相場展望6月11日号 米国株: 超大型IPOの上場と金利高のなか、米国株が上昇波に戻るか? 日本株: 超大型IPO上場で、日本株売り⇒米国に資金流出、日経平均?

2026年6月11日 16:43

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)6/08、NYダウ▲80ドル安、50,786ドル
 2)6/09、NYダウ+86ドル高、50,872ドル
 3)6/10、NYダウ▲953ドル安、49,918ドル

【前回は】相場展望6月8日号 米国株: 5月雇用統計で就業者数増⇒金利引上げ観測⇒株価大幅下落 日本株: 米国株下落を受け、AI・半導体関連株相場の動向に注意

●2.米国株: 超大型IPOの上場と金利高のなか、米国株がすぐに上昇トレンドに戻るか?不透明

 1)イラン戦争が悪化し、ホルムズ海峡閉鎖の長期化が招く米国経済後退と物価高
  ・イラン情勢が悪化
     ↓
   原油高
     ↓
   米国消費者物価指数(CPI)上昇
     ↓
   インフレ加速
     ↓
   FRBによる金利引上げ
     ↓
   米国経済後退
   と悪いスパイラルに陥っていく傾向が強まっている。

 2)人工知能(AI)めぐる楽観が再燃し6/8上昇⇒6/9~10は売り直し
  ・急騰していた人工知能(AI)は高値警戒から、一服。
  ・6/5の大幅安に対し、6/8は売られ過ぎとの見方から買い直す動きが出た。
   ただ、6/9~10は再度、ハイテク株を中心に売り直された。

 3)金利は上昇
  ・米国10年物金利の推移
     2/27  3.938%  イラン攻撃直前
     6/10 4.573
    ・イランン攻撃前の2/27から、金利は+16.1%上昇。
  ・金利上昇は、株式、特に高値のハイテク株にとって割高感が意識される。

 4)物価上昇(インフレ)
  ・米国消費者物価指数(CPI)は目標+2%を超えて上昇加速中
     3月CPI   +3.5%増(前年同月比)
     4月CPI   +3.8
     5月CPI   +4.2
  ・米国連邦準備理事会(FRB)の目標+2%には及ばず、上昇が加速。

 5)年内にFRBは金利引上げを予想

 6)米国株式の相対的な割高感は増す

 7)超大型IPOの上場と金利高のなか、米国株がすぐに上昇トレンドに戻るか?不透明
  1. 懸念材料
   (1)金利上昇による割高感
   (2)超大型の新規株式公開(IPO)を控え、買い資金調達のため既存株式が売られる展開が予想される
    ・オープンAI ・・企業評価額137兆円・8,520億ドル
    ・スペースX ・・125兆円・7,800億ドル(モーニングスター評価)
            または、284兆円・1兆7,700億ドル(直前の資金調達時)
    ・アンソロピック・・155兆円・9,650億ドル
   (3)超大型AIのIPOで、関連銘柄を売って乗り換える動き⇒売られNYダウは?
    ・3社のIPOの際には、現有株式を売って乗り換える向きがある。特に、同業関連企業の株式は売られやすいため、株価の変調は避けられと見る。

  2. ただし、多くのアナリストは、上場直後の初期段階でこれらの銘柄に手を出すのは極めてリスクが高いと警鐘を鳴らす
   (1)上場前に期待値が高かった分、初値で売り込まれる可能性が高い。
   (2)IPOサイドも、煽ってきた面もある。
   (3)オープンAIとアンソロピックは、IPO申請書類が一般には公開されていない。
   それだけに、不透明感が拭えない。
       

●3.米国5月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.2%高、予想+4.2%高・4月+3.8%高(フィスコ)

●4.連邦地裁、技能ビザ「H-1B」費の総額に「無効判決」、トランプ政権に逆風(共同通信)

 1)強硬な移民対策を掲げるトランプ大統領は昨年9月に、手数料を従来の20倍以上となる10万ドル(約1,600万円)に引上げる布告に署名した。専門技能を持つ外国人ド労働者向け「Hー1B」ビザで就労しているのは50万人。

 2)連邦地裁は手数料を一種の税金とみなし、トランプ氏には議会からの委任なしに課税する権限はないと指摘した。トランプ政権は控訴する見通し。

●5.人工知能(AI)株下落は投資家への「警鐘」、集中投資のリスク浮き彫り=ウエルズ・ファーゴ

 1)最近の株高を支えた「熱狂」は終わった可能性高い=クウォン氏(ブルームバーグ)
 2)ポジション調整が主な背景、持続的な下げより上昇ペースの鈍化示唆。

●6.米国株の急落は、一過性と見るのは早計と警告(ブルームバーグ)

 1)モメンタム株への資金集中が過去最高のため、巻き戻しリスクが高まる。ゴールドマンサックス、バークレイズが警告。
 2)短期投機筋の売りが、下押し圧力を強める恐れ。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)6/08、上海総合▲68安、3,959
 2)6/09、上海総合+50高、4,010
 3)6/10、上海総合▲16安、3,993

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)6/08、日経平均▲2,563円安、64,024円
 2)6/09、日経平均+1,392円高、65,416円
 3)6/10、日経平均▲1,237円安、64,179円

