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不動産担保融資:アサックスの賃倒率0%水準の理由
アサックス(8772、東証スタンダード市場)。居住用不動産を担保に、事業用資金ローン融資を展開している。
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2022年3月期こそコロナ禍の影響で市場の低調により「3.2%減収、6.0%営業減益」を強いられたが、以降の推移は「23年3月期:9.4%増収、11.1%営業増益、18円配/24年3月期:9.3%増収、10.3%増益、2円増配20円配/前25年3月期:11.3%増収、9.9%増益」と着実な歩み。今26年3月期も「6.8%の増収(80億3000万円)、1.8%の営業増益(53億1000万円)」計画。
公にされている範囲で「24年3月期、貸倒率0.00%」。この一点がアサックスの最大の特徴で、好収益の大きな要因といえる。
四季報特色欄は「独特なノウハウで低賃倒率」と記しているが、ノウハウとはどんなものか。アッチコッチと覗き探してみた・・・。
1969年の創業以来、1500件以上の実績がその背景としてあろうことは容易に想像できる。がどこを覗いても、「これがノウハウ」とは記されていない。それでは話は進まない。以下のようなアサックス自体が発信している事例と出会った。
(I)製造業法人: 担保、保有ビル/地元金融機関から事業資金借り入れ/2期連続赤字、目下金融機関と返済リスケジュールなか<-アサックスの提案。過去の実績より将来の返済能力・返済計画重視。直近の試算表(バランスシートが一目で把握できる集計表)・事業計画を審査⇒アサックス運転資金融資⇒融資により3期目後半から売上・営業利益とも大幅増、本決算黒字化⇔金融機関のリスケジュール状態停止。正常取引が復活。
ポイントは今後の試算表・事業計画を審査、と認識する。
(II)サービス業法人: 担保、代表者保有の駐車場/地元の銀行から5000万円調達、残高4500万円、ローン返済期間残5年。政策金融公庫から1000万円借り入れ、残高800万円、ローン返済期間残8年。月額返済額86万円+10万円の計96万円/同法人の要望。現状の支払い可能月額は50万円程度で、不足分は代表者からの出資。銀行は弁済期日延長に前向きでない。借り換えを考えている。15年~20年程度の返済期日で、月々の返済は50万円以内に抑えたい/アサックスの対応。直近の試算表・事業計画書の審査をもとに、不動産担保ローンの長期契約への借り換え。実現。収益回復。
断定こそできないがアサックスの低賃倒率の最大の要因は、「無理な融資はしない」。噛み砕けば「直近の試算表・事業計画書の精査」ということになろうか。
本稿作成中の時価は690円余。予想税引き後配当利回り2.3%余。年初来安値594円(4月)から高値764円に戻る過程の揉み合い場面。さて・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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