関連記事
相場展望8月28日号 米国株: トランプ氏のFRB圧力は、金利上昇と財政赤字増大につながる 日本株: 海外短期筋は、朝元気⇒後場買いが引っ込むという流れに変化
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)8/26、NYダウ+135ドル高、45,418ドル
2)8/27、NYダウ+147ドル高、45,565ドル
【前回は】相場展望8月26日号 米国株: FRB議長の利下げ示唆あるも、利下げは時期尚早 日本株: (1) FRB利下げと、(2) エヌビディア決算には「用心深く」対処を
●2.米国株:トランプ氏のFRB金利低下圧力は、金利上昇と財政赤字増大につながる
1)クックFRB理事の解任問題は、(1)FRBの独立性 (2)米国の制度リスクを高める
・クック理事は、住宅取得に問題があったという理由で、トランプ氏が解任した。クック理事は「トランプ氏に権限はない」「辞めない」と反発した。なお、クック理事はパウエル議長の側近である。トランプ氏がパウエル議長に「利下げ要求」しているが、自分の主張である利下げが受け入れられないことに業を煮やしている。クック理事が辞めれば、利下げのトランプ派から新理事を送り込む考えだ。そうなった場合、FRB内では「トランプ氏寄り理事」が4:3で多数派となる。
・金融政策を決定する会合の米国連邦公開市場委員会(FOMC)でもトランプ派が増え、今までのようなパウエル議長主導の「慎重派」は苦しい立場になりそうだ。
・クックFRB理事の解任騒動で、FRBの独立性への懸念が高まっているため、一段落するまで米国株の上値は限定的な動きとなる可能性がある。
2)トランプ氏の思惑通りに金利低下するか? 米国債券市場で金利上昇の可能性
・8/26~27の金利状況
・2年国債利回りは、低下
10年国債利回りは、やや低下
30年国債利回りは、やや上昇
・金利の推移
2年 10年 差異
8/25 3.696% 4.254 ▲0.558%
8/27 3.609 4.234 ▲0.625
差 ▲0.087 ▲0.020 ▲0.067
・2年物金利は▲0.87%低下したが、10年物金利は2年物の23%しか反応せず金利低下は▲0.020%にしか過ぎない。
・30年国債利回りは、2年物金利とは逆に上昇している。
・トランプ大統領がFRBに利下げ要求をしているのは、膨張する財政赤字を減らしたいためである。「財政赤字を大幅に改善した大統領」として名声を刻みたいのだろう。ところが、米国債の利回りはFRBではなく「債券市場が決める」ことを忘れている。FRBが利下げをすると、短期国債利回りは「低下」方向に反応する。しかし、国債発行期間が長くなると、感応度は低くなる。国債を取り巻く環境の先行き見通しの影響を受けやすくなる。10年国債の低下幅が小さく、30年国債の利回りはむしろ上昇している。国債市場は、トランプ政策で「金利は上昇する」と読んでいる。
3)トランプ氏のFRB圧力の結果、金利上昇と財政赤字増につながる真逆の効果生む
(1)トランプ氏の金利引下げで財政赤字の解消作戦は失敗の方向にある。
・米国は赤字にもかかわらず資金繰りが回っているは、海外から資金を集める魅力があるからだ。それは、基軸通貨ドルへの信認である。
・トランプ氏は同盟国をも目の敵にして、高関税を課している。その課し方も、恫喝的である。恫喝された国が、米国の赤字補填のために稼い資金を米国に投下し続けるのはである。
(2)ドル安方針の米国から、資金が逃げ出す
・まして、ドル安政策をとるトランプ氏の米国に、資金投入するのは目減り覚悟での投資になる。そのような馬鹿げた米国投資をする国はないだろう。現に、中国は、保有する米国債を売却して、金を買っている。欧州諸国でも、米国に預けている金を、自国に移送し始めている国も出てきている。
4)FRBが中央銀行としての独立性を失った場合のトランプ米国の代償
・代償の内容
・制御不能なインフレを招く。
・長期金利の急騰。
・ドルの大幅安。
・株式市場に暗雲が垂れ込む。
●3.エヌビディア決算、売上高56%増、実績・見通し供に市場予想上回る、株価下落(money world)
1)5~7月期決算は前年同期比56%増の467.4億ドルで市場予想上回る純利益は同59%増の264.2億ドルで、市場予想を上回った。
2)AI開発競争で需要好調(NHK)
●4.FRB報道官、「FRB理事は正当な理由がある場合にのみ大統領が解任できる」(フィスコ)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)8/26、上海総合▲15安、3,868
2)8/27、上海総合▲68安、3,800
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)8/26、日経平均▲413円安、42,394円
2)8/27、日経平均+125円高、42,520円
●2.日本株:リード役の海外短期筋は、朝元気⇒後場買いが引っ込むという流れに変化
1)日経平均の上昇圧力は減少方向、ただし、売り圧力は弱いまま
・新高値銘柄・新安値銘柄数の推移
新高値銘柄数 新安値銘柄数
8/25 284 5
8/26 93 4
8/27 94 4
・高値追いの勢いが縮小するも、新安値銘柄数は増えず。買いのエネルギーの供給が細っているだけ。
2)リード役の海外短期筋は、朝元気⇒後場買いが引っ込むという流れに変化
・海外短期筋といっても、投機色の強い商品投資顧問(CTA)がメインと思われる。後場、海外短期筋の株価指数先物の買いが緩むと、日経平均は上げ幅を縮小している。高値警戒感から利益確定売りや持ち高調整の売りに押される展開のもよう。
・年金基金・機関投資家は売りに回って、益出ししている。
・米国高次第となるが、海外短期筋は「売り場」を探している可能性があるのではないだろうか。
・ただ、皆が「総売り」とはなっていない。先行きの様子見気分が強くなってきている。
●3.三菱商事、洋上風力計画撤退へ、円安で資材・人件費が高騰し採算悪化(時事通信)
●4.スズキ、EV強化へ5~6年で1兆1,800億円投資、インドの生産体制強化(ロイター)
1)インド政府は国内販売の乗用車でEVを現在の2%から2030年までに30%に引上げる計画を打ち出している。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4385 メルカリ 業績好調
・4578 大塚 業績好調
・6080 M&Aキャピタル 業績好調
スポンサードリンク

