米9月の個人消費支出は0.5%増、物価上昇で購入量は伸びず

米国の消費者が9月に支出した金額は前月から1131億ドル(約17兆9000億円)増えたが、実際に購入したモノやサービスの量はほとんど増えなかった。(shopping cart grocery store)[写真拡大]
米国の消費者が9月に支出した金額は前月から1131億ドル(約17兆9000億円)増えたが、物価の上昇が増加分のほぼすべてを吸収し、実際に購入したモノやサービスの量はほとんど増えなかった。米商務省経済分析局(BEA)が10月29日に発表した個人所得・支出統計で明らかになった。
BEAによると、9月の個人消費支出(PCE)は前月比0.5%増加し、同月の個人消費支出(PCE)物価指数も同じく0.5%上昇した。物価変動の影響を除いた実質個人消費支出は前月比0.1%未満の増加にとどまり、ほぼ横ばいだった。
8月の実質個人消費支出は0.5%増加しており、9月は目立って減速した。統計は、小売業者が贈答品や衣料品、電子機器などの家計の購入に大きく依存する年末商戦を控えた時期に公表された。
今回の統計は、消費者が支出額を増やしながらも購入量はさほど増やしていないことを示している。同時に、所得は物価上昇に追いつくのに苦戦している。
■実質可処分所得は0.3%減
9月の個人所得は前月比0.2%、金額にして545億ドル(約8兆6100億円)増加した。税引き後の手取り収入にあたる可処分所得は527億ドル(約8兆3300億円)増えた。
しかし物価変動を考慮すると、実質可処分所得は0.3%減少した。8月は横ばいだった。
物価がより速いペースで上昇している局面では、賃金や所得が増えても購買力の向上には必ずしも結び付かない。
■貯蓄率は3.8%に低下
米国民が所得のうち貯蓄に回す割合も低下した。個人貯蓄率は8月の4.0%から9月は3.8%に下がった。個人貯蓄額は年率換算で9111億ドル(約144兆円)だった。
貯蓄率は、可処分所得のうち家計が支出しなかった部分の割合を示す。貯蓄率の低下は消費者が収入から蓄えに回す分を減らしていることを示唆し得るが、個々の家計が既存の貯蓄を取り崩しているのか、借り入れを増やしているのかまでは分からない。
■支出増の約7割はサービス
9月の支出増の多くはサービスに向かった。前月と比べたサービスへの支出は781億ドル(約12兆3000億円)、モノへの支出は351億ドル(約5兆5500億円)それぞれ増加した。名目ベースの支出増加額のうち、サービスが約69%を占めた。
この統計は店頭での購入だけでなく、住宅関連サービスや医療、交通、娯楽など幅広い支出を対象としている。
■PCE物価指数は前年比3.6%上昇
支出の動向を見るうえで、インフレの重要性が一段と増している。米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するPCE物価指数は、9月までの12カ月間で3.6%上昇し、8月の3.4%から伸びが加速した。
9月単月では前月比0.5%上昇し、8月の0.3%を上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE物価指数は前月比0.3%、前年同月比3.1%上昇した。
総合指数とコア指数の区別が重要なのは、根底にある物価上昇圧力が緩やかに変化する場合でも、エネルギーや食品の価格変動は家計の予算に即座に影響を及ぼし得るためだ。
■第3四半期GDPは3.4%成長
9月の減速は、米経済全体の堅調さとは対照的だ。
BEAが同じ10月29日に発表した別の統計によると、第3四半期の実質国内総生産(GDP、速報値)は年率3.4%増と、第2四半期の2.2%増から伸びが加速した。
成長には個人消費のほか、在庫投資や設備投資を中心とする投資の増加や政府支出が寄与した。四半期を通じてモノとサービスの両方への支出が増加し、医療や外食・宿泊などが主な押し上げ要因となった。
ただ、四半期の成長率は7〜9月を対象としたもので、期末にかけて支出の伸びが加速し続けたことを意味するわけではない。
9月の統計は、物価上昇の加速と実質所得の減少により、四半期全体の力強さとは異なる姿を示した。
この時期の統計は、11〜12月の商戦に備える小売業者にとって特に重要な意味を持つ。家計の購買力や、日常の支出を賄った後に残る所得は、消費者が裁量的な支出を増やす余力を測る重要な指標となる。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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