●2.日本株: 米国の超大型IPO上場で、日本株売り⇒米国株に資金流出、日経平均下落の懸念

 1)日経平均は割高感意識が高い
  ・イラン攻撃前からの日経平均とNYダウの推移
         日経平均    NYダウ
    2/27   58,850円    48,977ドル
    6/10   64,179     49,918
    上昇幅  +5,329円高   +941ドル高
    上昇率  +9.05%高    +1.92%高

  ・日経平均の上げ幅の大きさが目立つ。それだけに、日経平均の「危うさ」がうかがえる水準にある。

 2)主力株の一部は既に3月に天井を打って下落
  ・主要銘柄の株価の状況
       トヨタ    三菱重工     住友鉱山
       7203      7011       5713
   3/02 3,944円  3/02 5,195円  3/02 13,050
   6/10 2,814   6/10 3,578   6/10  7,844
   下落率▲28.65%    ▲31.1%    ▲39.8%

  ・人工知能(AI)・半導体関連株の急伸で、目を奪われているが、全体から見ると心もとない状況にある。

 3)米国利上げ観測が重しとなる懸念

 4)6/8の日経平均は▲3,100円を超える場面があったが、終値は▲2,563円安と25日移動平均線6万3,574円を+0.70%上回って終えた。
  ・25日移動平均線を上回って終えたことが支えとなったため、翌6/9の日経平均は+1,392円高と切り返すことができた。
  ・6/10に日経平均は米国株安を背景に、再び売られ▲1,237円安と下落して終えた。

 5)日経平均寄与上位
  (1)6/08、日経平均▲2,563円安、寄与上位5銘柄▲1,523円安、占有率59.42%
   ・寄与上位     寄与額    下落率    株価下落幅
    東京エレクトロン ▲446円安  ▲7.45%安 ▲4,430円安
    アドバンテスト  ▲369    ▲5.72   ▲1,530    
    ソフトバンクG   ▲362    ▲6.06   ▲450
    TDK       ▲199    ▲9.63   ▲396
    キオクシア    ▲147    ▲8.01   ▲6,260
     合計      ▲1,523

  (2)6/09、日経平均+1,392円高、寄与上位5銘柄+1,068円高、占有率76.72%
   ・寄与上位     寄与額
    東京エレクトロン +493円高
    アドバンテスト  +264
    キオクシア    +107
    イビデン     +103
    太陽誘電     +101
     合計      +1,068円高

   ・東京エレクトロンとアドバンテストの2銘柄で+757円押し上げた。

  (3)6/10、日経平均▲1,237円安、寄与上位5銘柄▲1,058円安、占有率85.52%
   ・寄与上位     寄与額    上昇率    株価上昇幅
    ソフトバンクG  ▲472円高  ▲8.33%安  ▲587円安
    アドバンテスト  ▲264    ▲4.16    ▲1,095 
    キオクシア    ▲140    ▲7.78    ▲5,950
    TDK       ▲98     ▲5.08    ▲195
    村田製作所    ▲84    ▲10.75    ▲1,042
     合計      ▲ 1,058

   ・上昇寄与は、東京エレクトロン+192円高、ファーストリテイリ+86円高。

 6)米国の超大型IPOの上場で、日本株売り⇒米国株に資金流出、日経平均下落の懸念
  (1)東京証券取引所の時価総額1,370兆円規模しかない
   ・超大型3IPOの評価額は、東京株式市場の時価総額の約30~41%相当する。

  (2)このため、3社のIPOの際には現有株式を売って乗り換える向きがある。
   ・特に、同業関連企業の株式は売られやすいため、株価の変調は避けられと見る。

  (3)巨大IPO3銘柄の上場はNY市場のため、東京証券市場から巨額資金流出を予想
   ・値がさ株が売られると見込まれ⇒米国株市場に資金流出するため、東京株式市場に対する影響は大きいと思われる。

 7)海外短期投機筋は売り転換した可能性があるため、6/12の株価先物清算日以降注意
  ・海外短期投機筋は株価先物を使って、日経平均寄与度の高い現物株と抱き合わせて、日経平均を強力に押し上げてきた。

  ・しかし、海外短期投機筋は5月最終週から、株価先物を売り始めた。

  ・株価先物清算(SQ)は6/12朝で確定するため、その後、海外短期投機筋の売りが積極化する可能性がある。SQまでは、海外短期投機筋は日経平均が下がっても買い支えする。SQ通過後となる、6/12朝以降、海外短期投機筋は売り転換してもおかしくない。

  ・日経平均の買い筋は、海外投資家と一部の個人投資家、企業の自己株式取得しかない。年金基金・都市銀行・証券自己部門などは既に売り越しを継続している。このため、海外投資家が売りに転換すると、積極的な買い手がいないため急落しかない。

  ・6/11の日経平均の動きで、「日本株は買い直される」と見るのはリスクがあると思われる。

●3.原油の代替調達、7月は100%の見込み、米国産など確保(テレビ朝日)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7270 SUBARU     業績絶好調
 ・7309 シマノ     業績好調
 ・8316 三井住友FG   金利引上げで利ザヤ幅拡大期待

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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