双日、車両外装の瑕疵を判別するスキャナー発表 ボッシュとの連携も

2025年6月21日 17:46

印刷

公開した外装スキャナー(画像:双日の発表資料より)

公開した外装スキャナー(画像:双日の発表資料より)[写真拡大]

  • ボッシュ「BCHR」のサンプル(画像:双日の発表資料より)

 双日は19日、自動車の外装の瑕疵を判別する外装スキャナーを発表した。AI技術を用いたドライブスルー型のスキャナーで、傷やへこみなどを判別できる。2025年秋を目途に国内で実証を開始し、サービス提供を目指す。

【こちらも】竹中工務店、センシンロボティクスに出資 建設現場向けロボ制御などの開発を加速

 また同日、ボッシュと代理店契約を結んだことも発表。ボッシュが開発した車両の事故歴を可視化するサービス「Bosch Car History Report(ボッシュカーヒストリーレポート)」(以下、BCHR)の代理販売を開始した。双日は、両事業を通じて車両評価のデジタル化を進め、中古車流通の透明性を高めるという。

 外装スキャナーは、AI技術を用いた製品開発などを手掛けるPreferred Networksと開発を進めている。ゲート状で構築し、サイズは幅5メートル、高さ3.6メートル、奥行き1.2メートル。光学技術を用いた6台のカメラで、ゲートをくぐる車両の前後・左右・上部をスキャンする。車両検査レーンなどに後付けで設置できる。

 AIを用いた画像処理では、傷・へこみ・さび・再塗装跡など外装全体の瑕疵の自動検出が可能。人の目では難しいとされるグレーやシルバーの車両の再塗装跡も、可視化できるという。1台のスキャン時間は30秒ほどになる見込みで、検査精度の均一化や検査の早期化が可能になる。

 同時に展開を発表したBCHRは、車両走行中の衝撃や加速度、角度などを記録する車載装置「EDR(イベントデータレコーダー)」を用いたサービスだ。EDRが記録したデータをもとに、衝突履歴などを可視化した「事故診断レポート」を提供し、車両評価を促す。独BOSCHの日本法人であるボッシュが開発した。

 事業展開にあたっては、業務提携実績のあるJU岐阜羽島オートオークションでの実施を足掛かりにする。外装スキャナーは、今年秋ごろからJU岐阜羽島で実証を始め、スキャナーの改善や機能強化を経て、2026年春のサービス展開を目指す。BCHRは25年10月からJU岐阜羽島での提供を始める。

 双日の取り組みの背景には「中期経営計画2026」がある。中計では、企業成長に向けた基本方針として「Digital in All(全ての事業にデジタルを)」を掲げる。デジタル活用による新たな価値創造を目指しており、今回の取り組みをその1つと位置付けている。

 自動車事業は双日の柱の1つだが、25年3月期決算では増収減益。豪州の中古車販売事業の不振などが影響し、純利益は前期比7億円減の16億円だった。全体では増収増益で、純利益は同9.8%増の1,106億円となった。(記事:三部朗・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事