末までとなっており、2027年以降の更新が焦点となる。

■中国向け売上高が前年同期比3倍に急増、米国向けを逆転

サムスン電子が2026年8月14日に提出した半期報告書によると、2026年上半期の中国向け売上高は前年同期比207.7%増の88兆6004億ウォン(約625億ドル/約9兆9375億円、1ドル=159円換算)に達した。米国向けは70兆6466億ウォン(約498億ドル/約7兆9182億円)で、2025年上半期の33兆4759億ウォンから倍増した。中国向けは米国向けを約127億ドル(約2兆193億円)上回った。

これらは製品別の半導体輸出統計ではなく、デバイスソリューション(DS)部門とデバイスエクスペリエンス(DX)部門を含む連結ベースの地域別売上高である。このため、中国向けと米国向けの差を、HBMやNANDフラッシュなど特定製品の出荷額の差として読み取ることはできない。

それでも、世界最大級のメモリメーカーであるサムスンにとって、米中両市場の重要性が同時に高まっていることは明確だ。AIインフラ投資を追い風にDS部門が急成長する一方、中国に置く製造拠点では米国の輸出管理政策が事業上の不確定要素となっている。

■HBMが牽引する高い利益率と社内事業への影響

サムスンの業績拡大を支えているのが、広帯域メモリ(HBM)を中心とするAI向けメモリ需要である。HBMは複数のDRAMダイを垂直に積層し、シリコン貫通電極(TSV)で接続することで、プロセッサとの間で大量のデータを高速に転送する技術だ。

2026年2月に量産と商用出荷を開始した第6世代「HBM4」は、前世代HBM3Eの1024ビットから倍増した2048ビットのインターフェースを備える。サムスンの製品はピン当たり11.7Gbpsで安定動作し、最大13Gbps、スタック当たり最大毎秒3.3テラバイトの帯域幅を実現する。

エヌビディアのRubin GPUは288GBのHBM4を搭載し、メモリ帯域幅は毎秒22テラバイトに達する。HBMは大規模AIの学習や推論で演算装置へ大量のデータを供給する役割を担い、AIアクセラレーターの性能を引き出すうえで重要な部品となっている。

サムスンのDS部門は2026年第2四半期に売上高127兆5000億ウォン、営業利益89兆2000億ウォンを計上し、営業利益率は約70%となった。上半期ではDS部門の売上高が全社売上高305兆4000億ウォンの68.5%を占め、営業利益は第1四半期の53兆7000億ウォンから第2四半期の89兆2000億ウォンへ拡大した。

一方、メモリをはじめとする部品価格の上昇は、スマートフォンや家電を扱うDX部門の収益を圧迫している。第2四半期には、スマートフォンやタブレット、ネットワーク機器を含むMX・ネットワーク事業が7000億ウォンの営業赤字となった。サムスンは公式決算で、モバイル事業の利益減少要因として部品価格など業界全体のコスト負担増を挙げている。

■中国向け売上高が米国を上回った背景

地域別売上高にはサムスンの複数事業が含まれる。中国では半導体のほか、スマートフォン、ディスプレイ関連製品、家電などを展開しており、米国でも半導体やモバイル端末、テレビ、家電など幅広い事業を手掛けている。

このため、中国向け売上高の前年同期比207.7%増について、半導体の数量増加や、輸出規制を見越した中国企業の先行調達だけで説明することはできない。半期報告書の地域別数値からは、HBM、DRAM、NANDフラッシュ、スマートフォンなど個別製品の寄与額や出荷数量は分からない。

ただし、2026年上半期にはメモリ価格の上昇とAIサーバー向け需要がDS部門の業績を押し上げた。サムスンも第2四半期決算で、サーバー製品を中心とする需要と業界全体の価格上昇がメモリ事業の最高業績に寄与したと説明している。

■西安および無錫工場に関わる米輸出許可

サムスンの中国・西安工場は、同社の主要なNANDフラッシュ製造拠点である。同工場が米国の輸出管理対象となる半導体製造装置を受け取るには、米政府の許可が必要となる。

米商務省産業安全保障局(BIS)は2025年、サムスンやSKハイニックスの中国法人を「検証済みエンドユーザー(VEU)」の対象から除外した。VEUは、一定の条件を満たす拠点について、対象品目の輸出を個別申請なしで認める仕組みだった。

米政府はその後、サムスンとSKハイニックスに対し、2026年中の中国工場への製造装置輸出を認める年次許可を付与した。許可は既存設備の運用や保守を支えることを目的とし、大規模な能力増強や先端技術への更新を無制限に認めるものではない。

同様の仕組みは、SKハイニックスの無錫DRAM工場と大連NAND工場にも関係する。現行の許可は2026年分を対象としており、2027年以降も米国製装置や部品を継続的に輸入できるかは、次回の許可判断に左右される。

許可が更新されなかった場合でも、既存設備が直ちに停止するわけではない。ただし、米国の輸出管理対象となる交換部品や新しい製造装置の導入が難しくなれば、中長期的に保守や生産効率、設備更新へ影響する可能性がある。

■次世代への巨額投資とサプライチェーンの行方

サムスンは2026年上半期、研究開発費として27兆3600億ウォン(約193億ドル/約3兆687億円)、設備投資として約28兆ウォン(約198億ドル/約3兆1482億円)を投じた。合計は約55兆3600億ウォンとなる。

この投資はHBMを含む次世代半導体の開発と生産体制を支えている。サムスンは2026年5月29日、業界初をうたう12層構成の「HBM4E」サンプルを主要顧客へ出荷した。

HBM4Eは第6世代10ナノメートル級DRAMプロセスと4ナノメートルのロジックベースダイを採用する。12層製品の容量は48GBで、ピン当たり14Gbpsで安定動作し、最大16Gbps、スタック当たり最大毎秒3.6テラバイトの帯域幅を提供する。

米中向けを合計したサムスンの上半期売上高は約1123億ドル(約17兆8557億円)となった。ただし、この金額は半導体だけでなく同社の複数事業を含む。AIメモリ市場の成長が半導体部門を押し上げるなか、米中市場への依存と輸出管理政策への対応が、今後の事業運営を左右する要素となる。

■注目ポイントQ&A

●サムスンの中国向け売上高が米国向けを上回ったのはなぜですか?

公表された数値は、半導体だけでなくスマートフォンや家電なども含む地域別売上高です。製品別の内訳が開示されていないため、HBMやNANDフラッシュなど特定製品の出荷増だけを理由として断定することはできません。

●中国・西安工場に対する米国の輸出許可とは何ですか?

米国の輸出管理対象となる半導体製造装置を、中国の製造拠点へ輸出するための許可です。サムスンなどの中国法人がVEUの対象から外れたため、2026年は年次許可に基づいて既存工場の運用や保守に必要な装置を受け入れています。

●なぜAI半導体ではHBMが重要なのですか?

HBMは複数のDRAMダイを垂直に積層し、広いインターフェースを通じて大量のデータを高速に転送できます。AIアクセラレーターは多数の演算器へ継続的にデータを供給する必要があるため、メモリ帯域幅が処理性能を左右する重要な要素となります。

●メモリ価格の高騰は一般の消費者にどのような影響を与えますか?

メモリを搭載するスマートフォンやPCなどの製造コストを押し上げる可能性があります。ただし、最終製品の価格はメモリ以外の部品価格、為替、販売競争、メーカーの価格戦略などにも左右されるため、メモリ価格の上昇分がそのまま転嫁されるとは限りません。

元記事: Samsung Shipped $12.7B More Chips to China Than US in H1; Xi’an Fab Annual US License Deadline Looms

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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